草取りしながら生き物観察

一日中降り続いた昨日の雨もようやくあがった。

昼前になってようやく仕事が一段落したので、気になっていた花壇の草取りにとりかかる。

草が伸びて蒸れるとよくないものから優先。ラベンダーやセイジなどの株元の草を取り除く。

ホワイトセイジの周りも草を取り、株元にマルチがわりの麻布を敷いておく。ちょうど挿し木に良さそうな枝が伸びていたので、剪定しようとすると、てんとう虫がゴソゴソ。

てんとう虫とホワイトセイジ今年は春になる前から時々見かけていたのだが、このところなおさらよく見かけるようになった。もちろん、そのぶんアブラムシも活躍しているということになるのだが。

てんとう虫とローズマリー
3/22ホワイトローズマリーにいたてんとう虫。

先日、寒い日に見かけたてんとう虫はローズマリーの蕾のところに頭を突っ込んでじっとしていた。寒くてそうしているのか、アブラムシでも見つけて食べようとしていたのかはよくわからなかったが。

今日は更にバッタの仲間までごそごそし始めていて驚く。4月とはいえあまり見かけないように思うのだが。あとで調べてみたらキリギリスの仲間で「クビキリギス」というらしい(たぶん)。なんかあまりいい名前とは思えない。つけられた方もいい迷惑だ。

これに限らず、今年は「おやっ!?」と思うような時期に昆虫を見かけることが多い。

クロバネキノコバエとアブラムシ
3/14斑入りシーキャンピオンにいたクロバネキノコバエ 。右のほうにはアブラムシも見える

特に驚いたのは、普段の年ならばかなり暑ささえ感じるころに目立ってくるクロバネキノコバエを3月の初め頃から見かけたことだ。いつもなら、春先にまずタネバエを見かけるようになり、それが落ち着いた頃にクロバネキノコバエが現れるのだが、今年はタネバエよりも先にクロバネキノコバエが出てきた。年を越したのだろうか、それとも発生が早いのだろうか、それはわからないが、お客様からも問い合わせがあったので、発生時期が早まったのには間違い無いと思う。

小さな昆虫が動き出せば、それを捕食する生物たちも賑やかになってくる。

アマガエル
今日はアマガエルもよく見かけた

今日は小さなカエルを何匹か見かけた。頼もしいかぎりである。

流石にカマキリの卵はまだ硬いままのようだ。いつ活動を開始するか、毎日眺めては気にしている。

カマキリの卵鞘
毎日気になっているカマキリの卵鞘

ついつい生き物に目がいってしまい、写真を写したりしているうちにあっという間に昼になった。草取りはというと、決して進んだ感はなかった。

産み付ける基準

相変わらず気まぐれな天気が続くこの時期の山陰地方。

雨やみぞれの合間を縫って、冬にそなえた剪定作業をすこしずつ進めている。

毎年のことだが、この季節、枝や刈り取った草にカマキリが卵嚢を産み付けているのをいくつもみつける。

カマキリの卵嚢
ラベンダーの枝に産み付けられたカマキリの卵嚢

ローズマリーやラベンダーの枝に産み付けられていたり、かと思うと、柔らかなススキの葉についていたりするので、どういう基準で産みつける場所を選ぶのかいつも不思議に思う。

とりあえず刈り取って投げっぱなしにしておくようなもったいないことはせずに、一箇所に集めておく。春、すこし暖かくなった頃に、育苗している苗の近くに置いてちいさなカマキリが生まれるのを待つ。

カマキリの卵嚢
暖かくなるまで集めておく

ちょうどその時期は、われわれもアブラムシやその他の小さな虫に悩まされる頃なので、赤ちゃんカマキリに餌にしてもらうのだ。きっとすぐにビニールハウスの外に出て行ってしまうだろうし、効果のほどは定かではないが、きっと我々の知らないところで小さな虫を食べて助けてくれているんだと思うだけで気分がすこし楽になるのだ。

カマキリの卵嚢が、高い場所に産み付けられていると、その年は雪が深いと言う。今年、圃場の脇の木の枝に産み付けられていた卵嚢はおおよそ私のおへそのあたり。

カマキリの卵嚢
おおよそおへそのあたりの高さに産み付けられていた

ついでに、ビニールハウスの中のシルバーフリンジラベンダーの苗に産み付けられていた卵嚢も、地面からの高さは奇しくもほぼ同じ・・・。今年の冬は覚悟して臨む必要があるかもしれない。

