3月が来る前に

2月も終わりが見えてきて、来週半ばからは3月。毎年のことだが、3月に入ると一気に時間の流れが速くなる。

畳み掛けるようにするべきことが次々と出てきて、更に不意打ちで緊急の事案が発生するのが通例。

できれば2月のうちに片付けておくことを少しでも減らしておきたい。親木の植え替えや挿し木もまだずいぶん残っているし、種まきも山積みだ。あれもこれも・・・と頭は混乱するばかり。

心では「ひとつずつ、ひとつずつ」と思っていてもなかなか実行できるものではない。そんな中、今日はコレ!と勢いづいて取り掛かったのが、小さな作業ハウスの妻窓取り付け。

ビニールハウスはその形状ゆえに上部に熱気が溜まりやすい。それを逃すために妻(つま)の上部に開閉式の窓やファンが取り付けてあることが多い。圃場にある他のハウスには取り付けてあるのだが、このハウスは長さが3メートル程度ととても短く、片側に簡易的な窓と出入り口が設けてあり、何年もこれで過ごしてきた。もちろん、両サイドは巻き上げてオープンにできるのでそこそこ風も通る。

といっても、一番熱がこもるところにやはり窓が欲しかったし、困った(?)ことに、数年前、この窓の部品を中古で譲ってもらっていたのだ。投げっぱなしになっているのを横目で見ながら、「早く着けたいな」と思うばかり。

こういったパーツをつけるのは、気温が高い時期はお話にならないし、気温が低い、曇りのひが楽である。おそらく、今日のタイミングを逃したら今年の夏も汗だくでこのハウスで過ごすことになるだろう。

ということで、今日の最優先事項として、材料や道具を揃えて取り掛かった。作業自体は初めてではないのでそう難しくはないが、既に貼ってあるビニールを取り外さずに内側から取り付けたので少し手間がかかった。また、すぐ横に溝があるので脚立がかけにくかったが、1時間弱で作業は完了。窓を開けると冷たい風が流れ込んできた。

今年の夏は、おそらく、気分的にも涼しいだろうし、なによりも投げっぱなしになっていたパーツをもう見なくていいのが一番気持ちが良い。

ご褒美はプロの剪定

ビニールハウスの前に立つギンヨウボダイジュ。

シンボルツリーとして存在感を誇っているが、大きくなるにつれて剪定が困難になってきた。

私自身、高所恐怖症というわけではないが、高いところで太い幹を相手に鋸やチェーンソーを使うのはさすがに怖くなってきた。

そこで数年前から、友人の庭師さんに一切合切をお願いする事にした。

私では技術的にも切ることができず、適当なところで剪定されていたので、木の側としても嬉しがっているに違いない。

また、ちょうど隣地との境に近く植わっているので、空き地とはいえいくらでも大きくするわけにもいかない。下手に剪定すると反発して余計にでも大きくなろうとする。

それが専門家の腕にかかると、弱らせずに伸びすぎないような仕立て方も可能なのだ。我々のような小さな草花を扱っているものにとってはなかなかできない技術である。

もう彼に任せて三年以上、徐々に私がしていた適当な剪定の頃とは明らかに整ってきたようだ。また、この冬の剪定を行う時点で、来年はこの枝を剪定して・・・と数年先が見えていることにも凄さを感じる。

最初の頃は「どうしてその枝を切るのだろう?」と見ていてもよくわからなかった。もちろん今でもよくわからないが、もうそのような疑念さえ湧くこともない。おまかせである。

今年は大きな幹を一本外す事になった。年輪を数えてみるとおよそ十五年。成長が早いので年輪の幅も広い。

伐採されたたくさんの枝は後日玉割り、薪割りして、次の冬の燃料にするつもりだ。薪が燃えるストーブがあるのは樹のすぐ横にある休憩用ビニールハウス。運搬も最小限で究極の「えすでぃじーず」だ。

冬は薪で温めて、夏は木陰を作って涼しくしてくれるありがたい樹。一年に一度、プロに剪定してもらうぐらいのご褒美をあげる価値がある。

雪の下から顔を出す

先月の大雪、1月25日の写真。おそらくこの冬で1番の積雪の時だろう。右側にハーブの親木たちがたくさん埋もれている。

これが今日の様子。ようやくほぼ全ての株が雪の下から顔を出した。念の為、それぞれの株を確認するが、やはりそれなりに被害は大きい。

ビニールハウスから滑り落ちた雪があるぶん、まだ一部、雪の下敷きになって横倒しになった枝もある。

今年もローズマリーはずいぶん枝折れ、裂けの被害にあった。毎年秋には、雪に備えて強く剪定してしまおうと思ってはいるのだが、「まだ冬の間に挿木に使うかも・・・」という中途半端な欲があって残してしまった株がこういう被害にあう。

この株は、確か去年か一昨年もそうとう裂けてしまった。えだを長く伸ばしていると雪で裂けてしまうということがわかったのだからきちんと剪定すれば良いだけなのに。教訓が生かされていないことをただ反省するばかり。

おそらく大丈夫だと思われるが、ホワイトセイジもずいぶん押し潰されてしまった。

ラベンダーも今回ところどころが折れてしまった。

今年被害を免れたのは、マートルの大株。今年ぐらいの大雪だと相当の枝折れが起こる。たまたま、秋にガーデナーのKさんに試しに剪定をお願いしたところ、太い枝だけを残して球状に刈り込んでくれた。「どうなるか・・・」と彼女も不安そうだったが、細い枝が透かれたおかげか、その間を雪が積もって行ったのだろう、全く被害なし。今年の秋もお願いせねばならない。

こうして、雪の下から顔を出してくれるハーブたちには毎回ドキドキさせられる。

ヒヤヒヤのこの季節なのだが、雪の下から顔を出してくれると嬉しいものもある。

昨日、ビニールハウスのご近所さんからいただいた蕗の薹。今年は出てくるのがちょっと早く、ずいぶん大きめだとか。早速、大量の蕗の薹味噌を作った。

これでしばらくは、日本酒を楽しむのには事欠かなさそうだ。