秘密兵器

ラベンダーの季節もほぼ終りに近づき、圃場やお客さんのお庭に咲くラベンダーの剪定作業に追われている。ラベンダーも、大株になると何百本もの花穂を剪定する必要がある。大きなラベンダー園などではお茶の葉を刈る機械のようなもので一気に剪定してしまうらしいが、時々羨ましく思うこともある。

傍から見ると、優雅そうに見えるかもしれないが、暑い中の剪定は結構精神的にキツい(この頃は他のスタッフに任せたりしているのでちょっとアレだが)。ついでに、ラベンダーは結構アクがあって、剪定し続けていると葉にこびりついたアクでハサミの切れがガクンと落ちてくる。

ハサミに限らず刃物はなんでも「使ったら拭く」が基本なので、こまめに拭けば良いのだが、つい剪定に夢中になっていると拭いている暇がない。気がついた頃にはアクが刃にしっかりついてしまって拭き取ろうとしても簡単には取れない。

昔は熱湯をかけて拭いたり、圃場ならばトクサ(ヤスリ代わりになる)で刃をごしごしこすって取ったり、いよいよダメなら砥石で研いでいた。ただ、砥石やシャープナーで研ぐのは本来刃の切れが落ちた時なので、アクさえ取れれば良い場面では面倒な作業だ。

そんな場面にぴったりの秘密兵器に今春出会った。近隣で行われた刃物祭りで、刃物屋さんもお勧めする一品がこれ。その名も「激落ち 刃物クリーナー」である。最初半信半疑でその場では購入せず、後になってホームセンターを探したが見つからなかったので結局Amazonで注文。

激落ち刃物クリーナー

こういうケミカルものの効果はあまり信用しないタチであるが、この商品だけは納得。使い方も簡単である。写真は、まる一日草木を剪定したハサミである。当然アクなどがこびりついている。

ハサミのアク

これにクリーナーをシュッと一吹き。シュワシュワと泡立ってアクが赤茶色に変わってゆく。

ハサミのアク
そのまま30秒ぐらい放置して布等で拭き取るとこの通り、切れ味も復活。ただ、注意しなければならないのは、この後きちんと刃や稼働部に油を注しておくこと。まあ、刃物を扱う上では基本だが。

ハサミのアク

あまりに気に入ったので、スプレー瓶に小分けして、ハウス用、現場作業用、家用とそれぞれ常備している。アクの落ちがとても気持ちよいのでついつい使ってしまうのが悩みの種。近々大瓶で購入しそうな勢いである。

見かけによらず

先日、お客様と話していて、今年はジャガイモのできが本当に良くないということを伺った。5、6月と雨が少なかったためだと仰っていたが、そのかわり、ラベンダーのできはとても良かったとのこと。このところのように天候が極端だとなかなか両方とも満足がいくようにとはならないものだ。

今年、目立ってよい調子だったのがレディースベッドストロー。お客様のお庭に植えたものも、店の花壇の株も、そして圃場の隅に植わっている株も、ここ数年無かった程よく咲いた。おそらく開花まで涼しい日々が続いたのが良かったのだろう。

レディースベッドストロー

とはいえ、例年もあまりひどい育ちかたをする年は無い。近い仲間にスイートウッドラフがあるうえ、その繊細な姿から弱々しい感じを受けるのだが、どっこいコイツはかなり頑丈だということがこの頃わかって来た。店の花壇は西向きで夏の午後は厳しい日射を受ける。特に日よけをしてやるわけでもないし、手入れをするといっても横に伸びて行く株をそれ以上広がらないよう整理するぐらい。

まして、圃場の株にいたっては完全にほったらかし。上のようなクローズアップ写真だとそれなりに見えるが、実は下の写真が現実でカヤの仲間と生存競争中である。しかも10年近くこの状態である。

レディースベッドストロー
同じ圃場でも苗増殖用の親木は鉢の中の快適な環境で優遇されている。コイツも頑張っているので冬には少しメンテナンスをしてやると良いのだが、強いとなるとつい放任になってしまうんだよなぁ。