持ち家あり

晴れだ雨だと言ってはおられない農作業なのだが、雨の日はやはり晴れの日よりもキビキビさに欠ける。

普段はスッとできてしまうことがどうしても億劫に感じがちだ。早く片付けておくといいのだが・・・と思うビニールハウスのパーツなども、つい「後でいいか・・・」などと考えてしまう。

一方で、そういう雨の日の方が元気がいいのがカタツムリ。

普段はそれほど目にする事はない。もちろん、いることはいるのだが、ナメクジに比べると圧倒的に見かける頻度は少ない。

多分ハーブも食べるだろうけれど、ナメクジのようにハーブを盛大に食害しているのは見たことがない。

スタッフと休憩の時、「なんで同じようなものなのに、ナメクジは嫌がられて、カタツムリはそれほどでもないんだろう」という話題になった。

・うじゃうじゃいないので、あまり悪さが目立たない

・殻があるので、つかみやすい

・ナメクジは普段隠れて、夜に活動するので陰湿なイメージ

・カタツムリは歌があるから

などなど、理由はいろいろありそうだ。

大昔、雑誌か何かで、「やっぱり持ち家がある方がモテるでしょう」というのもあった。

でも、家があることで、気軽に移動できないのはカタツムリも人間も同じように思える。

とはいえ、すくなくともローンはなさそうなのは確かである。ローンも組まずに持ち家が・・・庶民から見たら羨ましい限りである。

裏のナチュラルガーデン

ビニールハウス裏の荒地は、普段は雑草がただただ伸び続けている。荒地とはいえ持ち主さんも年に2~3度草刈りをされているので、それほど気になる場所でもないが。

ただ、秋のこのシーズンだけは少し違う。

お盆ごろの草刈りで短くなった雑草たちがそれぞれに伸び、一斉に花をつける。

手前にはサクラタデの薄いピンク。その後ろにはミゾソバの鮮やかなピンクが広がる。このふたつは、高さも揃ってとても見事。

その横には適度な高さのセイタカアワダチソウがイエローの花穂を伸ばす。

奥と手前の方には目にも鮮やかなカンナの赤。特徴的な大きな葉もまたいいコントラストとなっている。

写真では見えにくいが、真ん中付近にはムラサキシキブが実をつけ、紫色のアクセントだ。セイタカアワダチソウの中からぴょこんと顔を出しているススキの穂もまた秋らしさを演出している。

実際このようなガーデンを人為的に作れるだろうか(この場所も、夏の草刈りという人為的な作業は行われているのだが)と毎年のように思う。

手を入れてしまうと、かえってうまくいかなさそうなナチュラルガーデン。放置されたままの姿を楽しむのがベストなのだろう。

過酷環境なので

休憩所にある電気ポット、夏の間はそれぞれが冷たい飲み物を持ってくるので使われることがなかったが、徐々に温かいものが欲しくなる時期を迎え、先日久しぶりにコンセントに刺してみた。

何度かは普通にお湯が沸いたが、その後プラグを刺しても電源がつかなくなった。マグネットのところが汚れているのかと、掃除をしてみるがやはり電気が通じないようだ。

ひっくり返してみると、驚いたのが96年製であった。28年前の品。お客様からお古を譲ってもらったのだが、それもだいぶ前のことだ。その先代の電気ポットもスタッフの家で使っていたお古だ。ハードな環境で傷みやすいので、お古で十分なのだ。

休憩所とはいえ、ビニールハウスのなかである。紫外線は降り注ぎ、夏は40度を超え(今年は50度を超えたかもしれない)、冬はマイナス。湿度も30%台から100%にもなるだろう。土埃も多いし、昆虫などが侵入することさえもある。とても新品など使う気にはならない。

本体の表面もプラスチックが劣化。ボタンを保護しているプレートも熱のせいか変形して浮き上がってしまっている。引退も仕方なさそうだ。

この機会にと、他の手段も候補に上がった。電気ポットは案外消費電力が多く、電気代にも影響がある。1日一度、多くても二度の湯沸かしなので、ポータブルコンロでも十分かもしれない。

ただ、休憩もかならず10時きっかりにするわけでもない。キリのいいところで早めにスタートしたり、遅くなったり。また、急の来客でお湯がなくて困ることも稀にある。タイマーをつけて節電につとめつつ、夏以外はお湯が沸いているとと安心なのだ。

さて、またお古を探すか・・・と思ったが、そもそも電源が入らないようなので、もしかしたらヒューズ切れ?と頭に浮かんだ。さすがに暑さのせいでヒューズが切れるとはおもえないが、経年劣化ということも考えられる。

検索してみると、分解も簡単なようで、試してみることに。ヒューズを取り出してみたら、案の定切れていた。残念ながら、近くのホームセンターでは手に入らず、ネットで注文したが300円ほどで手に入れることができた。交換もそれほど難しくなく、見事に電源も入り、お湯を沸かし始めた。

とりあえず次の代が見つかるまでの繋ぎというつもりでしばらく使うことにした。

しかし、これほどの過酷環境、耐久テストの場所としてメーカーに使ってもらえないだろうか。担当者さん、いつでも連絡お待ちしております。

落下物

バン!

と上の方から音がした。ビニールハウスに何かが当たった音だ。

ビニールハウスの上には、基本何もない。一部電線がかかっているところがあって積雪時、電線に積もった雪が落ちると似たような音はするのだが、もちろん雪ではない。

もっと嫌な音は、パタパタッという水分を含んだ音。カラスの排泄物だ。幸いいままで誰も被害にあったことはないが、ビニールにこびりついて雨でも降らないと落ちてくれない。時に気持ちが悪いぐらい集まってくるので、その時ばかりは気をつけるようにしている。

今回はそれでもなく、柿の実だった。これもおそらくカラスのせいだろう。近くに柿の木もあるが、巣に持って帰ろうとでもして途中で落としたのだろうか。それとも、咥えてはみたが渋柿で吐き出してしまったのだろうか。

そこそこ熟しているのか、ビニールにあたって砕けていた。固かったり、尖ったりした柿で穴でも開いたら大変だったが、まあよしとしよう。

普段それほど好んで食べることのない柿だが、空のブルーに映える綺麗な柿色をみたら、なぜか食べたくなってしまった。

からかってもらえるならば

「蒔いた種子は、全部出るか、ひとつも出ないかのどちらかだ」

確か、カレル・チャペックが書いていたように思うが、本当にその通りに思う。少なくともちょうど良いようには発芽してくれない。そのうえ、ちょうど良いときにも発芽してはくれない。

特に今年はどうもその傾向が強い。

一昨年に収穫した種子だったので、おそらく発芽率が落ちているだろうと思っていたペレニアルフラックスの種子。蒔いてもしばらくは全然発芽する気配もなくて、もう1度蒔かなくては・・・と思っていた矢先に一斉に発芽。小さい鉢に結構多めに蒔いたので、ぎゅうぎゅう詰め状態だ。

せめてこの鉢に20、いや30ほどの発芽数ならばすこし様子を見ても良いけれど、この調子では少し放っておくだけで根がこんがらがってしまいそうだ。決して根が強い方ではないペレニアルフラックスなので、根を傷めるのは避けたいから、早めの移植が必要な状態だ。

それにしても、今、発送などで結構忙しいタイミング。せめてもう1週間ほど待ってくれればまだ良かったのに。なぜこんな忙しい最中に発芽してくれるのだろう。まるで育てるこちらがからかわれているかのようだ。

でも、からかってもらえるならば、それも結構、なにかしら気持ちが通じている気もするのだから。