寒冷紗

日差しが強い時期、ビニールハウスでは遮光シート(寒冷紗)を張る。植物のためには早くとも梅雨が明けてから張るのが例年の習わし。まだまだ先である。

それに先駆け、か弱い我々用の遮光シートを作業スペースの上に張った。ごく薄い一枚のシートとはいえ、有ると無いとでは暑さがものすごく違う。「木漏れ日の下」と言うほどの風情はないにせよ、今から秋初めまではこれなしではやっていけないほど重宝している。

寒冷紗

非常に優れ物のこのシート、遮光率もいろいろラインナップされており、用途によって使い分ける。種を発芽させたり、挿し木を管理するビニールハウスでは年中軽く遮光されるタイプで覆って乾燥を防ぐ。遮光度合いの高いタイプは真夏、ポット上げしたばかりの苗を育てるビニールハウスで短期的に使う。同じ時期、大きな株のハウスでは薄い遮光シートである。

薄くて軽く、小さく畳めるのでパーソナルな園芸でも活用の場は多いと思う。

一方、ビニールハウスで使う場合、カーテン状に開閉できるような大規模な施設は別として、メーカーではビニールハウスの外に張るようにカタログなどでも説明している。そして、そのためのパーツも販売されている。

自分も初めはそれにならい、外側に張っていた。ところが、台風の時には飛ばされたり千切れたりする恐れが大きく、外さなくてはいけない。そのうえ、ついに大失敗をしてしまった。冬、つけたままにしておいたら突然大雪が降った。普通のビニールの面なら滑り落ちる雪がそこだけ溜まってしまい、ビニールハウスを押しつぶしてしまったのだ。

ある施設園芸の先輩にその話をしたところ、「内側からパッカー(写真の黄色いパーツ。ビニールハウス用)で止めるのが常識」と一笑に付された。実際にためして見て、その合理性に目から鱗が落ちたのを覚えている。付け外しは天候に関わらずできて、シートが雨風で傷まないので寿命がかなり延びる。もちろん台風が来ても、冬でも付けっぱなしで大丈夫である。

メーカーではこの使い方を今のところ紹介していないようだ。そりゃ、早く風で飛んでもらったり、傷んで交換してもらった方が良いのだろう。

今でも使用例に倣い、外側から付けているビニールハウスを所々で目にする。こんな有益な情報が行き交わないのだろうか。見るたびにひと言教えてあげたい気になるがそれは大きなお世話。この場に紹介するに留めておく。