カマキリの卵嚢
苗に産み付けられた卵嚢も、台の高さを入れると結構高め

ちなみに、秋の半ばに見つけたカマキリの産卵風景だが、産み付けられたばかりの卵嚢は不思議なブルーをしていた。ホースに産み付けたからではないらしい。

カマキリの産卵我々人間も青いものにはあまり食欲が湧かないものだが、そういうことを狙ってのことなのだろうか。

ホースに産み付けてもらっても困るのだが、まあ、このホースは春ずいぶん暖かくなってからしか使わないので、たぶん差し支えはないだろう。

※ちなみに卵嚢って英語ではEgg caseって呼ぶらしい。なるほど。

無事誕生

昨秋、とあるお茶畑で番茶を摘む手伝いをしていた時のこと。お茶の木をよく見ると所々にカマキリの卵鞘が産みつけられているのに気がついた。

もちろん、収穫したお茶の葉にも卵鞘が混ざってはいけないので後で選り分けられるのだが、そのまま捨てられてしまうのはもったいないと思い、集めて持ち帰った。もちろん、ビニールハウスで孵化させようと言うもくろみであった。カマキリは大きくなればチョウなどの大きな昆虫を補食するが、小さいうちは小さい昆虫を食べる。アブラムシ等もそのなかに含まれるということらしい。

春先に一番悩まされるのがアブラムシなので、カマキリ君にお任せしてみようと言うわけだ。テントウ虫の親子の活躍はまだしばらく先になりそうだし。

ただ、問題は卵鞘の管理。自然界ならば雨や雪、風にもさらされ、氷点下にもなるだろう。ビニールハウスの中で、冬暖かくなったり寒くなったりを繰り返したり、雨もあまり当らない環境で無事春を迎えられるかは心配だった(もともとビニールハウスのなかに産みつけられたものは問題なく孵化したことがある)。持ち帰り、とりあえず目の届きやすい、ホワイトセイジグレープセンテッドセイジの大鉢に枝のまま差しておいた。

その後お茶の木から折り取った枝は徐々に枯れてくるし、卵鞘が落ちてしまわないか心配していたが、今日、ふと見ると孵化し始めている。

カマキリの孵化
卵鞘から出る時にまず脱皮をするらしい。皮が残っている。

今のところ、3つほどの卵鞘から幼虫が出て来て動き始めていた。気が早いヤツはホワイトセイジの葉の間をごそごそ。ビニールハウスの中のホワイトセイジも春はアブラムシがつきやすいのでちょうど良い。

ホワイトセイジの葉の上でにらめっこ
ホワイトセイジの葉の上でにらめっこ

さて、この春アブラムシの害が少しでも減ってくれるのか、ちょっと楽しみである。

カマキリ並

水やりをしていると、足元で何か動くものがいる。目を向けるとカマキリがしきりにホースに向かって格闘している。猫がネコジャラシにじゃれつく姿にも似ていた。

ホースに立ち向かうカマキリ
ホースの所に小さな虫でもいるのかと顔を近づけてみるが何もいない。相手は紛れも無くホース。カマを繰り返し突き立てている。ついにこの暑さでカマキリもおかしくなってしまったのか・・・。かわいそうに。

さて、圃場からの帰り道、2車線道路が工事で1車線になるところがある。後ろから猛烈な勢いで迫ってきた車がいた。とても割り込みなんて無理だろうと思っていたら、何とそのまま突っ込んできた。一瞬、ぶつかったと観念したぐらいだった。

まさに危機一髪。追いかける気にもならなかった(そもそも追いかけられるような車ではない)。きっと暑さでおかしくなってしまったのだろう。カマキリ並なのだな、かわいそうに。と思って自分を納得させた。

いや、カマキリに失礼か・・・。

出たっ!

圃場で作業をしていると、スタッフのひとりが叫ぶ。
「出たっ!」
何かと驚いて、現場に来てみると、カマキリが一斉に孵化し始めたらしい。
カマキリ
こんな小さな卵塊にどんなふうに入っているのかと不思議に思えるぐらいの小さなカマキリたちが群れている。
カマキリ
中には一匹、かろうじてぶら下がっているヤツも。

これからそれぞれが思い思いの場所に散っていくのだろう。カマキリも小さなうちはアブラムシなどを食べると言う。例年よりアブラムシも増えるのが遅い感じの今年、ちょうど今ごろからが食べ時かも知れない。

スタッフによると今年はカマキリが多い感じがすると言う。是非大きく育って欲しい。