10月は秋の園芸シーズン。そして師走の12月。どちらも忙しい月だが、その間に挟まれた11月はぽっかりと空いたような時間にゆとりがもてる月だ。
気持ちに余裕があると、普段見過ごしてしまいがちなところも目につきやすくなる。
例えば夏前に折れてしまったビニールハウスの巻上げ機のハンドル。
ビニールハウスは、閉じているととんでもなく気温が高くなってしまうので、換気をよくするためにサイド部分や天頂部分を開閉して風を入れられるようになっている。大抵は開けっ放しなのだが、雨が吹き込んでくるような時や、台風などの強風の時は風をはらまないよう、閉じなければならない。
サイド部分の開閉は、短いハウスなら手で開ければ十分。しかし、さすがに10メートルを超してくると手ではきつい。
そこで登場するのが、巻上げ機だ。ハンドルを回すとその先のパイプがくるくると回る。パイプがビニールを巻きつけてハウスの横面を開けていく。10秒もあれば片面を開けることができる。単純な作りだが、もうこれなしではやっていけないほど便利なシステムだ。
30メートル用とか、50メートル用とか、100メートル用などあって、長いハウスに使うものは一台1万円以上するものもある。近年は電動や自動のものもあったりするが、いまのところは手動で十分である。お値段も高いしね。
さて、問題の壊れてしまった巻上げ機。中古で譲ってもらったものを10年ぐらい使ってきたので、そろそろ替えてもよさそうな時期だ。一旦は新品に変えようと思っていた。きっと、繁忙期ならとっとと新品に替えていただろう。
ところが、ゆとりがあるこの季節、よくよく考えてみると本体には問題がない。ハンドル部分が折れているだけなのだ。
ならばハンドル部分だけ直せば問題なし!である。しかも、ハンドルも握りのところが折れただけ。ハードルはそう高くなさそうだ。
なんでも買って済ますのは簡単だが、少しは頭を使って体を動かさないと人間が駄目になる。
まず、ハンドルに近い太さで取り付けやすそうなものは・・・と考える。加工がしやすいのは木やプラスチックだが、ある程度耐久性がないといけないし、それなりに力が加わる部分である。かつ、もともとあるハンドル部分に取り付けやすい素材は、やはり金属だろう。
そこで、ビニールハウス用のパイプの残りを引っ張り出してくる。直径が19mm。内径はハンドルよりも少し大きいぐらい。
まずは、適当なサイズにカットして、折り曲げるところをサンダーで少し削る。
さらに、バーナーで加熱。金属加工は危険も伴うので慎重に、慎重に。
赤みを帯びてきたところで、長めの太いパイプを挿して90度に曲げた。
次に壊れているハンドル部分を切断。
サイズなど問題がないか、あわせてみる。ウン、いい感じだ。
金属用のビスを2箇所に打ち込んで固定。元のパイプとの間に隙間があるが今回は目をつぶる。そのうち錆びて間が詰まるだろう。
くるくる回しやすいように、握り手の部分に塩ビパイプを差し込んで出来上がり。
本当は塩ビパイプが抜けないようなストッパーがつけたかった。内側のパイプを叩いて広げるか、ビスをつけておけば良いかもしれないが、塩ビパイプがしょっちゅう落ちて困るようならまた考えよう。
お金を使わず、頭を使って、満足感も得られる。時々はこんな時間がもてる11月。残り半分を大切に過ごしたい。