彼岸花が終わる頃に

秋になっても気温が高い日が続いたのに、彼岸花はむしろ去年よりもお彼岸近くに咲き始めた。その彼岸花ももう終盤。早く咲き始めた株は花も萎れ始めている。

彼岸花が色鮮やかななか、近くの林からはミンミンゼミやツクツクボウシの鳴き声。一方で雲の様子は秋めき、感覚がぐちゃぐちゃになりそうだ。

今年も御多分に洩れず、暑さで傷んだ苗も少なからずある。正直、我々人間の方がダメージが大きくて苗のケアが十分にできなかったという事情も多い。

そんな中、ようやくマドンナリリーが土の中から顔を出し始めた。夏前に徐々に葉が枯れていくのをみると、毎年のように心細く感じる。大きな株は心配する必要はないが、小さな苗は無事夏を越してくれるだろうか毎年やきもきする。

まだ数は少ないが、彼岸花の花が終わるころには、もう少し芽を出す株も増えてくるのを期待するばかりだ。

自然で不自然

降水量が少ないので、圃場のボダイジュが葉を落とし始めた。

おそらく、今の水分量では全部の葉を養っていくのが難しいのだろう。

株元には秋遅くのように枯れ葉が落ちつつある。全部落ちる前にしっかりとした雨が欲しいものだが、今の所の天気予報では望めそうにもない。

ビニールハウスの中に張ってある寒冷紗にも枯れ葉が・・・と思ったら昆虫だった。

自然の中ならば絶対に気づかないと思うが、不自然な寒冷紗にとまっているので不自然に見えてしまう。

アケビコノハという蛾の仲間らしい。枯れ葉に擬態して身を守っているのだろうか。でも、止まる場所にも気をつけな。と言いたくなってくる。せっかくの擬態が台無しだ。

お金が降ってくーやなもんだ

昨日午後、本当に久しぶりに雨が降った。全国のニュースでは台風や大雨の話題ばかりなので意外かもしれないが。

山陰地方は梅雨明けが非常に早く、短い梅雨ということもあって降水量が極めて少なかった。

先般、近隣のダムも放水量が調整されたり、取水制限が始まった水系もある。

このまま本格的な夏を迎えるのは(もう十分本格的だが)さすがに心細かったので、昨日の雨はとても嬉しかった。

以前スタッフのお父さんが、こんなとき

「お金が降ってくーやなもんだ(お金が降ってくるようなものだ)」

と言ったとか。その気持ちもとてもわかる。

残念ながら、圃場の横、山から流れ出てくる湧き水は微増程度。昨日の雨は木々や土がしっかり吸い込んだのだろう。

ここしばらく、萎れ気味だったレモンヴァーベナも葉がイキイキとしていた。

草木たちにとってはお金以上にありがたいひと雨だったことだろう。

緊張の休憩時間

普段の5月ならば、休憩タイムは屋外で初夏の風に吹かれて・・・というのが恒例だったが、今年は肌寒くて「なかでお茶を飲もうか」というパターンも多かった。

それでも6月になった今日は外のボダイジュの下での休憩となった。

新緑の下での休憩は心まで爽やかになってくるように思える。

お茶が終わりそうになった頃、向かいに座っていたU君が、

「その上にあるのって蜂の巣ですかね・・・」

というので見上げたら、頭の上になにやら見覚えのある物体が。サイズからしてもスズメバチ(おそらくコガタスズメバチ)の巣のようだ。

微妙な高さにあるうえに、いまちょうど長い枝切り鋏が手元にないので対策できないが、今はまだおそらく女王蜂だけがいるようなのでこのチャンスを逃すと面倒なことになりそうだ。

スズメバチには申し訳ないが、この木陰の下は譲れない。リラックスできる貴重な休憩時間が緊張の時間にするわけにはいかないから。

遠くから見つめるのみ

GWの終わり頃から、畑のニオイアヤメが一気に蕾をつけ始め、薄紫色の花を咲かせた。

あまり気温が一気に高くならなかったせいもあるのか、花もちがよく、2週間近く開花している。近くを通ると甘い香りも漂ってくる。

残念なのはその香りをゆっくりと楽しむことができないこと。ガーデンチェアに深々と座って、お茶とお菓子でも楽しみながら・・・なんていうのは夢のまた夢。近くに腰をおろしてゆっくり眺めることさえなかなかできない。

せめて、いい時の姿をと、写真に撮ることができたが、それも作業の隙に思い出したようにようやくできたぐらいだ。

幸い、花は作業台のところから遠目に見える。作業の手を休めて、遠くから見つめるのみ。昨年も、一昨年も、きっと来年もそうなのだろう。