つかの間の雪解け

先週の半ばから終わりにかけて降った雪も昨日と今日の暖かさでほぼ解けた。昨日など、気温が15度を超えて、すこし作業をしても汗ばむほどだったので、あっという間に溶けた感じだ。

このあたりでは大雪というほどではなかったが、この冬初めての積雪だったので念のため、圃場の周りのハーブたちのチェックを行った。

雪の後、枝折れが心配なラベンダーやローズマリーも問題なし。寒さに弱い種類についてはまだ今の段階ではどうも言えないが、屋外の温度計でマイナス4度が最低だったのであまり心配する必要もないだろう。

ボリジ

毎年のことだが、雪が降るまでは雑草に隠れてて目立たないボリジも雪が溶けると姿を見せてくれる。こぼれ種なので、ブルーなのか白なのかわからないが、毎年このあたりで芽を出しては新しい株が育つ。まだ小さいが、暖かくなるとあっという間に大きくなって周りを圧倒することだろう。周囲にいくつも芽が出ているのでかなり整理しないといけないかもしれない。

レモンバーム
まだ古い枝が残る

年明けにもまだ青々していたレモンバームも、古い葉が黄色くなり、その隙間から株元の新芽がぎゅっと集まって顔を覗かせている(古い枝は早く剪定しておかなければいけなかったのだが・・・)。

レモンバーム
株元の芽

昨年は雪で枝折れしたホワイトセイジも今回は大丈夫。

ホワイトセイジとハムシ

それよりも、株の上を一匹のハムシがゆっくりと歩いていた。ちょっとこの時期には見かけないので、やはり相当暖かいのだろう。雪よりもこっちの方が心配だったりする。

とはいえ、寒くて食欲がわかないのか、しばらく見ていたが、葉をかじる様子は見られなかった。春はまだ遠い。来週はまた雪が降って寒くなるようなので、もうしばらくのあいだ静かにしていてほしい。

夏を終わらせる作業

今年の夏も長かった・・・

ようやく秋の兆しが感じられるようになって心底ホッとしている。

一番好きな季節は?と、問われれば
「秋」
一番嫌いな季節は?と言われれば
「夏!!」
と答える私にとって、この季節ほど気持ちのアップダウンが激しい時期はない。

梅雨明けが夏の始まりであるように、「夏明け」とか、「秋入り」というのがあればいいのだが。きっと少しぐらい暑くても「秋入り」と聞いただけで気が楽になるに違いない。「立秋があるじゃない」と言われるかもしれないが、暦の上の立秋はまだ夏のピークだから秋の気配さえ感じられないし。

さて、仕事の上で夏の終わり、秋の始まりを区切る作業が寒冷紗外しである。

夏の間、強烈な日光を和らげ、乾燥や温度の上昇を防ぐためにビニールハウスには寒冷紗を張っている。この頃の強烈な夏は、寒冷紗なしなど考えにくいぐらいだ。
レモンバーム
寒冷紗を張っているので、葉が柔らかなレモンバームもこんな風に調子が良いが、きっと一日中真夏の太陽が照りつけていたら葉がチリヂリに焼けてしまって可愛そうな見た目になっっていたことだろう。

ただ、いつまでも張っていると、今度は必要な日光が遮られてしまうので、どこかで取り外さなくてはいけない。
ラベンダー
日光が好きなラベンダーは、すでにちょっと光が不足気味。柔らかく伸びてしまっていた。
ローズマリー
ローズマリーも同様。柔らかで明るい色の茎が伸びている。もうこれ以上日光を遮ると本当にダラダラになってしまうから、そろそろ限界である。

もちろん、寒冷紗を取り外す作業は年によってかなり前後する。古い日記を見ると、冷夏のときなど8月の終わりには取り外した年もある。一方でいつまでも暑さが続いて9月の終わりまでつけていたこともあった。

