葡萄とハーブと奥出雲

ときにはハーブ以外の植物を栽培するプロと接するのも刺激的なものである。

今日は、奥出雲葡萄園のワイナリー長である安部氏のもとへ訪れた。ずっと昔から、当店でハーブをお買い上げいただいているご縁もあり、ワインづくりにお忙しい中にもかかわらず、時間を割いていただくことができた。アリガタヤ。

もちろん観光ではなく、葡萄栽培について色々聞きたいことがあったので、訪問させていただいたのだ。

奥出雲葡萄園は雲南市木次町の美しい丘陵地に位置する。高品質な乳製品の製造で全国にその名が知られている木次乳業(ここのパスチャライズ牛乳は我が家でもマストアイテム。いまもパスチャライズ牛乳入りのミルクティーを横に執筆中。)が母体ということもあり、そのこだわりのワインには熱烈なファンが多い。

近年は、日本の山葡萄など、優良な原種からの交配種である「小公子」という葡萄から作る、その名も「小公子」というワインが注目を浴びており、予約受付当日に完売、店頭販売も販売初日に完売するというほどの人気。そんなワインを作り出す安部氏とお話しできるのはまたとないチャンスなのである。

ところで、葡萄園を訪問して、葡萄栽培について質問しに伺ったなんていうと
「ついにSORAMIMIはブドウにまで手を出すのか?」
と思われてしまうので、それは無いことは断言しておきたい。ハーブをより良く育てるための一つの試みのためとしか今は公表できないが、いずれうまくいった時には紹介したいと思う。

さて、貴重なお時間を割いてお話を伺い、ご質問させていただくのだから、こちらもそれなりにブドウの育てかたについてある程度まとめてから現地へ向かったのだが、当方の初歩的な質問に対して、ものすごい量の情報とともに答えが返ってくる。葡萄のことになると、めちゃくちゃ熱く語られる氏。ああ、この人って本当に葡萄が好きなんだなあ。ということがガンガン伝わってくるのだ。特に、剪定についてのノウハウは、話を聞きつつメモをするだけでも大変だったが、つる性の他の植物にも応用できそうでとても参考になった。

葡萄の剪定
葡萄の剪定方法について熱く語られる安部氏。葡萄を見る目は真剣で愛情に溢れる。

また、奥出雲葡萄縁のすぐ近くで無農薬、無肥料、不耕起で葡萄を育てていらっしゃる方も交えてお話しすることができたのは貴重な体験だった。当店も無農薬での大変さはよくわかっているつもりだが、その上無肥料、不耕起ということになるとさらに苦労も多いことだろう。そのかわり、収穫できた葡萄はものすごく甘いとか。いちど体験してみたいものだ。この方とはお互いに悩みの一つでもあるナメクジの話題でしばし盛り上がった。(お名前をメモし忘れたのが悔やまれる)

植物を栽培している方とは、どんな植物であれ、色々通じ合うところが多い。栽培についての悩みや喜びもそうだし、今回はお互い、生産したものを販売しているといいう点でも重なるので、時間はあっという間に過ぎていった。

ついでにワインについても、ワインづくりをされている立場でなければわからないワインについてのあれこれを教えていただき、目から鱗が落ちた気分だった。

安部氏はハーブもお好きでご自分でも色々お育てなので、いくつかプレゼント苗を持っていった。奥出雲の地、葡萄のそばでうちのハーブたちもすくすくと育ってくれるだろう。

今日は車で訪れたので叶わなかったが、いつかまたワインを交えてお話ができれば・・・と思いつつ奥出雲の地を後にしたのである。

安部様、今日は本当にありがとうございました。

 

島根のワイン 奥出雲ワイナリー 奥出雲葡萄園

http://www.okuizumo.com/

こんな場所にはこのハーブ-ゴールデンレモンタイム

タイムの仲間は、冬の間花こそ無いものの葉色が様々に変化していろいろな姿を見せる。赤く色づくもの、斑が鮮やかになっていくもの、夏の間明るいグリーンだった葉が落ち着いたグレーになってしまうものなど、見ていて楽しい。

