種子ができても

一番西側のビニールハウスのすぐ横には、見上げるようなネムノキが生えている(正確には種子で芽生えたものをこの場所に移植したもの)。

今年の暑い夏も、このネムノキのおかげで程よい日陰ができて、ずいぶん涼しい思いをさせてもらった。もちろん、ビニールハウス自体にも寒冷紗を設置しているのだが、人工的な寒冷紗と、自然の葉によってできる陰の組み合わせが絶妙だったりする。これがどちらか一方ではうまくいかないのだ。枝が風にそよぐと、影も揺れて、それがまた涼感を増してくれる。今の時期は、ミンミンゼミが奥の山から降りてきてこの夏最後のコーラスを歌うステージとなっている。

今後冬に向けては落葉するので、毎年少しずつ枝の剪定を行う。あまり丈夫な樹ではないようなので、時々古い枝を外した方が良いようだ。そしてその枝は、一年ほど乾燥させて冬のストーブの良い焚き付けになって作業場を温めてくれる。こちらの方は、火持ちは良くないが、ストーブの焚きはじめや、一時的に火力を上げたいときには十分だ。

そう、夏前にはピンクの花もたくさん咲いて甘い香りを漂わせてくれるのも嬉しい。こうして一年中のように恩恵を与えてくれることには感謝するばかりだ。

そのネムノキに、種子がいっぱいできていた。毎年たくさん種子ができるのだが、株元にこぼれダネで発芽しているかというと、ほとんど見たことがない。ちょっと残念な気もするのだが、まあ、一本あれば十分かもしれない。