適切な株数

ときどき、◯◯は何株植えるといいですか。という質問をいただくのだが、正直、答えるのがとても難しい。

育て方や環境、使い方によってもずいぶん違う。ローズマリーのように地植えで大きく育てば、一株で十分な種類もある。いっぽうでバジルのような種類は、その家によってもかなり違う。とあるおうちでは毎日のように消費するので畑に10株あっても足りないそうだ。あまり使わない家庭なら1株でも楽しめそうだし。仕方がないので、バジルなら一人一株を目安にというような曖昧な答えにならざるを得ない。

極端なのはローレルのような種類で、初期の成長が遅いので葉を収穫できるまでは年単位でかかるが、地植えにして大きくなりはじめると毎年の剪定に困るぐらいだ。背丈を越えるような株になると、とても食べて消費することは現実的ではない。リースやスワッグなどで贅沢に消費するぐらいだろうか。

そもそも、アドバイスをする側の本人でさえ自家用の菜園では毎年何をいくつか植えるかで悩み、失敗ばかりしている。特に夏野菜が問題だ。種類が多いし、場所は限られている。その上成長も速いのでなんでもかんでも植えることはできない。きゅうりとプチトマトだけはここ数年、植える数が確定してきたのだが、他はまだまだ。今年は特に植え付けが遅れたせいで、3株植えたシシトウもほとんど収穫できずにいる。一昨年は、同じ数でもうんざりするほど収穫できたのに。

バジル
雨が少ないので、葉が硬くスパイシーな香り。花芽も上がってきてしまった

バジルも今年は5株植えたのが、雨がとても少なくて成長があまり良くなかった。例年、バジルペーストを何瓶も作れるほど収穫できるが今年は生食のみになりそうだ。

逆にうまく育たなくて吉とでたのがオクラ。毎年3株を目標に植えるのだが(1株では足りなそうなので2株、それに枯れるのを見越して予備に1株)、いつも持て余し気味だ。急成長するオクラは大きくなりすぎると硬くて美味しくないので毎日のチェックが必要だし。

それが今年は、やはり植えるのが遅すぎて未だ腰ぐらいのサイズ。その上一株は枯れてしまった。もう一株は生育不良。結果として1株だけが育っている状態となった。

それでも、2~3日に一度数本のオクラが収穫できる。食卓にも時々載るぐらい。これがちょうどいい。どうやら一株を丁寧に育てるのが良さそうだ・・・とかいいながらまた来年も3株植えちゃうんだろうな。

悩める夏の終わり

9月に入ったというのに、昨日の最低気温は30度。日中、一時的に気温が高いのは仕方がないにせよ、夜に気温が下がらないのは人間のみならずハーブたちにとってもしんどいに違いない。

気温を無視すれば、日差しは明らかに秋の様相。柔らかな感じになっているのだが、なかなか寒冷紗も取り外すことができない。

柔らかく育つラベンダー

そのため、親木も、どうしても柔らかく伸びてしまうものが多く、しばらくは挿し木ができないだろう。ラベンダーなど、柔らかく育ちすぎて、挿し木をしても腐りやすい。涼しくなったら一気に寒冷紗を取り外すことになりそうだ。

早く取り外したい寒冷紗なのだが。

また相次ぐ台風の接近も頭が痛い。9号はそれほど警戒していなかったし、軽いものが少し飛ばされたぐらいで被害は少なかった。せいぜい物置用のちいさなビニールハウスの天井が裂けたぐらいだ。これはもともと強度に問題があったので仕方がない。

ただ、次の10号は報道でもしきりに言っているように油断は厳禁。例によってフルクローズにする必要があるのだが、これもタイミングがとても難しい。本日現在の予報では月曜日の朝から夕方にかけて最接近とのこと。せめて曇りか雨であってほしい。暴風で日が差すようなことにでもなれば換気のために一日中ビニールハウスにつきっきりになるかもしれない。「ハウスと一緒に飛ばされないといいね~」なんて冗談で言っているところだが、冗談で終わることを願うばかりだ。

今日はビニールハウスを固定している紐やパイプの点検、交換、飛びそうなものの片付けを行った。

あわせて、屋外の畑のハーブたちも台風対策。せっかく花が咲いているジュピターズディスタフもおそらくかなり風で傷むだろうが仕方がなさそうだ。

どれだけ助けになるかはわからないが、風で振られそうなティートゥリーに支柱をしたり、不必要な枝を剪定する。ラジオでは警戒を呼びかけ続けている。聞いてばかりいると不安ばかり募るが、なんでもいいので対策を行っていると、すこしでも気がまぎれるものだ。

