増え続けるウエイティングリスト

涼しくなったらこの種まきを、あれも挿し木を・・・と思っているうちにウエイティングリストにはどんどん候補が積み上がっている。

気温が高すぎてなかなか種まきや挿木ができないものも多い。気温がある程度低くならないとうまく発芽発根しない種類や、挿し木の場合はそもそも挿し木にむいた体勢になっていないものもある。

月桂樹もその一つで、暑さで傷んでその後また伸び始めたのか、妙に柔らかい枝が勢いよく伸びている(最初は暑さで枯れているかと思ったほどだが)。こういう柔らかい枝は挿し木をしても、腐りやすくてうまく発根まで行った試しがない(やり方が悪いのかもしれないが)。

お盆明けぐらいからずっと見ているがいまだにあまり変化がない。気温もその頃から変化がないからだろうか。この夏の異常な暑さの継続がこういったところへ影響が出ているようだ。とはいえ、

来週には涼しくなるとの予想だが、すぐには挿し木に適した状態にはなってくれるとは思えない。まだしばらくはウエイティングリストは増えるばかりかもしれない。

3月初めのハーブたち

3月に入ってから暖かい日と寒い日が交互にやってきている。

トスカナブルーローズマリー
みぞれの中のローズマリー

昨日はみぞれが降るような寒さで、トスカナブルーローズマリーの青い花も寒々しく見えたほど。それでも、2月はまだ、日差しが届く日の方が圧倒的に少ないので、気持ちは明かるい。

今日は三日目。天気が回復して少し暖かい。

満開の

サンタバーバラローズマリー
サンタバーバラローズマリー

も昨日と今日ではずいぶん感じが違う。バックに咲いているオオイヌノフグリのブルーも、あたたかな日差しの元だからこそ目に優しい。

おそらくもう極端な寒波はやってこないだろう。陽光のもと、畑を一巡してハーブたちの様子を見る。

マートル
マートル

ここ数年、寒さでかなり傷めつけられたマートルも今年は難を逃れたようだ。さすがに新芽は真っ赤だが、雪の枝折れも最小限。背丈を越し始めているので、花が終わったらかなり強く剪定してやろうと思う。

アープローズマリーも花の準備が進んでいる。

アープローズマリーの花芽
アープローズマリーの花芽

寒さに強い分、本当に暖かくなってからでないと開花しにくいのだろう。

ティートゥリー
ティートゥリー

ティートゥリーも今年はこの程度で済んだ。新芽が伸びるにはまだかなり気温が上がるまで待つ必要がありそうだ。

一方、レモンティートゥリーは明るい茶色のまま。

レモンティートゥリー
レモンティートゥリー

こちらのほうが今年は被害が大きい。葉も硬くなっているのでいずれパラパラと落ちていくだろう。もちろん、そのあと新芽も出てくるだろう。

同じく、寒さと雪でやられたローズゼラニウムも茶色だが、株元に近い方から新芽が見え始めていた。株はダウンしていないようだ。

ローレルの蕾
ローレルの蕾

ローレルは開花まであと一歩。去年は寒さで汚らしい開花だったので、今年はいい花が楽しめそうだ。

外にいるハーブたちは、これからはあまり心配はいらない。そのかわり、ビニールハウスの中で育つ種類はすこし油断できない季節になる。

油断できないフルーツセイジ
油断できないフルーツセイジ

フルーツセイジもほとんど傷む事なくここまできたが、結構、この先暖かさで柔らかく伸び、寒の戻りで伸びた葉が一気にダメになってしまうことがたびたびある。忙しい季節を迎える分、目が行き届きにくくなるので注意が必要だ。

適切な株数

ときどき、◯◯は何株植えるといいですか。という質問をいただくのだが、正直、答えるのがとても難しい。

育て方や環境、使い方によってもずいぶん違う。ローズマリーのように地植えで大きく育てば、一株で十分な種類もある。いっぽうでバジルのような種類は、その家によってもかなり違う。とあるおうちでは毎日のように消費するので畑に10株あっても足りないそうだ。あまり使わない家庭なら1株でも楽しめそうだし。仕方がないので、バジルなら一人一株を目安にというような曖昧な答えにならざるを得ない。

