赤い結界

普段は目立たないのだが、お彼岸から10月初め、ビニールハウスの横にある畑に赤い四角の枠が現れる。

彼岸花である。

もう10年近く前になるだろうか、この場所はラベンダーの親木を集めて育てていた。

しかし、とにかくモグラの被害が酷かった。ラベンダーの根を直接食べるわけではないようだが、穴がたくさんあき、根が持ち上がってしまってどんどん傷むことに悩まされ続けていた。

そこで物は試しと、彼岸花の球根をこのスペースを囲むように植え付けてみたのである。

鼻のよいモグラは彼岸花の毒性も感じるのだろうか、結果、翌年からモグラの穴を見つけることがほぼなくなった。

モグラ避けとして「これはいい」と喜んだのだのも束の間、天敵のモグラがいなくなったことで、コガネムシが大発生。ラベンダーの根を大喜びで食べてしまった。モグラがいたころよりもひどい状況になってしまったのである。

仕方がなく、今はラベンダーのあとに、申し訳程度にいろいろ植えて、少々ねが食べられても残るようなものを育てているという感じだ。

彼岸花は今年も元気に咲いている。スタッフが時々膝の痛みや肩こり対策に球根を使うぐらいなので、減るどころか増える一方。せっかくなので、もう少し嵩上げして土の流出防止にどれだけ使えるか試してみようかな・・・なんて考えている。

雪の下から顔を出す

先月の大雪、1月25日の写真。おそらくこの冬で1番の積雪の時だろう。右側にハーブの親木たちがたくさん埋もれている。

これが今日の様子。ようやくほぼ全ての株が雪の下から顔を出した。念の為、それぞれの株を確認するが、やはりそれなりに被害は大きい。

ビニールハウスから滑り落ちた雪があるぶん、まだ一部、雪の下敷きになって横倒しになった枝もある。

今年もローズマリーはずいぶん枝折れ、裂けの被害にあった。毎年秋には、雪に備えて強く剪定してしまおうと思ってはいるのだが、「まだ冬の間に挿木に使うかも・・・」という中途半端な欲があって残してしまった株がこういう被害にあう。

この株は、確か去年か一昨年もそうとう裂けてしまった。えだを長く伸ばしていると雪で裂けてしまうということがわかったのだからきちんと剪定すれば良いだけなのに。教訓が生かされていないことをただ反省するばかり。

おそらく大丈夫だと思われるが、ホワイトセイジもずいぶん押し潰されてしまった。

ラベンダーも今回ところどころが折れてしまった。

今年被害を免れたのは、マートルの大株。今年ぐらいの大雪だと相当の枝折れが起こる。たまたま、秋にガーデナーのKさんに試しに剪定をお願いしたところ、太い枝だけを残して球状に刈り込んでくれた。「どうなるか・・・」と彼女も不安そうだったが、細い枝が透かれたおかげか、その間を雪が積もって行ったのだろう、全く被害なし。今年の秋もお願いせねばならない。

こうして、雪の下から顔を出してくれるハーブたちには毎回ドキドキさせられる。

ヒヤヒヤのこの季節なのだが、雪の下から顔を出してくれると嬉しいものもある。

昨日、ビニールハウスのご近所さんからいただいた蕗の薹。今年は出てくるのがちょっと早く、ずいぶん大きめだとか。早速、大量の蕗の薹味噌を作った。

これでしばらくは、日本酒を楽しむのには事欠かなさそうだ。

いつもと違う冬の終わり

この冬、ここ松江は大雪こそ降らなかったが、いつまでも冬の空が続く。

2月に入ると、例年ならば天気が明らかに1月と異なることに気づかされる。数日に一度でも、春が近づいたような気にさせる気持ちの良い天気が見られるようになり、作業場の薪ストーブの薪の消費量も格段に少なくなる。

