冬の楽しみ

食用ホオズキの親株に花が咲き始めた。

本当はもう少し早めに咲くのだが、夏前に強く剪定して挿し穂などに使ってしまったため、その分花が遅れた。毎年この調子だ。残念ながら今年の夏の増殖は、トラブルがあってあまり芳しくはなかった。

花が遅れたぶん、気温が下がっていく時期なので余計ゆっくりで結実も相当遅くなりそうだ。この辺りでは、地植えでは雪に埋もれたり霜で地上部がなくなるが、とりあえず開放のビニールハウスの中ならば問題なく越冬する。もちろん、葉はほとんど落ちてしまう。

基本が低くても意地でも結実しようとするから、冬の中頃には小さいけれど甘い果実が食べられることだろう。嬉しいのは、袋の中に入っているので洗ったり、切ったり、皮を剥いたりしなくても済むところ。

冬、薪割りとか、結構ハードな仕事の合間にちょっと口にするのにとてもいい。今から楽しみだったりする。

隣の芝生

「隣の芝生は青い」
本当にそうだよなとよく思う。人の心理をよく表していることばだ。

とある二人のお客様。お二人とも当店がお庭の手入れをしているのだが、50mと離れていない同じ地区に住んでいらっしゃってお友達同士。

お互いのお家を行き来されることもしょっちゅう。どちらもガーデニングがお好きなので、お庭の話になることも多いようだ。

それぞれのお庭には、かなり違った雰囲気のハーブや植物が植えてあるが、そのお庭でどういった性質のものならよく育つかという基準で選んだものだ。というよりも、そのお庭でよく育つものが現在残っているという状態と言った方が正しいかもしれない。

このような状態ならば、「隣の芝生は青い」以上に相手のお庭が気になってしまうのは当然のことだ。

なので、我々には、
「◯◯ちゃんのお庭の、あのピンクのお花、うちにも植えれないかしら」
というリクエストが両方からやってくるのだが、大抵はお断りせざるを得ない場合が多い。

同じ地区で、数軒離れただけの場所なのに、風当たりや日照、土のコンディションなども全然違うのだ。無理やり植えたところで、うまくいかなくて余計にがっかりされるのも気の毒だ。

どちらの庭もそれぞれの魅力があるのに・・・と思いつつ、毎年のように繰り返されるリクエストを上手に説明してお断りするのも仕事の一つだったりする。

50mどころか、50cm離れていても育ちが大いに違うという場合もある。

当店のビニールハウスの北側にある一つの花壇。ビニールハウスが日よけになる場所なので、日当たりを好む種類は植えにくい。

そこで、サルビアの仲間でも、湿り気とやや日陰を好む性質の種類を植えこんだ。
黄花アキギリ
わりと放置状態ではあるが、いま、日本のサルビアの一つである黄花アキギリが満開である。
黄花アキギリはもともと山地の日陰をこのみ、以前、近くの里山の北側の道路脇に見事に群生していて息を飲んだことがある。そこは夏の間、鬱蒼と茂る木々の陰になって朝夕ぐらいしか日が当たらないような場所だった。

なので、日当たりが良すぎると葉が傷んでしまいやすい。とはいえ、日本のものだし、丈夫は丈夫なようで、少々葉が傷んでも花は咲く。だが、せっかく花が咲いたときに葉がボロボロだとやはりみすぼらしく感じる。しっとりと優しいグリーンの葉が残ってこそこの黄色が映える。

この花壇は、西側はすこし空いているので西日がいっとき差し込むのだが、今年は黄花アキギリを覆うように隣の食用ホオズキが伸びて夏の強い西日を遮ってくれたようだ。これも良かったのかもしれない。

ところが、この花壇の西側には花が紫色のアキギリを植えていた。性質もよく似ており、どちらかといえば黄花アキギリよりも強いぐらいなのだが、これがさっぱり。葉を見てもわかるように西日によるダメージが大きいようだ。台風の多かったこの夏なので風による傷みもあったのかもしれない。花も咲いているのに、葉の痛々しさが目立ってしまう。