中でもゴールデンレモンタイムは気温が低くなっていくとともに葉の鮮やかさが増してくる。ここ松江近辺だとおおよそ10月の半ばぐらいから葉がその名の通りゴールデンの色合いに変わってゆく。

 

ゴールデンレモンタイム

このお家ではお庭の通路部分と花壇部分の境界の彩りとしてゴールデンレモンタイムを30cm間隔ほどに植えていった。夏前の定植だったので、強い豪雨等による泥跳ねが心配だったし、通路部分がむき出しだと雑草もバカにならない。そこで、通路にはココナッツチップを撒いたところ、とても具合が良かったらしく、どの株も非常に調子が良い。

元々、匍匐性のタイム類はこういうレンガの縁のようなところに植えると結構ご機嫌なようでうまく行きやすい。根がレンガに沿って地中に伸びていくため、夏の暑さにも耐えるし、水はけも良いのだろう。

この場所は東向きで後ろの花壇がかなり背が高いセイジ類があるため、午後はほぼ日陰になる。そのため夏の間、葉焼けもせず(葉やけをするとまず点々のように葉に出てくる)、秋を迎えた。

元々が野菜畑だったところなのでやや肥料分が多すぎるようで、予想していたよりも育ちすぎた感じである。通路にもやや出過ぎのかんが否めないのでこの冬か春先にはいちどサッパリと切り詰めてやる必要はあるだろう。

こんな場所にはこのハーブ-黄花アキギリ

セイジとか、サルビアというと地中海とか中南米というイメージがわきやすいが、世界中に分布する属なので日本にもセイジ(サルビア属)は何種類もある。

サルビア属であってもさすが日本原産というべきか、木陰でひっそりと咲くタイプが多い。なかでも山野草として愛されているアキギリは典型的だ。

その名の通り、秋に咲くので夏にも強そうに思うが、乾燥と強光線は苦手である。大きくて柔らかい葉は、夏の強い日差しに茶色くカリカリになってしまうのだ。

黄花アキギリ
この花壇では、明るい花色がお好きなオーナーさんのご希望で黄花アキギリを定植。南側にメキシカンブッシュセイジの大株を植え、昼頃からの直射日光が防げるようにした。(というより、メキシカンブッシュセイジの大株を花壇の中心に・・・というご希望だったので、陰になったところに黄花アキギリを植えたというのが正しいが。)幸い、裏山が迫っている場所なので夕日も心配がいらない。実質日が当るのは朝10時ぐらいまでだろうか。メキシカンブッシュセイジは、冬から春は地上部が無くなるし、背が高くなり、直立した枝がたくさん出るので株元は夏に強い植物を植えるのにちょうど良い。春先に咲くような、冬には日が欲しいけれど暑さに弱いもの(本当は大きな落葉樹の下が一番良いのだが)を組み合わせて植えるのに重宝する。

今年6月に定植し、梅雨の間に活着。真夏、まだメキシカンブッシュセイジが株が十分に広がらなかったため、8月終わりには葉が傷みはじめて相当心配した。柔らかで大きな葉も持ち味なのに、葉が傷んではせっかくの良さも半減してしまう。でも、その後メキシカンブッシュセイジの急激な成長もあって、コンディションも持ち直し、10月終わりにはかなり花が楽しめるようになった。

ちょうど、この場所から少し離れた峠に、黄花アキギリの自生地がある。そこもこの写真のように木漏れ日に映える花が群生し、息を飲むほど美しい。ここ数年足を運んでないけれど、今も広がっているだろうか。

レモングラス虫その後

秋も深まり、冬支度もせねばとせかさせる天気が多くなった。ただ、ここ松江ではものすごい寒さになることは無いので、掘り上げて越冬させる必要があるハーブはそれほど多くはない。

レモングラスについてもお客様から話を聞く限りでは寒さが厳しい年にはダウンするようだが、簡単な防寒をすることで、何年も地植えで越しているという方も結構いらっしゃる。

