明日こそ

先日、庭師さんにギンヨウボダイジュを剪定していただいた。以前は我々スタッフで行なっていたが、大きくなりすぎて、危険を伴うようになってきた。

今回はそれほど強い剪定ではなかったが、それでも結構な量の剪定枝が出現した。

これらの剪定枝は、今後乾燥して来年・再来年のストーブの燃料になるのだが、その前にこの枝を切り揃える作業が待っている。

ただ、こうして山になっていると、プレッシャーが大きくてなかなか作業に取りかかれない。

今日など、天気も穏やかだし、作業にはもってこい。チェーンソーも準備できているし、いつでもできるのだが、結局他の作業を進めているいうちに夕方を迎えてしまった。

まだ、今後この枝たちに、さらにネムの枝も加わる予定。それまでに少し減らしておかなければ。

明日こそ。

ご褒美はプロの剪定

ビニールハウスの前に立つギンヨウボダイジュ。

シンボルツリーとして存在感を誇っているが、大きくなるにつれて剪定が困難になってきた。

私自身、高所恐怖症というわけではないが、高いところで太い幹を相手に鋸やチェーンソーを使うのはさすがに怖くなってきた。

そこで数年前から、友人の庭師さんに一切合切をお願いする事にした。

私では技術的にも切ることができず、適当なところで剪定されていたので、木の側としても嬉しがっているに違いない。

また、ちょうど隣地との境に近く植わっているので、空き地とはいえいくらでも大きくするわけにもいかない。下手に剪定すると反発して余計にでも大きくなろうとする。

それが専門家の腕にかかると、弱らせずに伸びすぎないような仕立て方も可能なのだ。我々のような小さな草花を扱っているものにとってはなかなかできない技術である。

もう彼に任せて三年以上、徐々に私がしていた適当な剪定の頃とは明らかに整ってきたようだ。また、この冬の剪定を行う時点で、来年はこの枝を剪定して・・・と数年先が見えていることにも凄さを感じる。

最初の頃は「どうしてその枝を切るのだろう?」と見ていてもよくわからなかった。もちろん今でもよくわからないが、もうそのような疑念さえ湧くこともない。おまかせである。

今年は大きな幹を一本外す事になった。年輪を数えてみるとおよそ十五年。成長が早いので年輪の幅も広い。

伐採されたたくさんの枝は後日玉割り、薪割りして、次の冬の燃料にするつもりだ。薪が燃えるストーブがあるのは樹のすぐ横にある休憩用ビニールハウス。運搬も最小限で究極の「えすでぃじーず」だ。

冬は薪で温めて、夏は木陰を作って涼しくしてくれるありがたい樹。一年に一度、プロに剪定してもらうぐらいのご褒美をあげる価値がある。

視点

地植えで大きく育ったギンヨウボダイジュ、3メートルぐらいまでは剪定も楽で、落葉後に適当に剪定していたのだが、太い枝が人間の太腿ぐらいになると、いろいろと難儀になってきた。

手鋸で切れそうな太さの枝は相当高いところに登る必要があるし、低い位置の枝はチェーンソーでなければ太刀打ちできないようになってきた。

しかも、大きな樹木を剪定するときには小さな草花を剪定するのとはまた違う視点が必要だ。

我々は普段上から草花を見て剪定しているが、樹木の場合は下から見上げたり、枝に登って剪定する。下から見上げて剪定する場所を決めても、あとで離れて見ると妙なところを切ってしまっていたりする。ましてや枝に登って剪定するとなおさらおかしくなる。

草と樹木という違いもあるのだろうが、自己流で剪定した後は伸び方もなんか変で、妙なところから変な方向に枝が伸び始める。

数年前、ついに諦めて、プロの庭師さんにお願いすることにした。この冬もお願いしていたのだが、2月の終わりになっても来られないので、忙しいのかな・・・、仕方ないから適当に切ろうか(庭師さんからするとやめてほしいことだが)・・・。と思っていたら2月の最終日、作業に来ていただけた。

当日、自分の都合が悪く実際の作業を目にする事はできず残念だったが、翌朝来てみると薪ストーブ用にきちんと切り揃えられた枝が積んであった。

この心配りも嬉しいが、実際に剪定していただいた樹を見るのがまた楽しい。毎回、「どうしてこういう場所を?」という位置で剪定してあるのだ。何度も見ているがまだよくわからない。

きっと、即座に判断して剪定位置を決められるのだろう。木に登っていても、全体像が頭の中に映っているのかもしれない。

また、樹木医でもあるこの庭師さん、ただ形を整えるだけではなく、今後の樹の成長を考えながら剪定していただいている。実際にお願いするようになってから、自分がやっていた時のように剪定の反動でいたずらに枝が伸びることがなくなった。

