不思議な組み合わせ

意外なところに、意外なハーブが調子よく育っていることにときどき出会う。

ビニールハウス前の東向き傾斜に育つサンタバーバラローズマリーは、一年中調子が良く、真夏や真冬など、案外他のローズマリーがイマイチのとき、よく花を咲かせてくれている。

もちろんこのローズマリーにとってこの場所は適地といえるのでそれは不思議ではない。

それよりも、ローズマリーの下の方に育っているレディースベッドストロー。とても細く柔らかい枝で、葉も繊細。横に広がって育つので、では他の匍匐性のハーブのように所々から根を出してしっかりと地面を掴んでいるかと思うとそうではない。横に大きく広がっていても、根はほんの一部で土と連絡していることが多い(なので株分もなかなか骨が折れる)。

そんな育ち方なのに、何年も(10年以上)枯れることもなく、かといって物凄く増えるわけでもなくこの場所でとどまっている。周囲にはヨモギほかの強力な草もはびこっているのに、圧倒されるわけでもない。もともと日差しにも弱いわけではないが、かといってローズマリーに遮られて調子が悪くなる感じもない。逆にレディースベッドストローがもっと旺盛な性質ならローズマリーの上にかぶさって蒸れたりして弱る可能性もある。

むしろ、ローズマリーが、そっと上から抱き抱えて守っているようにも見えるぐらいだ(そんなことはないと思うが)。本当に不思議な組み合わせだ。

今調子よく行っているので、一応このまま見守ってやろうと思う。こういうとき、かえって周りの草を取り除いたら調子悪くなったりするものだし。

使わずに済むのが吉

防災食など、劣化する防災用品はローリングストックすべきと言われるが、普段から実行するのは難しい。

一応そのつもりで買っておいても、つ期限を忘れてしまう。たまに、料理をするときに材料が不足してストックから引っ張り出すことはあるが、普段の料理ではつかわない非常食用のお米や缶詰はうっかりしていると賞味期限を過ぎてしまうものだ。

今年の夏も、賞味期限オーバーのトマト缶やアルファ米を恐る恐る口にした。どちらも大丈夫だったが。いずれにしても賞味期限を迎えるまでの期間、使わずに済んだことを素直に喜ぶのが大事だ。

圃場でも、この夏使わずに済んだ防災用品がある。

水運搬用のタンクだ。

毎年梅雨の間に準備して万一の渇水の時に利用できるようにしておくのだが、この夏はもう1日か2日雨が降らなかったら使うことになったかもしれない。

幸い、水を汲むポンプも準備して、さあ、明日か明後日からは水運びか?というタイミングで恵みの雨が降った。

もうさすがに出番はないので、埃や蜘蛛の巣を払い、ざっと拭いて片付け準備も完了。使わないで済んだことを改めて喜ばなくてはならない。

それほど使わなくても、劣化するパーツもあるのでチェックは欠かせない。本体は強いが、キャップ類は案外弱いので、来年かその次には交換が必要そうだ。

本当は軽トラの荷台などで使うべきだと思うが、詰むのは軽バンしかない。キャップ類がヘタって荷台が水浸しというのは勘弁願いたい。来年また取り出すときには再チェックが必要だ。

持ち家あり

晴れだ雨だと言ってはおられない農作業なのだが、雨の日はやはり晴れの日よりもキビキビさに欠ける。

普段はスッとできてしまうことがどうしても億劫に感じがちだ。早く片付けておくといいのだが・・・と思うビニールハウスのパーツなども、つい「後でいいか・・・」などと考えてしまう。

