春風をストーブに

家でもあまり団扇を使うことは無くなったが、ビニールハウスでは、冬だけ団扇が活躍する。

もちろん、涼感を求めて使うわけではなく、火おこしのためだ。

薪ストーブに火をつける時、本体と煙突が冷え切っていると煙突からスムーズに排気されない。そのため、吸気も滞って火が広がりにくい。ひどい時には休憩場に煙が充満してしまい、寒いのに戸を開ける羽目になることもある。

そこで、最初だけ団扇を使って空気を送り込むといい流れになって火が安定する。

当初は火吹き棒のようなものをビニールハウスのパイプや竹を使って作っていたが、煙だらけの中で咳き込んだりしてしまい、いつのまにか団扇にその座を奪われてしまった。

パタパタとほんの数秒仰ぐだけの出番だが、あるとないとではかなり違うし、これでもそれなりに慣れが必要だ。

思い切り仰ぐのは厳禁。火の粉が逆流して大変なことになる。優しく、でもたっぷりの風が、そう、春風が優しくストーブの中に流れ込む感じで火の勢いを上げてやるとよい。

すぐに炎が安定して、煙がストーブの奥から煙突へ。天井のビニールを通して煙が見えたらもう大丈夫だ(ストーブの前にいながら煙が煙突から出るのが見れるのはビニールハウスならではだ)。

団扇の出番はこれでおしまい。それでも数年使ってきたらずいぶん古めかしくなってきたので、そろそろ交換も必要かもしれない。本当は和紙を張って柿渋でも塗ってリペアしてみたいが、もうそれは趣味の領域になりそうだ。ボロボロの団扇もまた雰囲気と捉えれば良いのだ。

冬のメンテナンス

植物たちの成長が穏やかな冬は、気持ち的には少しこちらも楽になるのだが、設備のメンテナンスの面では冬は気が抜けない。

雪対策はもちろん、このごろずいぶん少なくなったとはいえ、水回りの凍結対策も考慮に入れておく必要がある。具体的には、凍結が懸念される日の夕方に、散水ホースの先からごく少量水を出しておくだけなのだが、忘れないことが重要で、一度自宅に戻ってから暗い中水を出しに行ったこともあった。

凍結対策を行ったときには、ポタポタとはいえ水が出っぱなしになるので、時々ポンプのモーターが回る。

だが、今朝、凍結対策はしていないのに時々ポンプが回る音がする。これは逆にどこかから漏水している証拠だ。この秋以降3回目である。

理由はわからないのだが、なぜか気温が下がってくるとネジが緩むのか、漏水が起こる。たいていはホースとパイプの継ぎ目が緩んで水漏れが起こる。

怪しい場所は何十ヶ所もあるが、丹念に突き止めていくと漏水箇所は見つかるものだ。

今日は一番上のビニールハウスの中央付近でホース下のシートが濡れていた。ホースを辿ったらたしかにパイプとの接続部分で漏水していた。

地面に這いつくばって増し締めを行う。もともと、直結するようにはできていない塩ビパイプに無理やりホースを差し込んで固定しているので当たり前だが、パーツ代をケチるとこうなるといういい見本だ。

スパナは一周するぐらい回った。これまで何年もこのままだったのが不思議なほど。しばらく様子を見て、これ以上漏れていないことを確認して終了。

一度時間をかけて全ての箇所を丁寧にやり直したいものだ・・・と思いながらも毎年できずに冬が終わる。

パスポートは肌身離さず

先週から仕事の間、肌身離さず身につけているのがパスポートポーチだ。

中身はパスポートではない。ホッカイロだ。

ホッカイロは、秋以降気をつけて腰につけるようにしている。寒さ対策というよりは、腰痛予防、特に腰の筋がロックしてしまうのが、温めているとまだ予防できるようなのだ(私の場合)。

ただ、この間少し恥ずかしいことがあった。

少し暖かい日、ビニールハウスで体を動かしたら結構暑くなり、上着やシャツを脱いでタートルになっていた。そのタートルに貼るタイプのカイロをつけていたのだが、そのままホームセンターへ買い物に行ってしまったのだ・・・ああ・・・。