今週末からは曇り空が続き、30度を超える日ももうなさそうなので、今週から取り外し作業を開始。今年は、まずまず平均的な時期と言えそうだ。
寒冷紗外し
天気が良い日はさすがにビニールハウスの上部はとんでもない温度になって作業ができないから、曇りや雨の日、夕方を狙って取り外す。
寒冷紗外し
「パッカー」というプラスチック製のパーツで挟んで取り付けてあるだけなのでそんなに難しい作業ではないが、内張りにしてあるため、寒冷紗とビニールの間に虫の死骸などが結構残っている。時には針が残った鉢の死骸があったりするので注意も必要だ。
寒冷紗外し
それでも、来るべき夏に備えて寒冷紗を張る作業に比べると、外す作業は鼻歌交じりでルンルンだ。外した寒冷紗を畳んでしまう作業もなぜか全然苦にならない。寒冷紗が片付いたら、まだ蝉が鳴いていようが、私の中では夏は完全に終了。

また来年、これを取り付ける時期が来るかと思うと正直嫌なのだが、とあるスタッフ(彼も夏嫌いの秋好き)が言うには、
「つらい夏も、これが終わればしばらくやってこないと思えばいいじゃないですか」
とのこと。

「今、次の夏から一番遠いところにいるのだ」と考えましょうということ。
物は考えようである。

自然にはかなわない

圃場の裏手は土手状の荒れ地で、夏草の残りがまだ覆い茂っている。用水路際の斜面には季節季節で野草が花を咲かせる。今日、ふと目をやると、ミゾソバをバックにブルーっぽい花が咲いているのが見えた。季節がら、アキノタムラソウかなと思ったのだが、ちょっと様子が違う。

後ろのピンクはミゾソバ
後ろのピンクはミゾソバ

ヤマハッカであった。こうして写真に撮ってみるとなかなか良い物だ。

さて、セイヨウヤマハッカと言えば言わずと知れたレモンバームの和名であるが、こちらの本家?ヤマハッカは同じシソ科ながら、むしろアキチョウジに近い植物である。ただ、葉の形は確かにレモンバームに似ている。ハッカと名はつくけれど、ハッカのような香りはしない。特に薬用として使われることもないようだ。

ヤマハッカ
観賞用として栽培されることもあるのかもしれない。つい、手元に植えてみたいという気持ちが湧いてくる。でも、自然のままで他の草花と咲いている姿、我々がいくら一生懸命手をかけてやっても、なかなかこううまくはいかないのである。

時期をおぼえておいて、また来年目を楽しませてもらおう。

腕の問題

ハーブの多くは、花が咲くと嬉しいもので、つい写真も撮りたくなる。見栄えもするからね。ところがレモンバームはあまりにもつつましやかな花で、「ああ、花が咲き始めたなぁ」で毎年終ってしまっていた。花が咲くと葉は小さく、固くなってしまうので早く切り戻して新しい葉を出したくなるのだ。同じハーブティー用のミントでさえ、もう少し目立つ花を咲かせるから結構咲かせっぱなしにすることが多いのに。

葉を繁らせるために花芽を摘むバジルだって、咲かせてみると結構良い感じだし、種子を採ると言う目的も後にはある。ところがレモンバームはかえってこぼれ種で増えない方がありがたい。
レモンバーム
今年は幸いレンズを向ける気になって、数枚を収めることができた。とはいえ、やはり柔らかで大振りの葉の方が見栄えは良いように思う。それとも、写真の腕が上達すればレモンバームの花も魅力的に撮れるのようになるのかなぁ。

ひなたのレモンバーム

相変わらず雨が少ない。レモンバームも例年より早く開花の準備を始めたようだ。枝先の葉が小さくなりはじめ、葉と葉の間に隙間が出はじめると開花段階へ突入した証拠だ。

レモンバームこの花壇は水をやることも無いし、日中良く日が当る。そのため少し葉も小さめで硬くなっている。この方がもちろん香りが強いが、どちらかといえばもう少し柔らかい感じの葉の方が個人的に好みである。

レモンバーム

色合いも浅いグリーンで非常に健康的とはいえ、お茶にする時はやや半日陰で育ったグリーンが深い方が見た目が良い。大きなグリーンの柔らかい葉をティーポットには入れたいものだ。見た目と味を両立させるのは難しい。

レモンバームはミントよりも花を楽しむという要素が少ない。ましてさらに乾燥が進んで葉の縁が焼けてくると観賞価値も下がる。青々とした葉がこんもりと繁る姿はそれだけで結構絵になるのだ。そのためにはそろそろ剪定が必要である。そもそも、普段使わないのが悪いのだが・・・・