日陰の2時間

今日の夕方はバイクで圃場までやってきたが、風を切ると少し肌寒さを感じるほど。もう少ししたら帰り道は上着が必要になるかも。むしろ嬉しいぐらいだが。

一番西側のビニールハウスが山の影に入ってから日没まできっちり2時間。これは、季節によらずほぼ同じ。真夏、もっと日暮れが遅い時期は、5時半ぐらいに影ができはじめる。

今は4時半となった。これから2時間ほどは涼しいし何かと作業はやりやすい。もちろん、日没直前は暗くて細かい作業はできにくくなるが。

2時間弱という時間は、区切りとしてちょうど良い。これを超えると同じ作業では飽きてダレてくるし、様々な作業をしていても、少し疲れが溜まって来る頃だ。

ましてや、日暮れという強制的に終わりが告げられる時間帯。太陽が沈むのに急かされ、1日の終わりなのに案外作業がはかどる。夏は真昼の時間が作業効率も悪いのでゆっくり体を休め、むしろ夕方の作業は気合いも入りやすい。

こうして季節に応じて、時間を自分で差配できるのは農業のいいところだし、これを上手にできるかどうかは農業に向いているかどうかにも関わってくるとおもう。

今日はこの時間を使って秋まきの種子をいくつか撒き始めたり、畑の伸び過ぎた親株の剪定、この間までの渇水時に枯れてしまったベルガモットの古い枝の剪定などができた。同じ日陰の2時間でも、少し細かい作業や体を動かす作業もしやすくなった。ありがたい限りである。

夏の終わりのアリたちと

台風が過ぎて、日差しが戻ってきた。気温もすぐに30度を越えたが、風はちょっと爽やかで少し暑さも落ち着いた感じだ。

夜明けもずいぶん遅くなり、早く日が沈むようになってきたので、日光が地面を熱する時間が短くなっているのも一つの理由かもしれない。

セミの鳴き声も、アブラゼミからミンミンゼミに主役が変わり、今朝は鈴虫の声も聞こえてきた。

それでも真夏と変わらず働いているのがアリ。いつ見てもすごいスピードであっちへ行ったり、こっちへ行ったり。この小さい体のどこにこんなに動くエネルギーを蓄えているのかと驚くほどだ。

そんな働き者のアリなので、仕事の進み具合も感心するほどだ。先日ポット上げしたばかりのレモンバームの株元に、もう土を寄せ集めた塚を作っている。

色々な説があるようだが、一説には自分たちの餌を隠しているとも言われている。確かに死んだ昆虫の死骸を蟻が砂や土で覆うのはよく見かける。

ただ、この場合は、土の下に死骸や餌があるわけではなく、少し上にアリが好む甘露を出すカイガラムシがいる。カイガラムシは生きているので、土を盛られたところから上の方に移動したのかもしれないが。

アリと共生関係にあるカイガラムシ

以前は、この塚をみるとなにやら腹が立ったものだが、今は、「教えてくれてありがとう」という気持ちである。とりあえずこの塚を見つけたら、その株のどこかにカイガラムシやアブラムシがいるので、ブラシで取り除けば良いだけ。我々がひと株ひと株害虫を探すよりもはるかに効率が良い。

もちろん、取り除いたつもりでも、まだ残っていることもある。でも、働き者のアリさんたちはまたすぐに塚を作って教えてくれるのだ。ご苦労様!

アリとしては隠しているつもりかもしれないのだが、かえって目立つんだよと教えてあげたいぐらいだ。

季節が進めばそんなアリたちの働きも徐々に少なくなってくる。せいぜいそれまでは助けてもらうとしましょうか。