空よりも青く

こぼれ種で増える植物というのは、たいてい「一体どこから」と言う感じでその場に現れるものだ。圃場の脇にもう数年前から居着いているボリジの株もそうだった。用土を捨てていたわけでも無いし、終った花を放置していたこともないのにいつの間にか芽生えてきたのである。ボリジの種子の場合、アリが良く運んでいくのでその線が一番疑わしい。以来、毎年種子を落とし、絶えることなく生えるようになった。
ボリジ
こんな荒れ地に根付いてしまうと、それはそれは頑丈な株になり、どちらかといえばあまり可愛らしくない。事実、葉は硬いし、あまり繊細といった感じではない。

ボリジ

花も、咲く前は頑丈な毛に覆われていてごわごわした感じだ。なのであまりガーデンや花壇向きではないように思う。やはり野にたくましく咲いている姿が似あうのだろう。開花を待ちかまえていたようにミツバチが早朝から忙しく花の周りを飛び回っている。

ボリジ
ブルーの星が咲くと言われるその花は、やや下向きに咲くので撮影もしづらい。鮮やかな色は「空のような青」と形容されるが、こうやって空を背景にして見ると空よりも青いようだ。少なくとも松江の空よりは。

銀色の寝室

圃場の前にあるシンボルツリー、シルバーライム(ギンヨウボダイジュ)の芽が日に日に膨らんできた。今朝見ると、一つが既にふわりと開きかけていた。
シルバーライム
ギンヨウボダイジュの見どころは新芽の葉色である。特に葉の裏は綿毛がついていて文字通り銀色に見える。風が吹くと表面のグリーンと葉裏の銀色が輝いて瞬いているかのようにみえ、初夏の雰囲気を一層爽やかなものにしてくれる。
シルバーライム
葉裏の様子を写して見ようとしゃがんだところ、新芽の中にちいさなクモがお休み中であった。ふわふわとした寝床の中でお休み中だったのかも知れない。なんとも素敵な寝室を見つけたものだ。
シルバーライム
太陽が当り、暖かくなったのか、それとももっと全身を撮ってもらいたかったのかヨッコイショと外に出てきた。

この株は小さな苗を植えてから5年以上になり、3メートルを越えるようになってきた。そろそろ夏の良い日陰として活躍してくれるだろう。

急成長

タケノコのシーズンももう間近である。近隣に竹林がたくさんあるのでいただくことも多い。最初は初物の珍しさで喜ぶのだが、採れるようになると次々とタケノコが届くようになり、嬉しい悲鳴を上げることになる。タケノコは成長が速いことで知られている。せっかく顔を出したのに食べられてはかなわないと、一気に成長するのだろう。

今はこの辺りでも暮れのころから地中深くの小さなタケノコを収穫することもあると聞いて驚いた。タケノコもおちおち眠っていられないようだ。

さて、タケノコに負けない生長の速さをもつが蔓植物だ。店の横にある花壇で先月終わりに芽を出したホップが一気に成長を始めた。
ホップ3/29
3月29日、ようやく顔を出しはじめた。一昨年の秋に苗を植えて、昨年かなり成長していて緑のカーテンを楽しんだ。ただ、その後追肥もしなかったので若干心配をしていた。
ホップ4/8
4月8日、最初の蔓がのび、いよいよワイヤーに絡みつこうとしていた。蔓植物には上手に絡みつくためのセンサーが有るという。エライね。
ホップ4/9
4月9日、既に3巻きぐらいしている。一日で20センチ近く伸びているのだ。驚く他ない。ここまで来たら一安心というところだろうか。この後放っておいてもそこそこ育つ。でも、もう少し細い蔓がたくさん出るようになってきたら良い形になるように時々誘引し直してやると思った形になりやすい。

ミツバチの春

初夏を思わせる一日で気温も20度台にまで上昇。プロストレイトローズマリーの周りをミツバチたちがせわしなく乱舞している。
ミツバチ
まるで目の前に冬が迫っているかのような気ぜわしさである。あっちへ行ったりこっちへ戻ったり、さっきとまった花なのにまた顔を突っ込んで見たり。もう少し落ち着いて動けばいいのにと思う。ハチにとっては余計なお世話である。とはいえ、空の上から見れば、我々人間もきっと同じように見えるのだろうと思って可笑しくなった。
ミツバチ
ローズマリーの中でも良く咲き、しかも立性のように一期咲きではないのでプロストレイトローズマリーは密探しにはおあつらえ向きの種類なのだろう。ローズマリーオンリーの蜜があれば一度どんな味か試して見たい。でも、「○○の蜂蜜」というのには、他の花蜜が混じらないんでしょうかね。ミツバチにしか分からない謎なのかも。

控えめな花

ポット苗のバニラグラスが開花しはじめた。春に花が咲くバニラグラス、実は花を見るのは初めてだったりする。と言うのも、たいていは秋までに販売してしまっていたり、春先に株分けすることが多く春にはまだ小さい苗の状態であることが多いからだ。
バニラグラス
今年は偶然、コンディションの良い状態で春を迎えたので花にお目にかかることができた。路地植えすれば簡単である。でも路地植えもしていない。他の雑草が入ってきたら見分けが付きにくいことこの上なしである。

それにしてもイネ科植物の花はなんと控え目なのだろう。水稲と同じく風媒花だからと言ってしまえばそれまでなのだが。良い香りがしても虫たちは全く興味を示さないのだろうか?
バニラグラス
花が咲いたら種子を採るかって?採らない。株分けの方がはるかに簡単だから。ちなみに成長が速くて容器栽培では根も詰まりやすい。少しバックの葉が茶色っぽいのは根詰まりしかけているのである。早く株分けしてやらねば。