とはいえ、圃場がある地区では、さすがに【松江の北海道】と呼ばれるほどはあって、掘り上げておくのが安心だ。そのため、9月ぐらいから徐々に掘り上げて行く。

鉢上げしてしばらくは、きちんと活着しているかが気になるのだが、活着してしばらくすると、今度は別の心配が出てくる。

すべての株というわけではないが、茎をかじる幼虫がいるようなのだ。三年ほど前「レモングラス虫」の投稿でも紹介したが、株元近くに穴が空き、食べかすが散らばっているとほぼ間違いない。確証はないが、色々調べたところ、イネ科植物に良くつくアワノメイガの幼虫ではないかと思われる。

アワノメイガの食害
葉と茎の間に食べかすが見つかる。まだ食べたばかりのようだ。
レモングラスをかじるアワノメイガ
大抵はこんなふうに穴が空いている。古いと黒っぽくなる。

野菜でこの害虫の被害に遭いやすいのがトウモロコシのようで、「トウモロコシ アワノメイガ」などで検索すると情報もたくさんあると思うが、穴が空いた当りを剪定してみると大抵茎の中に隠れている。レモングラスのほうは中心が食い荒らされるため葉の先のほうが茶色くなり、すっぽ抜けることもある。

早く見つけて取り除き、剪定してしまうのが一番いいようだ。放っておくと根の方向へ食い進むようで、その場合は株自体がダウンしやすい。

レモングラスとアワノメイガ
穴の当りで切ってみると・・・。茎の中にいたいた。これを見るといつも思い浮かべるのがお菓子の家。天国だよね。

アワノメイガとレモングラス
今の時期ならバッサリ切っても根がしっかりしていれば小さな新芽がまた出てくる。おそらく今後は時期的にもほとんど発生しないから一安心だ。

アワノメイガとレモングラス
横から小さな芽が出ているので、大抵はこれが伸びる

また、大きな株ならば全体にダメージが及ぶことは無いと思われるから、鉢上げしたり、株分けしたりする時に注意すればいいのではないだろうか。卵の時点で見つけることができれば一番いいが、来年の課題だ。

仲間入り

趣味で使うのならともかく、仕事で使う道具は作業効率にも影響してくるので選ぶのも慎重にならざるを得ない。特にプラスチックなど合成素材のものは、ときにあっという間にダメになってしまうものもあったりするので特に気を使う。

tubtrugs
この、TUBTRUGS(タブトラッグス)も、ガーデナーの友人に教えてもらったのだが、購入するまで相当悩んだ。使い勝手は良さそうだったのだが、問題はやはり強度。水を入れて(大きいのは40リットル弱)、取っ手が重さに耐えられるのか、そしてハードな庭仕事で雑に使っても長期使用ができるかどうかが不安だった。

なので、購入してピカピカの時はあえてここに紹介するのをやめた。5月に購入して、半年が過ぎた。たくさんの庭仕事に連れ出したが、全く問題無し。晴れて当店の作業グッズに正式に仲間入りである。

サイズや色もバリエーションがあったので、わざと色違い、サイズ違いにしてみた。重ねて入れておくにも都合が良い。現場で使ってみるとLサイズは、草取りの時にざっと放り込んだりするには良かったものの、水を入れたところでとても持てる重さではない。取っ手の強度の心配も杞憂に終った。水を入れて持ち運ぶのならMサイズ(26リットル)も手に余る。Sサイズ(14リットル)がちょうどよかった。Mサイズは、こまごまとしたツールを入れておいたり、泥を掘り上げて一時ためておくのにちょうど良い。

そして一番の特徴は柔らかいこと。柔らかいので割れないのはもちろんのこと、Sサイズは水を入れて、取っ手を持つと両端がしぼむ。その状態で傾けるととても水が注ぎやすい。特に大きな苗の植え込みで水ぎめをする時などには最適である。もちろん強度も問題ない。内側にはごく薄いが、容量が分かる目盛りがついている。土の量を量る時などに案外便利だ。

カラフルな色は、目立ちすぎてと言う意見もあるかもしれないが、お客様の庭に忘れ物をしやすい我々にとってはむしろプラスだったりする。

良く似て、はるかに安い商品が雑貨店などにもあるようだが、強度の面では当てにならない。買って後悔しないように。