過酷環境なので

休憩所にある電気ポット、夏の間はそれぞれが冷たい飲み物を持ってくるので使われることがなかったが、徐々に温かいものが欲しくなる時期を迎え、先日久しぶりにコンセントに刺してみた。

何度かは普通にお湯が沸いたが、その後プラグを刺しても電源がつかなくなった。マグネットのところが汚れているのかと、掃除をしてみるがやはり電気が通じないようだ。

ひっくり返してみると、驚いたのが96年製であった。28年前の品。お客様からお古を譲ってもらったのだが、それもだいぶ前のことだ。その先代の電気ポットもスタッフの家で使っていたお古だ。ハードな環境で傷みやすいので、お古で十分なのだ。

休憩所とはいえ、ビニールハウスのなかである。紫外線は降り注ぎ、夏は40度を超え(今年は50度を超えたかもしれない)、冬はマイナス。湿度も30%台から100%にもなるだろう。土埃も多いし、昆虫などが侵入することさえもある。とても新品など使う気にはならない。

本体の表面もプラスチックが劣化。ボタンを保護しているプレートも熱のせいか変形して浮き上がってしまっている。引退も仕方なさそうだ。

この機会にと、他の手段も候補に上がった。電気ポットは案外消費電力が多く、電気代にも影響がある。1日一度、多くても二度の湯沸かしなので、ポータブルコンロでも十分かもしれない。

ただ、休憩もかならず10時きっかりにするわけでもない。キリのいいところで早めにスタートしたり、遅くなったり。また、急の来客でお湯がなくて困ることも稀にある。タイマーをつけて節電につとめつつ、夏以外はお湯が沸いているとと安心なのだ。

さて、またお古を探すか・・・と思ったが、そもそも電源が入らないようなので、もしかしたらヒューズ切れ?と頭に浮かんだ。さすがに暑さのせいでヒューズが切れるとはおもえないが、経年劣化ということも考えられる。

検索してみると、分解も簡単なようで、試してみることに。ヒューズを取り出してみたら、案の定切れていた。残念ながら、近くのホームセンターでは手に入らず、ネットで注文したが300円ほどで手に入れることができた。交換もそれほど難しくなく、見事に電源も入り、お湯を沸かし始めた。

とりあえず次の代が見つかるまでの繋ぎというつもりでしばらく使うことにした。

しかし、これほどの過酷環境、耐久テストの場所としてメーカーに使ってもらえないだろうか。担当者さん、いつでも連絡お待ちしております。

落下物

バン!

と上の方から音がした。ビニールハウスに何かが当たった音だ。

ビニールハウスの上には、基本何もない。一部電線がかかっているところがあって積雪時、電線に積もった雪が落ちると似たような音はするのだが、もちろん雪ではない。

もっと嫌な音は、パタパタッという水分を含んだ音。カラスの排泄物だ。幸いいままで誰も被害にあったことはないが、ビニールにこびりついて雨でも降らないと落ちてくれない。時に気持ちが悪いぐらい集まってくるので、その時ばかりは気をつけるようにしている。

今回はそれでもなく、柿の実だった。これもおそらくカラスのせいだろう。近くに柿の木もあるが、巣に持って帰ろうとでもして途中で落としたのだろうか。それとも、咥えてはみたが渋柿で吐き出してしまったのだろうか。

そこそこ熟しているのか、ビニールにあたって砕けていた。固かったり、尖ったりした柿で穴でも開いたら大変だったが、まあよしとしよう。

普段それほど好んで食べることのない柿だが、空のブルーに映える綺麗な柿色をみたら、なぜか食べたくなってしまった。

からかってもらえるならば

「蒔いた種子は、全部出るか、ひとつも出ないかのどちらかだ」

確か、カレル・チャペックが書いていたように思うが、本当にその通りに思う。少なくともちょうど良いようには発芽してくれない。そのうえ、ちょうど良いときにも発芽してはくれない。

