条件は5センチ

気温も低くなって、徐々に生き物たちの活動を目にする事が減ってきた。

先日も、スタッフとの会話で、「今年はスズメバチとの遭遇が少ない」という話になった。たしかに、例年ならばこの時期、1日一度ぐらいはスズメバチの急接近で身を屈めることがあるのに、今年は夏以降、ほとんどそういった場面がない。

暖かかった分、これから頻繁になるのかもしれないが、スズメバチまでに影響がある暑さだったとしたらむしろその方が恐ろしい。

さて、そんな暑さでも、暖かい秋でも関係なく、いつもの年のように徘徊しているのがナメクジだ。本当に強い生物だと思う。

さて、長年、実害が大きかったナメクジ、いままで色々な対策を打ってきたが、明らかに効果があると思えるものがなかった。

だが、今年は一歩前に進む事ができた。

とあるサイト(たしか、何かの論文だったと思うが)で、極端に大きくないナメクジならば、5センチ以上の銅板を越える事ができないという情報を見つけた。

銅の成分を嫌うというのは以前から耳にしていたが、鉢の周りに銅線を巻いたりしてもほとんど効果がなかったので、あまり当てにしていなかった。

また、5センチの幅という条件は、現実的に実行しにくくて試してもみなかったのである。銅板も近年値上がりしてかなり高価だ。5センチの幅を何かに巻きつけるなら、相当量が必要となる。

5センチをまたがらせなければいいのでは?と閃いたのが夏前。早速試してみた。

対策をするのは、小分けにした用土が入れてある収納ボックスだ。どうやら用土の肥料(糠が含まれるので発酵臭がするのだろう)を求めてやってくるようだ。

実際、朝、作業をしようとしてふたをめくると、このふたのところに少なくて数匹、多い時は十匹近いナメクジがいることもあった。

特にこのビニールハウスは近くに水路があって湿り気も多いということでナメクジも多いのかもしれないが、毎朝作業の前にナメクジ退治が必要で少しうんざりだった。

そこで、ベタ置きにしていたボックスに10センチほど高さの足を木材でつけ、それに電源ケーブルから取り出した銅線を巻いてみた。まあ、半信半疑だったのだが、これが非常に良い効果を出した。以来、ナメクジの侵入は皆無である(一度だけ入っていた事があったが、ボックスの横に他の袋か何かが接触していたためだった)。

もちろん、地植えの植物や、一番被害が深刻なポット苗への被害については、銅という素材を使うにしてももっと他の形を取る必要はあると思うが、すくなくともナメクジに対して有効な手段が見つかっただけでもよしとしたい。

ナメクジに困っている方は少なくないと思うので、少しでも参考になれば幸いだ。