冬だからこそ(2)

冬だからこそ(1)から続く。

事務所に戻ってから、採寸図をもとに展開図を作ってみる。うん、他の季節なら絶対にしない様な作業だ。だが、こういう作業も面白い。

さて、もともとないものを作る時、次の段階が一番難しい。

どういう材料を使ってどのように目的物に仕上げて行くべきか。

展開図のような一枚板ならば、適切な厚さの鉄板を用意して形を調えていけばいい。だが、今回は立体。折り曲がった部分が3箇所ある。3箇所を折り曲げる方法、3箇所を溶接する方法、すでに折れ曲がったものを溶接または接着する方法など色々なパターンがありそうだ。

考えた結果、すでに折れ曲がっているものを組み合わせるという方針に固まった。ホームセンターにあるアングルなどの補強金具を削ったりすればできそうな気がした。すでに穴も空いている場合も多いので、うまくいけば穴あけの手間も省けるかもしれない。

ということで、展開図を持ってホームセンターへ。補強金具のコーナーを物色する。かなり目的に近いものもあったが、決定打に欠ける。

近くの鉄材コーナーも見て回ったときに、Cチャンが並べてあるのが目に入った。厚さは適当だし、必要な幅は・・・と展開図を当ててみると十分。それにCチャンなら余った材料が手持ちにある。鉄工はあまり得意でないが、何度か使ったことのある素材なのでそういう点も心強い。Cチャンを加工して曲げて・・・場合によっては溶接すればよさそうだ。

結局ホームセンターでは何も買わずに終わった。

圃場に戻り早速加工開始。サンダーでCチャンをどんどん切っていく。寒いが、これぐらいの方が丁寧な作業につながる。火花が散る作業、暑い時期はごめんだ。

そう時間もかからずに切断作業も完了。まずまずの出来。ところどころ寸法が違うが、実用に適えば構わない。普段は誰も(自分も)目にしないところだ。

穴あけ作業

穴あけは少し慎重に行う。本体との接続部分もだし、フック固定のバーがうまくささらないと困る。しかし、慎重に行なったにもかかわらずずいぶんズレてしまった・・・。

折り曲げ箇所もバイスに固定してペンチと金槌を使ったら思ったよりも簡単にできた。まさに案ずるより産むが易し。

それでも、予想外にうまくできたのが嬉しくて、ついスタッフに自慢してしまった・・・

材料に使ったCチャン

塗装までしなくてよさそうだが、せっかく作ったので、塗装も行いたくなった。

仮組。少しズレた
塗装中

だが、念の為、塗装前に本体に仮組してみる。少しズレたが問題なかったので、塗装。

乾燥後にリベットで取り付ける。リベットも手持ちのもので対応できた。

若干歪んでいるが、まあよしとしよう。フックも問題なくかかる。紐も取り付けて無事完成。

修理完成

ごく一部の修理ではあるが、たぶんパーツとして手に入れることはできないので、おそらく開閉部全体の交換が必要になるだろう。

開閉部は、昔の記憶では2万円ぐらいかと思っていたが、現在の新品価格を調べたところ4万円していた。もし、取り付け、廃棄まで業者にお願いしたら5万円以上の出費になるだろう。大儲けした気分だ。

しかし、今回一番得られたものは、Cチャンが案外(自分的には)使いやすい素材だということに気がつけたということ。鉄工の幅が広がりそうだ。

冬だからこそ(1)

先日の雪の前の日、夕方に念のためビニールハウスの開口部を閉じる作業を行なった。

親木を育てている棟の奥にある妻部分の窓を閉めようとしたとき、ロープが切れた。普通の綿のロープなので、数年に一度ぐらいは切れるもので、「雪の後にまた直そう」と軽く考えていた。

下側の、ヒモの留め具部分だけの破損だと思っていたが・・・

さて、修理をしようと新しいロープを準備、脚立をかけて交換作業に取り掛かろうとしたら、なんとロープではなくロープを固定するための金具が壊れていた。

フックをかけるパーツが腐食していた

まあそうだろう、少なくとも二十年は経っているかもしれない。さて、どうするか、とりあえずすぐ下の枠にでも穴をあけたり、適当な金具を取り付けてロープを結えてしまおうと思ったのだが、よくみてみると手前に伸びる円柱状のバーを固定するところも錆びてボロボロになっているではないか。