特に今年はどうもその傾向が強い。

一昨年に収穫した種子だったので、おそらく発芽率が落ちているだろうと思っていたペレニアルフラックスの種子。蒔いてもしばらくは全然発芽する気配もなくて、もう1度蒔かなくては・・・と思っていた矢先に一斉に発芽。小さい鉢に結構多めに蒔いたので、ぎゅうぎゅう詰め状態だ。

せめてこの鉢に20、いや30ほどの発芽数ならばすこし様子を見ても良いけれど、この調子では少し放っておくだけで根がこんがらがってしまいそうだ。決して根が強い方ではないペレニアルフラックスなので、根を傷めるのは避けたいから、早めの移植が必要な状態だ。

それにしても、今、発送などで結構忙しいタイミング。せめてもう1週間ほど待ってくれればまだ良かったのに。なぜこんな忙しい最中に発芽してくれるのだろう。まるで育てるこちらがからかわれているかのようだ。

でも、からかってもらえるならば、それも結構、なにかしら気持ちが通じている気もするのだから。

こぼれダネはどこに?

こぼれダネで増えていくハーブは多い。とはいえ、そのハーブにとって条件が良い場所であればであり、なんでもというわけでもない。

割とよくある例として、ボリジはこぼれダネでよく発芽するのに、カモミールはしない、またはその逆も多い。全てがというわけではないようだが、わりとねっとりした畑のようなところではボリジのこぼれダネがよく発芽するようだし、さらっとした砂質の畑や花壇ではカモミールがよく芽生えるようだ。

当店の畑は、さらっとした方の土だと思うが、なんせ雑草が多く極小のカモミールの発芽など発見するのがほぼ無理だ。春になってかなり大きくなってから「なんとこんなところに」という感じで見つかる。しかも決して数は多くない。おそらく昆虫などに横取りされる種子も多いのだろう。

そんななか、確実にこぼれダネが見つかるスポットがある。

それが、売れ残った前シーズンのジャーマンカモミールのポットのなかである。意図的に花を残して種子を落としてもらうようにしているのだが、夏を超えた頃からぽつぽつと発芽を始める。そのため、普段ならすぐに片付けてしまうポットだが、数ヶ月放っておく必要もある。

まだ本葉がひと組しか出ていないようならいちどプラグに移植して大きくなるまでしばらく育ててポット上げを行う。ある程度大きくなっているのはそのままポット上げをすることもあるが、やはり少し根を伸ばしてからの方がその後の歩留まりは良い。

小さい芽はいちどプラグに移植。肩の凝る作業。

実はこの他にも普通に種まきもしているのだが、なぜかこちらのこぼれダネ(もとは同じ親株の種子なのだが)の方がその後の成長が良かったりする。一度紙やビニールに包まれてしまうのがいけないのか、過酷環境の方がいいのか、その辺はよくわからない。

ひっそりと闇に紛れて

この暖かさなので、まだ様々な害虫に悩まされる日が続いている。

もう半月もすれば、昆虫たちはほぼなりを潜めるのでずいぶん気が楽になるのだが、かわっていままで目立たなかったものが気になるようになってくる。

それがこの陸貝の仲間(名前は知らないが※)だ。もちろん、ナメクジには本当に年中悩まされているが、もしかしたらこの陸貝も一年を通じてひっそりとハーブの葉っぱを食べているのかもしれない。

一方で、陸貝の代表ともいえるカタツムリにはそれほど困っていない。日々水やりをする苗なので、もっといても良さそうなのに、被害は年に数えるほどだ。

この陸貝は小さいし、食べたとしても葉に開ける穴も小さいのだが、夜行性なのか早朝によく見かける。以前、タックシールを食べて穴をかけていたのを見たこともある。紙の裏のノリが美味しかったのだろうか。

殻もとても薄いのでちょっとつまむとパリンと割れてしまう。大きな被害がない分、ちょっとかわいそうに思うこともある。

でもそういうのにかぎって闇に紛れて悪いことをしているのでは?なんて思うのはドラマの見過ぎかもしれない。

※調べたところ、オカモノアラガイの仲間のようだった。