一方で、そういう雨の日の方が元気がいいのがカタツムリ。

普段はそれほど目にする事はない。もちろん、いることはいるのだが、ナメクジに比べると圧倒的に見かける頻度は少ない。

多分ハーブも食べるだろうけれど、ナメクジのようにハーブを盛大に食害しているのは見たことがない。

スタッフと休憩の時、「なんで同じようなものなのに、ナメクジは嫌がられて、カタツムリはそれほどでもないんだろう」という話題になった。

・うじゃうじゃいないので、あまり悪さが目立たない

・殻があるので、つかみやすい

・ナメクジは普段隠れて、夜に活動するので陰湿なイメージ

・カタツムリは歌があるから

などなど、理由はいろいろありそうだ。

大昔、雑誌か何かで、「やっぱり持ち家がある方がモテるでしょう」というのもあった。

でも、家があることで、気軽に移動できないのはカタツムリも人間も同じように思える。

とはいえ、すくなくともローンはなさそうなのは確かである。ローンも組まずに持ち家が・・・庶民から見たら羨ましい限りである。

裏のナチュラルガーデン

ビニールハウス裏の荒地は、普段は雑草がただただ伸び続けている。荒地とはいえ持ち主さんも年に2~3度草刈りをされているので、それほど気になる場所でもないが。

ただ、秋のこのシーズンだけは少し違う。

お盆ごろの草刈りで短くなった雑草たちがそれぞれに伸び、一斉に花をつける。

手前にはサクラタデの薄いピンク。その後ろにはミゾソバの鮮やかなピンクが広がる。このふたつは、高さも揃ってとても見事。

その横には適度な高さのセイタカアワダチソウがイエローの花穂を伸ばす。

奥と手前の方には目にも鮮やかなカンナの赤。特徴的な大きな葉もまたいいコントラストとなっている。

写真では見えにくいが、真ん中付近にはムラサキシキブが実をつけ、紫色のアクセントだ。セイタカアワダチソウの中からぴょこんと顔を出しているススキの穂もまた秋らしさを演出している。

実際このようなガーデンを人為的に作れるだろうか(この場所も、夏の草刈りという人為的な作業は行われているのだが)と毎年のように思う。

手を入れてしまうと、かえってうまくいかなさそうなナチュラルガーデン。放置されたままの姿を楽しむのがベストなのだろう。

過酷環境なので

休憩所にある電気ポット、夏の間はそれぞれが冷たい飲み物を持ってくるので使われることがなかったが、徐々に温かいものが欲しくなる時期を迎え、先日久しぶりにコンセントに刺してみた。

何度かは普通にお湯が沸いたが、その後プラグを刺しても電源がつかなくなった。マグネットのところが汚れているのかと、掃除をしてみるがやはり電気が通じないようだ。

ひっくり返してみると、驚いたのが96年製であった。28年前の品。お客様からお古を譲ってもらったのだが、それもだいぶ前のことだ。その先代の電気ポットもスタッフの家で使っていたお古だ。ハードな環境で傷みやすいので、お古で十分なのだ。

休憩所とはいえ、ビニールハウスのなかである。紫外線は降り注ぎ、夏は40度を超え(今年は50度を超えたかもしれない)、冬はマイナス。湿度も30%台から100%にもなるだろう。土埃も多いし、昆虫などが侵入することさえもある。とても新品など使う気にはならない。

本体の表面もプラスチックが劣化。ボタンを保護しているプレートも熱のせいか変形して浮き上がってしまっている。引退も仕方なさそうだ。

この機会にと、他の手段も候補に上がった。電気ポットは案外消費電力が多く、電気代にも影響がある。1日一度、多くても二度の湯沸かしなので、ポータブルコンロでも十分かもしれない。

ただ、休憩もかならず10時きっかりにするわけでもない。キリのいいところで早めにスタートしたり、遅くなったり。また、急の来客でお湯がなくて困ることも稀にある。タイマーをつけて節電につとめつつ、夏以外はお湯が沸いているとと安心なのだ。

さて、またお古を探すか・・・と思ったが、そもそも電源が入らないようなので、もしかしたらヒューズ切れ?と頭に浮かんだ。さすがに暑さのせいでヒューズが切れるとはおもえないが、経年劣化ということも考えられる。

検索してみると、分解も簡単なようで、試してみることに。ヒューズを取り出してみたら、案の定切れていた。残念ながら、近くのホームセンターでは手に入らず、ネットで注文したが300円ほどで手に入れることができた。交換もそれほど難しくなく、見事に電源も入り、お湯を沸かし始めた。

とりあえず次の代が見つかるまでの繋ぎというつもりでしばらく使うことにした。

しかし、これほどの過酷環境、耐久テストの場所としてメーカーに使ってもらえないだろうか。担当者さん、いつでも連絡お待ちしております。