 

ティートゥリーの復活

まだ梅雨が明けない。我々にとってはから梅雨はこれから夏を迎えるに当たって恐怖なので、例年より長く梅雨が続いて欲しいという気持ちもあるが、それでも災害だけは勘弁して欲しい。

今日も一時的だがゲリラ豪雨があり、道路のグレーチングが持ち上がって通行止めになっていた。人の力では二人でようやくという重さなのに、水の力の強さをあらためて思う。

強い雨が降ると、ラベンダーなどへの、泥の跳ね返りが心配でもある。天候が不安定だと心配も尽きない。

そのようななかでも、少しでも嬉しい話題があるといいものだ。

2週間ほど前、親木を管理しているビニールハウスで、気がついたらティートゥリーの大きな鉢植えが枯れていた。お客様からもよく問い合わせがあるのだが、ティートゥリーは一瞬にして枯れてしまうことがよくある。案外水切れには弱いのだ。おそらく、この鉢も何かのせいで水やりの不備があったのだろう。あれよあれよという間に葉が落ちてしまったと容易に想像がつく。

同じようなことは、真冬、寒さで枯れてしまうときにも起こりやすい。この時は、暖かくなるのを待つしかない。

今回、幸いにも梅雨時で雨マークも続いていたので、しばらく屋外に放置しておくことにした。1日一度、シャワーで水を与えるよりは、しとしとと降り続く雨に当てた方が良さそうだと考えたのだ。もちろん、ある程度諦めもついていたのだが。

今日見ると、比較的上の方の枝から新芽が顔を出していた。これでもう安心である。おそらくいろいろなところから次々と新芽が出てくるだろう。

きっとまだ梅雨の終わりの大雨があるに違いない。梅雨が開けたら、また親木を管理するビニールハウスで以前のように育てることになる。本人(本ティートゥリー)にとっては外の方が気持ちが良いかもしれないのだが。

草取りしながら生き物観察

一日中降り続いた昨日の雨もようやくあがった。

昼前になってようやく仕事が一段落したので、気になっていた花壇の草取りにとりかかる。

草が伸びて蒸れるとよくないものから優先。ラベンダーやセイジなどの株元の草を取り除く。

ホワイトセイジの周りも草を取り、株元にマルチがわりの麻布を敷いておく。ちょうど挿し木に良さそうな枝が伸びていたので、剪定しようとすると、てんとう虫がゴソゴソ。

てんとう虫とホワイトセイジ今年は春になる前から時々見かけていたのだが、このところなおさらよく見かけるようになった。もちろん、そのぶんアブラムシも活躍しているということになるのだが。

てんとう虫とローズマリー
3/22ホワイトローズマリーにいたてんとう虫。

先日、寒い日に見かけたてんとう虫はローズマリーの蕾のところに頭を突っ込んでじっとしていた。寒くてそうしているのか、アブラムシでも見つけて食べようとしていたのかはよくわからなかったが。

今日は更にバッタの仲間までごそごそし始めていて驚く。4月とはいえあまり見かけないように思うのだが。あとで調べてみたらキリギリスの仲間で「クビキリギス」というらしい(たぶん)。なんかあまりいい名前とは思えない。つけられた方もいい迷惑だ。

これに限らず、今年は「おやっ!?」と思うような時期に昆虫を見かけることが多い。

クロバネキノコバエとアブラムシ
3/14斑入りシーキャンピオンにいたクロバネキノコバエ 。右のほうにはアブラムシも見える

特に驚いたのは、普段の年ならばかなり暑ささえ感じるころに目立ってくるクロバネキノコバエを3月の初め頃から見かけたことだ。いつもなら、春先にまずタネバエを見かけるようになり、それが落ち着いた頃にクロバネキノコバエが現れるのだが、今年はタネバエよりも先にクロバネキノコバエが出てきた。年を越したのだろうか、それとも発生が早いのだろうか、それはわからないが、お客様からも問い合わせがあったので、発生時期が早まったのには間違い無いと思う。

