中庸

気温がずいぶん高くなってきた。ようやくレモンヴァーベナやレモングラスに成長が見られるようになってきた。いままでほとんど育たなかったバジルも今後少しは成長が見られるだろう。畑の隅では太陽と競うかのようにポットマリーゴールドが鮮やかな花を咲かせ始めた。初夏も目の前である。

ポットマリーゴールド

冬の寒さで葉が全部落ちてしまったマートル。葉が傷むことはあっても、いままで全部落ちるようなことはなかったので、もしかしたら寒さで枯れてしまったのかもと半ば諦めていたが、4月も下旬となってようやく太い幹から真っ赤な芽が見え始めた。

マートル
鮮やかなグリーンの葉も、出だしは真っ赤!?

どうやら生きていたようだ。さすがに今年は開花はしないかもしれないがこのペースで復活してくれたらと思う。

さて、気温が上昇してくると、苗の水やりが特に難しくなってくる。冬場なら少々目を離していても急に水切れすることはないし、真夏ならジャンジャン水やりしてもまだ大丈夫だ。

ただ、この時期はちょうど苗たちの成長も重なる時期だし、気温の上下も激しい。また、湿度も急に低くなったり高くなったりして油断ができない。本当に気を使う。そんな条件なので水やりを管理するスタッフの間でも意見が別れることがある。

スタッフA氏は、乾燥しすぎるのを心配する。乾燥しすぎると、特に湿り気を好むハーブの場合などひどい場合は苗が枯れてしまうし、一旦土が乾ききってしまうと今度は水を吸いにくくなる。

スタッフB氏は、湿らせすぎるのを心配する。湿らせすぎると、乾燥を好むハーブは根腐れを起こしやすくなるし、根が伸びにくくなったり徒長や病害虫の原因になったりする。

どちらの言い分もそれぞれ理にかなっているのでどちらかに軍配を上げることは難しい。

ミントやレモングラスなどは、「ガンバレ~A!」とエールを送り、ラベンダーやタイムなどは「いいぞ!B!」と応援していることだろう。

いずれにせよ、湿らせ派と乾燥派、両方いることで育苗環境の中庸が保たれているに違いない。幸せな苗たちである。

老眼を自覚するとき

2,3日前に確認した時には何ともなかったのに、今日見ると、ポットマリーゴールドの苗に異変が。

ポットマリーゴールドの食害
「あ、やっぱりやられたか・・・」
毎回の事ではあるが、調子良く大きくなり、そろそろ発売しようと思った頃に必ずと言っていいほど苗の中心が食害される。

多分、メイガとか、蛾の幼虫だと思うのだが、正体までは確認できていない。正体が分かるまで放っておくと相当食べられてしまうだろう。ただ、新芽が少々食べられても、ポットマリーゴールドはまたすぐ横から新芽が伸びてくる力強さを持っているのであまり心配はしていない。

とはいえ、発売前の苗、食べられるまま放置しておくわけには・・・・

と言う事で犯人を捜しはじめるのだが、まだ被害がスタートしたばかりだと、相手も小さい。
ポットマリーゴールドの食害
目を近づけても分からないし、近頃老眼が入ってきたのか、むしろメガネを外したほうが見えやすいのが悲しい。

ポットマリーゴールドの害虫
結局はルーペを引っぱり出して探索続行。ここまで来るともう意地である。

卵を産みつけるほうも律儀というか、丁寧に一株にひとつ産みつけているようで、幼虫が2匹いることはほとんど無い。しかも一番柔らかい中心部分に集中している。

見つけたら先の尖った竹串で捕まえるのだが、ルーペを使いながらの作業、気分は外科医である。

幼虫
さて、食害している幼虫、今の段階ではこのサイズ。指紋と同じぐらいの太さである。だが、気を抜いて放っておくと、一気に大きくなり、それに比例して食害の量も増えてくる。今回、この程度なら最小限の被害で食い止められたと思っても良さそうだ。

加齢のわびしさを感じつつ、作業する事数十分。全ての苗のチェックが終った。

ああ、肩が凝る。

こんなのが欲しい。

サージカルルーペ