以前、親しくなった方からなにかの折に
「ギャンブルはされますか?」
と尋ねられたことがある。
「日々がギャンブルみたいなものですからねぇ」
と、冗談交じりに答えたら
「事業はギャンブルではありません」
と諌められた。
少なくとも、仕事をギャンブルとは考えていないが、農業には賭けのつもりで向かうしかない天気という相手がいる。
あらかじめ大雪が降りそうな日の夕方はビニールハウスのなかにストーブを灯す。ハーブを凍えさせないためではなく、積雪が少しでも落ちやすくするためだ。ビニールハウスの雪は、一部が落ちるとその周りから落ちていきやすい。そのきっかけを作るのが小さなストーブの灯だ。
昨日の夕方は強い風とともに横殴りの雪が降り、大雪警報も発令。相当に積もりそうな雰囲気だったので、疑うこともなくそれぞれのビニールハウスにストーブをつけた。
ところが、雪のピークはその時が最高で、今朝起きてみると、ほんの少し積雪が増えた程度だった。
特に心配することなくビニールハウスにむかった。ストーブの置いてあるあたりから雪が滑り落ちて、縁の方に若干残っていたが、その雪も午前中日がさすと綺麗さっぱり下へ滑り落ちて行った。
残念ながら一晩中つけっぱなしにしていたストーブはあまり意味がなく、減った灯油を給油する作業も少し気が重かったが、昨日の判断を賭けとするなら、賭けに負けたわけではない。おかげで一晩ゆっくり眠れたのである。
今夜もそれなりに冷え、雪も降る予報が出ているが、さて、今夜の賭けはいかに?