アキギリ
また、食用ホオズキや他のサルビアの仲間が東側にあるせいで、朝からお昼過ぎまではしっかり陰になり、そのあと急に強い日差しが当たるのでよけいに過酷だったのではないかと思っている。きっと、すぐ近くの黄花アキギリを羨ましく思っていることだろう。

花が終わったら植え替えをしてやり、黄花アキギリの側に移動させてやるべきか。来年は入れ替えてみようか・・・などなど、いま思案中である。

 

黄花アキギリ

アキギリ

食用ホオズキゴールデンベリー

冬のおやつ-食用ホオズキ・ゴールデンベリー

大寒も過ぎ、一年で一番寒さが厳しくなる時期を迎える。天気予報では今日の夕方から松江も雪。気温もここしばらくは氷点下になる日が続きそうだ。

そのため、年に一度かそこらの寒波でダメージを受けかねない株は、いま、この時期だけ特別に厚いビニールハウスへ退避させる。

今日は食用ホオズキ・ゴールデンベリーの鉢を退避させた。例年、無加温で開けっ放しのハウスで管理している。この辺りだと、地植えでも地際でカットして厚くもみ殻等をかけておくと越すことが多い。しかし去年は相当冷えたのか何株かダメにしてしまった。そのため今年は少しだけ優遇。

 

食用ホオズキ・ゴールデンベリー
まだ冬の剪定も終っていないので秋についた実がそのままだ。無加温とはいえ、風雨はしのげるため、葉も実もほとんど秋から変わっていない。まだ青々とした袋も結構残っている。屋外ならば秋のうちに袋も色づくのだが。食べごろの実もたくさんある。

食用ホオズキ・ゴールデンベリーの実
狙い目は袋がオレンジ色になったぶん。

食用ホオズキ・ゴールデンベリーの実

果実もはち切れそうなぐらいだ。寒さで甘みも増しているのか、冷たさも相まって休憩時間にはまたとないおやつとなる。パイナップルとイチゴを合わせたような味と形容されるが、うーん、どちらかといえばパイナップルが近いかも。酸っぱさを無くしたパイナップルかな。風味もそんな感じ。

熟しているかは、袋の色も目安となるが、袋ごと引っ張ってみて、軽く取れるかどうか。

食用ホオズキ・ゴールデンベリーの実(未熟)

袋が青いのはまだ熟しかたが足りないから、うまく取れない。

食用ホオズキ・ゴールデンベリーの実(未熟)

袋を開けても緑色のまだ美味しくない果実が出てくる。

殻を破って食べるピーナッツやギンナンのように、袋を破って食べる楽しさからかついつい食べ始めると止まらなくなってしまう。株元に落ちている袋も、中の実は袋に守られてきれいなままだから、そっちまで手を出す。洗わなくても良いのがまた嬉しい。結局食べごろの実はすべて制覇してしまった。つぎ食べられるのはさていつ頃か。

春になったら畑にも少し食用ホオズキ・ゴールデンベリーを植えようか・・・今年の秋は食べ放題だ!なんて想像するのもまた冬の楽しみである。

寒中の芽(2)

ビニールハウスの中では次々と新芽が見えはじめつつある。たいていは嬉しい新芽であるが一方でまだ早いのに・・・という新芽もちらほら。

食用ホオズキ

春までじっとしておいてもらいたい食用ホオズキからも気が早い新芽が伸びはじめた。この後強い寒さが来たらどうせダウンしてしまうのに。かといって二重のビニールハウスへ移すほどでもないし。このままどうなるかしばらく様子を見よう。

サントリナ

また、こんなのも困ってしまう。主枝が折れてしまったサントリナ。横に伸びた枝が太ってしまい木質化。非常に格好が悪い株になってしまった。サントリナは毎年春に地際まで切り戻しておけばとても良い形でまとめることができるのに何年か前に剪定を怠けてしまったのだろう。もうこうなると形を戻すのは至難の業である。新しい株に更新するのが良いのだろうが、このサントリナの行き場所も見つかりそうにない。しばらくこのままになりそうである。決断力に欠けるなぁ。