剪定された枝の量も毎年減っていく感じだ。当店のスタッフの中にも彼に松の剪定をお願いしているものがいるが、毎年作業時間が短くなっているという。

「子供と同じで、押さえつけると反発します」というのは彼の言葉。樹木を見る視点。見習いたいものだ。

菩提樹で出初め式

年が明けてから雨が降る日がなかったが、仕事始めは久しぶりの雨模様となった。

仕事始めと言っても、年末から水やりや片付けなど、細々とした仕事があるので久しぶりという感じは全くない。

朝、樹木医のMさんから連絡が入り、頼まれていたボダイジュの剪定に伺いたいとのこと。

この雨模様で剪定作業するなんて、新年から気合が入っているなぁ。と感心した。

この銀葉ボダイジュもビニールハウスの脇に植えてもう10年近くになるだろうか。夏はいい木陰を作ってくれるようになったが、さすがに大きくなりすぎた。しばらくは自分で剪定していたのだが、高所で太い枝を剪定するのは緊張するし、怖さのため、作業自体もついつい適当になってしまう。

数年前からMさんに依頼していたのだが、急な海外出張などもあり、結局は自分で行う年が続いた。なので、ようやく念願が叶いそうだ。幸先いい新年だ。

所用でビニールハウスから一旦離れ、戻ってきたらMさんが既に到着して10時のお茶中。ところが、今日は作業を諦めたという。こっちにきたらあまりに強い雨だったので断念したとのこと。安全第一なので無理は言えない。

お茶を飲みながら「本当はあまり剪定しないほうがいい」という話を聞く。強く剪定するとどうしても樹は反発して余計でも枝を伸ばそうとするとのこと。とは言え、周囲への配慮もあり、伸ばしっぱなしにするわけにもいかない。樹木医さんの腕を頼むよりほかはない。

結局午前中は作業は見送りとなったのだが、少し雨が落ち着いた夕方、Mさんがもう一度作業に現れた。残念ながら自分はいなかったのだが、スタッフが写真を残しておいてくれた。

雨の中この細い枝に登り、出初め式ばりのアクロバットで剪定作業をしていらしたとのこと。

やはりプロはすごい。

翌朝、圃場に着くと、大量の枝が剪定されて積まれていたのだが、樹を見るとそれほどではない。樹もきっと、あまり剪定されたと思わずに反発しないでいてくれると助かる。

さらに、樹木医さんから、「挿し木をするなら横に伸びようとする枝よりも、上に伸びようとする枝の方が、根を出しやすい」というアドバイスをいただく。早速剪定枝の中から真上に伸びたものを選んで挿し木を実行。このところあまり活着率が良くなかった原因の一つかもしれない。

出初め式は見れなかったが、やはり幸先いい新年になりそうだ。

夏を耐えたギンヨウボダイジュ

9月に入り、今日からしばらく気温が高くなりそうな予報が出ているが、せいぜい30度を少し超える程度で、着々と秋に向かいつつある感じがする。圃場の周りでも例年のように奥の山からミンミンゼミがおりてきて日中はかなり大きな声で鳴いているし、朝夕は草むらの虫の声も盛大になってきた。

夏の盛りを過ぎると花を咲かせるレウコジャム・オータムナーレ(レウコユム)も、満開になり、秋の風に花を揺らしている。今年も種子をたくさんつけ始めていてちいさいながら花壇で着実に勢力をひろめつつある。

昨年と大きく違うのはやはり梅雨明けが20日ぐらい遅かったこと。昨年は梅雨明けも早くそれからずっと雨が降らなかったので、ビニールハウス前のギンヨウボダイジュも秋を待たずに落葉してしまった。同じく、キウイも水やりをしていたのにも関わらず葉が全部落ちてしまった。

ギンヨウ菩提樹
昨年8月下旬のギンヨウボダイジュ。すでに左側がかなり葉が落ちているが、このあと葉が全ておちていった。

ところが、今年のギンヨウボダイジュは少し葉は傷んでいるものの、葉がしっかり残っている。キウイについては水やりもしなかったのだが、なんとか硬い葉が残っている。

ギンヨウ菩提樹
今年のギンヨウボダイジュ

葉が残って、日陰を作ってくれるのは嬉しいが、ひとつ残念なのはこの先紅葉せず、あまりぱっとしない茶色でカサカサの葉になって落ちてくること。

そのぶん、春の新芽は思わず頬が緩むほど綺麗な色を見せてくれるのでそこまで望むのは欲張りすぎか。