タクラマカンからのたより

朝、車で走っていて、なにか遠くのほうがかすんでいる事に気がついた。その時は、今日は霧が出るほど冷え込んでいたっけ?。とぐらいにしか思っていなかった。

10時の休憩を過ぎてもやはり遠くがかすんで見えている。スタッフと、これってもしかして黄砂?でもまさか今の時期になんてねぇ。などと話していた。

黄砂

昼にニュースを聞いていたスタッフから「やっぱり黄砂だった」と教えてもらった。

黄砂と言えば、洗濯物を汚したり、近年はアレルギーの原因としても嫌われているが、今の自分はちょっと違う思いで眺めている。

今、就寝時、布団に入ってから開くのがスウェン・ヘディンの「さまよえる湖」。行った事の無い地を文字だけで想像しているといつの間にか心地よい眠りの世界に引き込まれてしまう。

砂漠の中の幻想的な水の流れ、タマリスクとポプラの生える地に思いをはせ、現実から心はかけ離れていく。

今ならば、テレビやビデオでいくらでも現地を見ることができるし、その気になれば自分自身をその地へおく事さえ不可能ではないだろう。

でもむしろ、想像の中で遊んでいる方がはるかに楽しい一面もあるように思う。だって、こんな嫌われ者の黄砂さえ、ヘディンが踏みしめたタクラマカンの砂が飛んできているのかも・・・なんてちょっと好意的に見ることができるのだから。