このバーは、風が吹いたときに窓が開かないようにフックを固定するものだ。普段はいつもあけているので特に用はないが、台風の時などはあった方が安心だ。

この部分に関してはロープを固定する部分よりも解決しにくい・・・。パーツ自体も窓枠に完全に固定してあるので、市販品を流用するのも難しそうだ。

パーツはリベッターでかしめてあるので、似たような形のものが用意できれば取り替えはできそうだ。

まずは採寸。この様なまめな作業、冬だからこそできる。夏ならば多分しないだろう。このパーツを変えようと言う気さえ起こさないかもしれない。

そもそも暑さの中、ビニールハウスの天井付近に登ってサイズを測る作業などあまりしたくないし、したところで非常に適当になりそうだ。

それでもかなり適当だが採寸ができた。脚立の上でだし、自分さえわかれば問題なし。

この部分については近所のホームセンターで探すのが面倒そうなので錆を落として再利用することにした。

リベットを取り外し、破損パーツも無事着脱できた

全体が小さいパーツなので、いったん原寸大で簡単な展開図を作って今後の製作を考えることにした。

普段ならばこのままいっきに進むところだが、このあたりも冬だからこそ、慎重に作業を進めるのである。

ヤカンの音

「インフルエンザが大流行だ」

と、メディアからも、店頭のお客様からも、遠くにいる家族からも聞かされる。

普段あまり人が多いところには出かけないので、今のところは問題なさそうだが、体のコンディションは整えておくに来したことはない。

自分の弱いところもわかっている。喉がおかしくなると、インフルでも風邪でも悪化しやすい。

比較的湿度が高い山陰の冬だが、一人で作業していても、加湿には心がけたいものだ。

そこで、ストーブのそばで作業するときにはヤカンでお湯を沸かすようにしている。

狭い作業用(休憩用)のハウスなのですぐに温度も湿度もあがりやすい。

温度は14度だが、着込んでいるのでむしろ快適

かけてある湿度計を見ると60%台。うん、良好、良好。

湿度もそうだが、お湯が湧き始めてヤカンがたてる音がまたよい。チンチンチンチン、シュンシュン、コトコト・・・

ストーブの暖かさとともに、リラックスしながら作業は進んだ。

ちなみに、この文章を書いている実店舗の事務所は・・・とみてみたらなんと20%

ストーブを持ってきてヤカンを・・・と言っても、商品が傷むからと絶対許可はもらえないだろう。

順調なスタート

今年も蕎麦殻のクン炭作りがスタートした。昨年までは、製作に使う設備が老朽化してしまい、消火に時間がかかったり、ロスも多く出ていた。

そこで、今年は思い切って設備も新調。製作にも気合が入る。

最初の第一回はそれでも心配だったのだが、要らぬ心配だったようで、非常に順調に製作が進んだ。

出来上がりも良好。目安としては、写真にあるような青みがかかった炭ができること。手ですくってサラサラと落とすと、シャリンとした金属的な音も聞こえてきたりする。

順調に製作が進むとやはり気持ちが良い。楽しく作れるのはいいのだが、つい作りすぎないように気をつけたいものだ。

釣りと園芸

初雪が降り、本格的な冬になるまではニット帽で事足りているが、それ以降になると晴れの日でも早朝はもう一枚何かを頭に被りたくなる。

そこで登場するのが釣り用のフーディーだ。これは手放せない。

寒風吹き荒ぶ中、じっと寒さに耐えて浮きの動きを長時間見つめる・・・。それを可能にしてくれるのだから暖かいのは折り紙つきだ。

もちろん、撥水加工なので少々の雨や雪も問題ない。これをかぶっているだけで寒さに対して安心が持てる。

思えば釣りと園芸は共通点が多い。

自然の中で比較的じっとしていることが多いし、かといって、動く時はそれなりに活動も必要だ。

相手は全く予想がつかない自然、生き物というところも共通している。お金も、それなりにかかる。年をとっても楽しみやすい趣味だ(園芸に軍配が上がるが)。

雨風、雪や太陽にも日々さらされる。静かにひとり、または少人数で自然と対峙する。危険も・・・まあ、これは園芸の方が少し少ないかな。

この頃はすくなくとも野暮ったさが無くなったウェアも、釣り用は色々使えるのではないかとたまに釣具店で見ていたりする。園芸用のウェアよりはずいぶんマシだし。

少年の頃は釣りも好きだったのだ。いつから行かなくなったかなと考えていたら、思い当たる節がある。

そう、園芸と釣りはぶつかることも多いのだ。

それなりに時間が取られる(これが一番ネックだ)。楽しい時期も重なる(天気で気持ちの良い季節はどちらも行いたい)。釣りのベストタイムと言われる朝まずめ、夕まずめも園芸には結構大事だったりする。釣りをしていると、畑や苗のことが気になる。

そうか、それで園芸を始めてからは釣りとの距離が広がってしまったんだなと思ったら妙に納得。確かに、園芸が好きな知り合いで釣りもするという人を思い出そうとしたが、一人も思い浮かばなかった・・・。