極端なのはローレルのような種類で、初期の成長が遅いので葉を収穫できるまでは年単位でかかるが、地植えにして大きくなりはじめると毎年の剪定に困るぐらいだ。背丈を越えるような株になると、とても食べて消費することは現実的ではない。リースやスワッグなどで贅沢に消費するぐらいだろうか。

そもそも、アドバイスをする側の本人でさえ自家用の菜園では毎年何をいくつか植えるかで悩み、失敗ばかりしている。特に夏野菜が問題だ。種類が多いし、場所は限られている。その上成長も速いのでなんでもかんでも植えることはできない。きゅうりとプチトマトだけはここ数年、植える数が確定してきたのだが、他はまだまだ。今年は特に植え付けが遅れたせいで、3株植えたシシトウもほとんど収穫できずにいる。一昨年は、同じ数でもうんざりするほど収穫できたのに。

バジル
雨が少ないので、葉が硬くスパイシーな香り。花芽も上がってきてしまった

バジルも今年は5株植えたのが、雨がとても少なくて成長があまり良くなかった。例年、バジルペーストを何瓶も作れるほど収穫できるが今年は生食のみになりそうだ。

逆にうまく育たなくて吉とでたのがオクラ。毎年3株を目標に植えるのだが(1株では足りなそうなので2株、それに枯れるのを見越して予備に1株)、いつも持て余し気味だ。急成長するオクラは大きくなりすぎると硬くて美味しくないので毎日のチェックが必要だし。

それが今年は、やはり植えるのが遅すぎて未だ腰ぐらいのサイズ。その上一株は枯れてしまった。もう一株は生育不良。結果として1株だけが育っている状態となった。

それでも、2~3日に一度数本のオクラが収穫できる。食卓にも時々載るぐらい。これがちょうどいい。どうやら一株を丁寧に育てるのが良さそうだ・・・とかいいながらまた来年も3株植えちゃうんだろうな。

今日はテデトールで

雪こそ降らないものの、しっかり雨は降る今年の山陰の冬。お客様の庭のお手入れもこちらの都合と天気の都合が会う日はかなり少ない。

今日は稀にその両方が重なったので、市内のお客様のお庭へ。建物外側の花壇などの整備をしてから、中庭に。

この中庭は周囲を壁で囲まれているので非常に日当たりが悪い。植えるハーブも限られていて、アカンサスを主体にこれからの時期はクリスマスローズの花を楽しめるようにしてある。

その中心に植えてあるのが、サワフタギの樹だ。名前の通り沢を塞ぐ(ふたぐ)ように生えるようで、谷筋の湿ったところを好むようなのでこの場所に植えてみたら非常によく育ち、春には小さな白い花を一斉につけて目を楽しませてくれる。

サワフタギの花
春に無事にこの花が見れるように

今日しばらくぶりに見たら、日当たりが特に悪い片側半分の枝の多くに貝殻虫が付いていた。いままで一度毛虫が発生したことはあったもののほとんど病害虫に悩まされたことがなかったので油断していた。

貝殻虫

もっとこまめに観察していたらまだ少ないうちに見つけられていたかもと後悔したのだが、悔やんでも始まらない。葉も全て落ちていて好都合なので気合を入れて除去作業に取り掛かる。もちろん、農薬の類は使わないので(そもそも貝殻虫の場合は非常に効きが悪いようだし)、テデトール(手でとる)だ。誰がはじめに言い始めたのだろう。いいネーミングである。

貝殻虫の種類は月桂樹に着くものと同じようだ。

月桂樹についた貝殻虫
月桂樹についた貝殻虫

堅めのブラシでこすっても良いのだがあいにく今日は持ち合わせがなかった。

 