ところが今年は、いつまでも冬の空模様。朝起きて外を見ると、また路面が真っ白と言うことがここのところ毎日だ。

2月24日朝の雪。昨日は地面が見えていたのだが・・・

とはいえ、せいぜい1、2センチなので、大騒ぎするほどのことではないが、色々と作業に支障が出る。朝からビニールハウスに積もった雪を見ると少しゲンナリする。

屋根に雪があると冷蔵庫状態

ローズマリーの雪。折れるほどではない

ラベンダーの株も雪をしっかり被り、ローズマリーも白く雪化粧。枝が折れるような心配がないのはありがたいが。

毎年、この時期気をつける必要があるのが、急な暖かさと寒さによる苗の被害だ。

多くの苗はこの時期も出入り口や換気口を開けっぱなしにしているので、屋外と同じ気温。苗もそれをわかっているのでじっと我慢しているからあまり心配はない。

ところが、寒さに弱い苗はさすがに外気と同じでは寒さで枯れてしまうので二重のビニールハウスの中で冬を過ごす。

こちらのビニールハウスは夜はぴっちりと閉じて、昼は天気が良い日だけ空けているのだが、それでも温度が案外上下する。

寒さに弱い種類は、寒さへの備えをそもそもしようとしないので、少しでも動ける温度になると柔らかい葉を伸ばそうとする。

その葉が、寒さでやられてしまうのでこの時期は本当に神経を使う。

主な種類としては、フルーツセイジ。これも冬の間そこそこ伸びたりして、春先の寒の戻りで真っ黒と言うことがなん度もあった。今年もまだ気を緩めることができない。

それから一連のヘリオトロープ。ちょっと気温が上がると伸びはじめてしまって、先日一度、それほど寒い日ではなかったが、扉を閉め忘れて帰ったら、数日後傷みが見え始めてきた。

葉の先が黒っぽくなったのが前兆

また、ちょうどギリギリの温度なのか、ナスタチウムも成長はしないのに花を咲かせている。秋のポット上げが遅くなってしまい、冬前の発売に間に合わなかった株たちだ。花を咲かせてしまったことで春の成長がどうなるやら、いま1番心配な種類である。

一枚のビニールだけで寒さに耐えているレモングラスは、秋までは青々としていたのに、ずいぶん黄色っぽくなってしまった。

今朝のニュースで、週末からは気温が上昇するとのこと。春の成長が目に見える日も近いだろう。

雪が止んだら

2月後半に突入してからの雪は珍しくないが、もう今シーズンは降らないと思っていたので少し不意をつかれた感じだ。

このまま気温が上がるのならさっさとタイヤも交換しようと思っていたぐらいなのでやはり油断は禁物。

交通も乱れているようでいつもなら余裕で到着するような地域でも少し遅れている模様。

とはいえ、やはり1月までの雪とは違い、量がずいぶん少なめ。今朝のニュースでは9センチの積雪とのこと。圃場へ向かう道路も若干の渋滞程度ですんだのはありがたい。

さすがに先日剪定したラベンダーはすっぽりと埋まっていたが、少なくとも枝折れの心配はない。

雪に埋まったラベンダー
小さく剪定したので、少しだけ盛り上がっている程度。

古い枝を剪定して新芽が伸びようとしてきたところかもしれないが、急いで大きくなってもらう必要はないので構わない。

むしろまだ剪定の済んでいないローズマリーが傾いていて、早く剪定しておけばよかったと反省。

一株はずいぶん強く枝折れしていたので雪が落ち着いたら行うようにしよう。・・・といいながら雪が止んだら他にする事がどんどん出てきそうだ。

ビニールハウスの天窓の取り付け、物置小屋の設置、溝掃除etc.・・・雪が降ると春はまだ先なような気がしてつい油断してしまうが、天気予報を見るといっきに春が近づいてきそうな気配だ。そんな気配を察知してか、この間まで昨年の葉をすっかり落としてひっそりしていたポット苗のオレガノ・バーバラチンゲイが一斉に春の新芽を伸ばし始めていた。オレガノ・バーバラチンゲイ

株元に春を見つける

来週は、半ばごろまた雪マークが出ているが、今週は春を思わせる日が結構あった。

天気も良く、少し時間的にも余裕があると気分も穏やかに、親木のメンテナンスにも向かう気になる。いつもタイミングを逃したり、行う余裕もないまま春を迎えるのだが、今年は珍しいことだ。

昨年夏の開花後は剪定をしたもののその後は特に何もしなかったコモン系のラベンダー。

1月の積雪で中央が若干押しつぶされ、すこし枝折れもある。寒さには強いので今の時期はこんな風にシルバーグレイになって冬を過ごしている。

それでも株元からは新芽が伸び始めている。柔らかな芽は春の色。株元に春を見つけた感じだ。

古い枝を剪定して形を整え、ついでに挿し木もする事にした。

とりあえず、挿し木が完了する。枝がずいぶん減ったがちょっと見た目も悪い。

古い枝を減らすように、また不要な枝も減らす。

株元からは早々とヨモギも顔を出している。このままではヨモギに囲まれてしまうし、大きくなると取り除くこと自体が難しくなる。

根を痛めないよう、ヨモギを根ごと取り除く。

最終的にはテニスボールぐらいのサイズにまでなってしまったが、ここまでしておくと一安心という感じだ。普段はもっと適当にするのだが、写真を撮りながらとなると自然に丁寧になるものだ。

きちんと手入れしたのでしっかり応えてもらいたいところだ。初夏の花が楽しみである。