難しい判断

冬の雨が小休止する間を縫って庭作業が続く。さすがに 12月も半ばになると花の数も限られ、お庭の彩度も低くなりがちだ。

そんななかで孤軍奮闘しているのが宿根ネメシア。今年10月に植えたばかりなのだが、暖かめの秋のせいもあるのか、一回り成長して花をつけ始めていた。
宿根ネメシア
お客様からは喜んでいただいてはいるものの、きっと雪が降っても雪の中で花を咲かせるのだろうと思うと「まあ、ちょっと休憩して、春から咲かせてはいかが?」と言いたくなる。雪の重みでほとんどちぎれそうになった枝で花を咲かせているのを見ると哀れに感じるというよりむしろあきれてしまうぐらいだ。

自分の庭ならさっさと剪定しちゃうところだが、お客さんのお庭では、数少ない花を取り除くのはなかなか難しいところなのである。

自粛

松江近郊でいくつかのお庭を手がけさせてもらっているが、徹底的に管理できる庭ばかりだと言うわけではない。コストの関係もあって、あまり手がかからないように作っていく庭もある。

雑草が生えにくいよう、生えてもとりやすいような土作りやグラウンドカバーの選定も大事だし、植える植物の方もあまり手がかからないものを選ぶ必要がある。かといって目を楽しませる要素も必要だ。

この辺りではローズマリーは育ちやすいしトラブルフリー、花の少ない時期に開花するので良く使っていた。ただ、我ながら少々ワンパターンにも思えるようになってきたのでこの頃は自粛気味。次に良く使ったのが宿根ネメシア。花もちょっと香るし、ほったらかしにしてもいつでも咲いている。少し手を入れれば言うこと無い。また、これも別にハーブではないのだが、エリゲロンも重宝している。

エリゲロン・プロフュージョン

何と言ったって頑丈だし、花色が変わるので見栄えがする。これも年中咲いているので花殻があっても開花中の花で気にならない。少し広めの場所でもこれを植えておけばかなり手間が省ける。市内のイングリッシュガーデンでも上手に使われていた。ただ、これも近年、この辺りでもよく見かけるようになったのでワンパターンと言われぬうちに手控えなくてはと思っている。

そのためには次の候補を見つけるのが先だけど。

寄せ集め部隊

昨日に続き、もう一鉢紹介。こちらは、もう少し後、10月の初頭に作りはじめた鉢植えである。

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2カ月を経て、ようやく見栄えがするようになり、店頭へ持ってきた。

材料は下葉がすっかり無くなってしまったフレンチラベンダーのアボンビューをメインに、

アボンビューラベンダー

だらだらに育ったナスタチウム、色が不明の同じくナスタチウム、まずまずまともな宿根ネメシア(扱いやすくて、花も長期なのでついつい多用してしまう)、そして伸びきってしまったエリゲロンである。いずれも圃場のあちらこちらから持ってきた寄せ集め部隊である。

素材

いずれもばっさり剪定して植え込んだ時はこんな感じ、非常に殺風景である。鉢も、一年ぐらいビニールハウスでほったらかしのテラコッタ。良い意味で味は出ているが・・・

寄せ植え

こんなひどい状態でも、何度か剪定をしながらきちんと育てれば、店頭の隅を飾るぐらいにまではなってくれる。来春、ラベンダーの開花が楽しみである。

思いきって

剪定はハーブを育てる時に避けては通れない作業。ところが慣れるまではなかなか大胆にできないものである。何年か育てていれば、ここまでは剪定できる、これ以上切ると危ない、と言う勘所がつかめてくるので徐々に思いきって剪定をすることができるようになる。

それでも、お客様の庭で株を剪定するのはそれなりに気を使う。

宿根ネメシア 剪定前

これは春先に植えた宿根ネメシア。花もそこそこ咲いていて、一見調子良さそうに見える。でも、株元がだいぶ木質化してきて葉も落ちている。葉も黄色味がかかってきているので、ここはある程度枝や葉を更新してやる方が良さそうである。第一、このまま伸ばしていては冬、雪でも降ろうものならべたーんと潰れ、見栄えも悪くなってしまう。

宿根ネメシア 剪定後

ネメシアは見た目よりはずいぶん剪定に強い。せっかく花が咲いていて、株にもお客様にも申し訳ないところだが、今後のことを考えてばっさりと剪定してしまった。まあ、おそらく大丈夫だろう。

今気になっているのは同じ庭にあるハイブリッドティーのローズ。何年もほったらかしになっていてひどい枝ぶりなのだ。昨年から手を入れはじめ、コンディションも良くなってきたので、剪定はこの冬が勝負だと思っている。セオリー通りすれば問題ないとは言え、さすがに今回のように気楽にはできないだろう。

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