最初小さなポケットナイフの刃を立てて落としていたのだが、結構樹皮も削られてしまう。

貝殻虫
ナイフでこそぎ落とすと樹皮も傷んでしまう。

結局指でこすり落とすのが早いし枝も傷がつかない。テデトールが最強だ。

貝殻虫
指でこすり落とすと細い枝でも傷まない

かなり徹底的に行ったので作業予定を1時間ほど過ぎてしまったが、風もなかったのであまり寒さも感じなかった。

今年はローズゼラニウムの芽がでるのが早い

地植えのローズゼラニウムも株元から新芽を覗かせていたし、花壇ではスノードロップに続いてクロッカスも蕾を地下から出し始めていた。

スノードロップとクロッカス
スノードロップとクロッカス。よくある失敗ですぐ近くに球根を植えてしまった・・・

次回来た時にはもうサワフタギは新芽が出ているだろうか。貝殻虫のチェックがすこし難しくなるかもしれない。

1月の寒波

1月下旬の寒波は全国的に影響があったようで、たくさんの方から問い合わせをいただいた。

例年には見られないような被害があったり、今まで青々としていたハーブが寒さで急に茶色くなってしまったというお問い合わせが多かった。

当店の圃場でも、ここ数年では記憶にない影響があったので、今後の参考のためにも記録に残しておこうと思う。

ちなみに、松江気象台の記録では、1月24日のマイナス4.9℃が最低となっている。圃場では、マイナス6.9℃を記録していた。

まず、圃場脇の花壇のメキシカンブッシュセイジ

今回の問い合わせで多かったのもメキシカンブッシュセイジについてだった。「秋遅くから元気に新芽が伸びていたのに、寒さで一気に傷んでしまった」というものである。
メキシカンブッシュセイジ
当店の圃場でも、毎年のように一旦新芽が伸びて、降雪や霜によって枯れる。
今回もこのような感じであるが、根が傷んでいなければ問題なくまた春に新芽が伸びてくる。この株は恐らく大丈夫だろう。

次に、レモンティートゥリー

レモンティートゥリー

毎年冬に葉が傷むが、せいぜい、枝の先端の方の柔らかい葉が茶色になるぐらい。今年は、かなり大きな葉まで茶色くなっている。これほどの被害は初めてだ。おそらく傷んだ葉は一旦落ちるだろうが、内側の方は大丈夫なようなので、暖かくなったら新芽が出てくるだろう。新芽が出てきたら、傷んだ葉のところから剪定するなり、しごき落とすなりすれば良いと思う。
ローレル
少しは被害があるかと思っていたローレル(月桂樹)。全く傷んでいなくてちょっと意外だった。

次に、ティートゥリー

ティートゥリー

ごく小さな葉は茶色くなっているが、あまり問題はないようだ。ここよりももう少し内陸の大東町では、毎年葉がカサカサになって落ちてしまうが、株はダウンすることはない。

この寒波の前後で大きく様子が変わったのが、パイナップルセイジ

パイナップルセイジ

それまでは、葉も少し残って、枝もまだしっとりとした感じだったのだが、枝も葉も完全に枯れ果ててしまったように見える。昨年伸びた枝からはあまり良い葉が出てこないので、いずれ剪定してしまうから問題ないのだが、少し心配ではある。
食用ホオズキ
寒波の前までは、まだグリーンが残っていた食用ホオズキも、この通り。中にあった実も凍みてしまったのか、ぐちゃぐちゃになっていた。恐らく株はダウンしないと思うので春には土の下から新芽が出てくるだろう。

最も心配なのが、マートル

マートル

例年葉の先が傷んだり、葉が赤みを帯びることはあっても、このように変わってしまうのは初めて見た。道路際で風の通り道になったのかもしれない。

マートル

ただ、ところどころに緑の葉も残っているから、多分大丈夫とは思うが。

おおよそ、大きなダメージを受けたものは以上である。

アボンビューラベンダー

ラベンダーの仲間は写真のアボンビューラベンダーのようなフレンチ系をはじめ、問題はなさそうだし(レースラベンダーピナータラベンダーは無加温のビニールハウスの中でも葉が傷みはした)、ローズマリーやタイムの仲間、ミントのように冬地上部がなくなるものは全く心配なさそうだ。

おそらく、今後はこれほどの寒波は来ないような気がするが、もう一度となると、レモンティートゥリーや、マートルは少し対策しておく必要があるかもしれない。