小さな昆虫が動き出せば、それを捕食する生物たちも賑やかになってくる。

アマガエル
今日はアマガエルもよく見かけた

今日は小さなカエルを何匹か見かけた。頼もしいかぎりである。

流石にカマキリの卵はまだ硬いままのようだ。いつ活動を開始するか、毎日眺めては気にしている。

カマキリの卵鞘
毎日気になっているカマキリの卵鞘

ついつい生き物に目がいってしまい、写真を写したりしているうちにあっという間に昼になった。草取りはというと、決して進んだ感はなかった。

育てない理由

園芸の一つの楽しみが、育てにくい種類を試行錯誤して育てることだ。もちろん、当店でも色々な試みをしてうまく育苗できた時の喜びは大きい。

一方で、あまりに難しかったり、無理をしないと育たない種類は、紹介、販売することもためらわれるのも事実だし、そういう理由で育てていない種類もある。

ただ、育てやすいはずなのに、苗のリストになく、お問い合わせをいただく種類もまたいくつかある。

いままでに何度もお問い合わせをいただいたことがあるし、例年特にこれからの季節にまた同じご質問がきそうなので、一度この場でお答えしておこうと思う。

たとえば、

「ロケット(ルッコラ)の苗はありませんか?」

というお問い合わせだ。

ロケットは、ロケットサラダとも呼ばれるように、サラダなどに加えるとゴマの風味がして美味しいし、この頃はベビーリーフとしてスーパーの棚に並んでいることもある。クッキングハーブとしてもかなり昔から紹介されてきたのでハーブの中でも知名度はそれほど低くないと思う。

秋のロケット
秋はじめに直播きしたロケット(ルッコラ)。柔らかくて美味しい葉が伸びてきて食べごろ。

栽培もそれほど難しくないので、どうして扱っていないのかと思われても仕方がない。

苗を育てていない理由は、「苗から育てるのではなく、種子を撒いて育てるのが一番良い」からである。実際、自家用の畑では毎年秋に何度かに分けて種子をまき、真冬を除いて秋遅くまでと、春先から初夏まで結構長く楽しんでいる。

ただ、これを苗で育てようとすると、あまり面白くない。発芽はあっという間だし、すぐに大きくなる。だが、苗のまま長期間キープできず、あっという間に花芽をつけてしまう。一年草なので花が咲き始めると食べる目的の葉は小さく硬くなり、花が咲いたら、はい、おしまい。である。もちろん、たっぷり元肥を与え、水を切らさずにすれば開花までの期間は伸びるし柔らかい葉も育つだろう。その代わり、病害虫の心配も格段に増える。

また、ベビーリーフとして楽しむぐらいなので、大株にして収穫というよりも、小さくて柔らかい葉をどんどん使う方が美味しい。やはり畑でもプランターでも直接種子をまくのに越したことはないという結論に至ったのである。

寒さに強いので、ロゼット状に冬越しして今の季節がっしりとした葉をつけるのだが、モサモサしているし癖が強い。サラダに使うなら、芽が出て少し大きくなった柔らかい葉のほうに軍配をあげたい。

畑のロケット
冬を越したロケット。葉がやや硬い。

しかも、種子は簡単に収穫できるので、一度大きく育てたら、また秋に種子をまいて(寒冷地は春が良いが)繰り返し楽しむことができる。種子も園芸店やホームセンターで見つけやすい。この頃はハーブよりも、野菜やベビーリーフのコーナーにあることも多いようだ。

ロケットの花
例年5月ごろに咲くロケットの花。この後鞘の中に種子ができる

こういったことからも、苗で育てるメリットは、育苗する側にも、購入される側にもあまりない。なので育てていないのだ。

同じく一年草でも、種子が非常にちいさいジャーマンカモミールや、ある程度気温が必要なバジルなどは、お客様の側から見ても苗から育てるメリットが大きい。もちろん、種子が手に入る一年草は、是非種子から育ててみるのをおすすめしたいところだ。特にコリアンダー(パクチー)やディルチャービルボリジなどをおすすめしたい。

ロケットの発芽
冬を越して発芽したロケット。暖かくなると一気に成長するので目が離せない。

ちなみに多年草のワイルドロケットについては(正確には種類的にずいぶん違うが)、苗から育てるメリットもあるし、まだどこでも種子が手に入りやすいというわけではないので、育苗している。一年草のロケット(ルッコラ)に比べると味は若干劣る気はするが、楽しめる期間は長いので、気温が高い地域など、一年草のロケットがとう立ちしやすくて困るという方は試してみる価値があると思う。

さて、春が早かった今年は、自家菜園のロケットもうトウが立ち始めている。諦めきれず、少しでも長く使えるようにとトウを剪定してみたのだが、これから気温がどんどん上がるようなら無駄な抵抗かもしれない。