寒風干し

とあるお庭へ伺った時の事。お庭の手入れをしていると、何かゴミのようなものが木に引っ掛かっている。顔を近づけてみて、ギョツとした。トカゲが枝にぶら下がっていたのだ。

モズの早贄

これが話に聞いたモズの早贄ではなかろうか。鳥には詳しくないのだが、そんな言葉は知っているのである。冬に備えてモズがエサを枝などにぶら下げておく習性のようだ。昔、図鑑か何かで見たのはバッタだったように思う。トカゲは結構グロテスクだ。

松江でも、冬の味覚の一つに津田カブ漬けと言うものがある。以前も触れた事があり、私も大好物なのだが、漬ける前に一度寒風に干す。うま味が増すのだろう。ハデ木に干された津田カブは冬前の風物詩の一つである。

モズも実は一旦干した方がうまい事を知っているのだろうか。

モズには悪かったけれど、通路側でお庭の持ち主がびっくりされるといけないので獲物は少し離れたところに移動しておいた。見つけることができるかな?

トカゲの足音

ガーデニングが心底好きなひとは、孤独を苦にしないひとが多いように思う。お客さんからも「一日中誰とも話さずに庭仕事に没頭できる」という話を良く聞く。

普段の作業も役割分担がはっきりしているので集中的に植え替えをしたり、何か大きなものを作ったりなどの特別な時以外はほとんど個人の仕事である。

広いビニールハウスで一日中一人で作業することも希ではない。誰かいれば別だが、そんな時、不意に背後から物音がするとびくっとさせられる。

トカゲ

夏にかけて驚かせてくれるのはこいつ、トカゲである。真夏の暑い時にでも、何をしているのかビニールハウスの苗が並ぶ台の下を行ったり来たりしている。地面にはシートを敷いているので余計に「カサカサッ」と言う音がしてびっくりさせられるのだ。

彼には無論罪は無い。ビニールハウスでは毎日のように見かける顔見知りのような間柄だ。トカゲを見て「キャッ」なんて黄色い声を出すひともいるが、全く気にならない。むしろ、お互いに邪魔をせず危害も加えず非常に良好な関係を保っている間柄といえそうだ。

なぜか写真の彼はしっぽの先が切れていた。しっぽが切れたトカゲは仲間からも阻害されやすいと何かで読んだ。彼にも表には出さない悩みがあるのかも知れない。

ちなみに地面に敷いているシート、なかなか良い製品である。非常に丈夫で敷いて5年以上たち、毎日歩いているのに劣化も少ない。水も通すし、とりあえず草取りをしたくないために敷いたところ予想以上の効果を上げている。個人的な園芸では使うことは少ないかも知れないが、良いものなので紹介しておきたい。商品名はダイオグランドシートである。ただ、切断するとその端はほつれやすいので注意が必要だ。

ひばかり

田植えの時期を迎えている。スタッフの家でも今日からスタートするようでお休みして田植えに励んでいるようだ。

ビニールハウスの周りでもぼちぼち準備が進んでいる。横にある水路もまだ水量は少ないが、今後田に水が張られるようになると一気に水量が増える。水路脇の雑草が伸びつつあるのでそれまでに草刈りをすることにした。近所の農家の方は、「べつにかまあせんが(別に構わないよ)」と仰ってくれるのだが、水路に刈り取った草が流れ、田にはいるのはさすがに気が引けるからだ。

半月前に刈ったとは言え、雑草はすぐに大きくなるものだ。それでも夏に比べると楽な作業である。気持ちの良い風に吹かれれつつ作業を進めていると、水路の中で動くものがいる。蛇が水の中で泳いでいた。怪しげな体表のカラーリング。ヤマカガシである。

ヤマカガシ

マムシのように攻撃的ではないとは言われるが、ハブの10倍とも言われる毒を持つらしい。しかも毒液を飛ばすという話もある。
ヤマカガシ (Wikipedia)
知らなかったが、この辺りでは「ひばかり」と呼ばれているようだ。初めて聞いた時には何のことか分からなかった。
「さ、おめぁ、噛まれぇとその日ばかりしか生きられんかぁだわの(それは、あなた、噛まれるとその日ばかりしか生きられないからですよ)」
と教えてもらった。経験に基づいた素晴らしいネーミングである。

なのであまり関わりたくない蛇である。この周りではシマヘビに続いてよくみる種類とは言え、たいていはこちらが気づく頃には向こうへ逃げていくパターンが多い。今回も同様であった。

さて、草刈りのあと、水路に落ちた草を集めなくてはいけない。普段は何気なく行う作業なのに、今回は及び腰になってしまった。にょろりとしたものに縁のあるここ数日だ。

ヤマカガシ

当のヤマカガシは水路に置かれたせき止めようの土のう袋の上で水泳の後の日光浴中であった。