擬態

同属の植物で、名前のラベルが無くなると見分けがつかなくなってしまう種類は多い。コモン系のラベンダーなどは、花が咲いていればともかく、他のシーズンなら大変だ。ロゼアラベンダーとヒッドコートラベンダーを並べてラベルを外されたら、100パーセントの自信を持って判別することはできない。

属が違えばまずそんなことはありえないだろう。花が咲いていなくてもセイジとローズマリーを間違えることは無いだろうし、タイムとヒソップ、セイボリーも良く観察すれば違いは明らかだ。

ところが、この植物には惑わされた。サザンウッドゼラニウムである。

花さえ咲けば一目瞭然
花さえ咲けば一目瞭然

相手はもちろんサザンウッド。当然、花が咲けば問題ない。ところが、冬、どちらの葉も貧弱になってしまった時に問題は起こった。鉛筆書きのラベルの字がかすれてしまったのだ。

葉の感じも似ているし、葉の匂いも不思議なことに良く似ているのだ。実際、このゼラニウムに対して、サザンウッドゼラニウム以外のどんな名前が付けられるのだろう。ついでに学名だってabrotanifoliumだ。偶然と言えばそれまでだが、まるで動物が他の種類に姿形を似せる擬態のようだ。

幸い、翌春花が咲いてゼラニウムと言うことが確実となったが、そのため一年以上発売することが遅れてしまったのである。