3月の声を聞くと土の中から緑色がエネルギーとなって飛び出してくる。
ハウスの周りでも頼みもしないのに一斉にヨモギが顔を見せ始めた。「あ〜、今年も元気だね〜」と一人呟く。
今はまだ可愛らしい姿に見えても、あっという間に大きくなる。そして、既に土の下では強力な地下茎が繁茂していることだろう。
ひな祭りにそなえる菱餅にでも使えばまだ溜飲を下げることもできよう。もちろん、優れた薬用植物としての利用もできる。しかし残念ながら需要に対して供給が恐ろしく過剰である。今年もまた草刈りの相手として立ち向かわなくてはならない。
毎年ながら、ヨモギを見るとこれがどうしてタラゴンと同じ属なのか頭をひねりたくなる。
でもきっと、タラゴンもヨモギぐらい強力だったら雑草として嫌がられただろうし、ヨモギもタラゴンぐらい繊細だったらきっと大切に扱われたことだろう。さて、どちらが幸せなのだろうか。