まあ、暗い話題も多いこの頃、周囲の人をクスッと笑わせてあげたと思えばいいのだ。

こういう深刻なケースが発生したのをきっかけに、つけかたを考える必要があるのではと思うようになった。

まず、冬とは言え体を動かして暑くなった時に剥がしたりまた貼ったりすることが頻繁にある。また、着替えた時の張り替え、休憩で横になる時や長時間の運転中に貼りっぱなしで低温火傷になりかけたりすることもあった。

1日のうち、貼ったり剥がしたりは案外多い。かと言って貼らないタイプは落としやすい(畑で泥だらけになるのも嫌だし、トイレでの落下だけは避けたい)。

そこで、どうにかできないかと、ずいぶん考えていたのだが・・・。腰につけて簡単に着脱できて、下着でも、もう一枚上でも使える、かつ不自然に見えないもの。

腰につけていて違和感のないもの・・・というとウエストポーチだが、大きすぎる。自分で作ってしまうことも考えたが・・・、そうだ、パスポートを身につけるタイプの薄型ポーチならどうだろうと思いついた。

試しに百均にないかなと探したが近所の店では見つからず、家族にふと話したら子供が以前使ったのがあるという。見せてもらったらいい感じだ。

早速つけて見たらなかなか良い。厚さも熱さももほどほどだし、つけたり外したりも楽。見た目も違和感がない。これなら腰につけたままでホームセンターに行っても恥ずかしい思いをしなくて済む。

「あの人パスポートを身につけている(外国の方かしら)(心配性なのかな)(若年性認知で連絡先が入っているのかも)」

などと思われようがかまわない。

少なくともカイロを晒して歩くよりはマシだろう。

冬に活躍するPDA

何十年も時計をつけない生活を送っていたが、昨年Applewatchデビューを果たした。

ま、使い勝手が悪かったら家族に使って貰えばいいか・・・という感じで一番安いものを購入したが、むしろ手放せなくなった。

ほとんどがメールとかの通知と物忘れ防止の為に活用している。

カバーをしているがもう傷だらけ。この冬カバーだけでも交換したいが。

後者は特に冬場に役に立つ。冬は着ぶくれもしているし、手袋もしていたりしているのでスマホを取り出してメモをするのもつい億劫になる。作業中で手袋も汚れていると尚更だ。紙のメモでもあまり変わらないだろう。そんなとき、「ヘイ、Siri、覚えておいて」で、記録するようにすると非常にストレスフリーだ。

水やりをしていても、何か運んでいても記録できるというのはありがたい。そしてそういう時にかぎって何か思いつくものだ。

たまに言葉を取り違えて間抜けなメモが残ったりするのだが、自分の話し方が悪いのだろうと諦めている。ありがたいのが、袖の中で隠れていても問題なく反応して対応してくれることだ。

かつて、「PDA」と呼ばれる端末があった。「Personal Digital Assistant」の略だが、これこそがPDAと呼ぶにふさわしいように思う。

AIにはあまり関心はないが、こういう分野が進歩するのは正直助かる。

この冬も強力なアシスタントとして支えてくれることだろう。

減らない寂しさ

休憩所に薪ストーブを設置したのは今月初めだが、まだほとんど使っていない。

お湯を沸かすこともなければ、寒くて休憩時間に暖を取るほどの寒さでもないのだ。ありがたいことだが。

なので、薪棚の薪が全く減らない。

本来はこの区画×6ほどあるのだが、他は廃材とかも入っていて見た目が悪くてとても写せない(泣)。ここも決して良い感じではないが。美しく積まれた薪棚があるお宅をいつも感心して見ている・・・

薪が減ってくると、財布の中身と同じように心細くなるものだが、薪が減らないのもまた少し寂しさを感じる。物足りなさというのだろうか。

「ああ、薪が減ったな、薪割りでもするか!」

というときは、困ったような顔をしながら、内心はちょっとウキウキしているものなのだ。

それに一番心配なのは、薪棚がいっぱいだと、冬の間に剪定した樹木の枝を格納する場所がないこと。さて、そのときまでに薪棚に空きができるだろうか。