夏休みの工作(前編)

例年、真夏の日中はビニールハウスの中での作業は危険なので、昼休みは少し長めになる。その時間を利用して昨年、傷んできたはさみケースを作り直し始めた。

今まで使ってきたはさみケース、使いはじめてかれこれ10年以上になる。手づくり品である。作者は何と当時中学生の男の子。当時、若き友人の一人であった彼はレザークラフトに関心を持っていた。そこで、材料だけ用意してやって、大体の希望を伝えた。

それまでは市販のはさみケースを使っていた。しかし、量販品のため、使っているはさみにしっくり来ない。また、作業中に良く使うラベルと鉛筆、そして小刀は常に身に付けておきたい。そんな希望をかなえるはさみケースなど売っているわけが無いのでどうしてもオーダーメイドに頼らざるを得なかった。

しかしながら専門の業者に頼むとなると、コストがべらぼうにかかりそうで諦めていた。そこに現れたのが彼である。レザークラフトも将来の夢の一つだというので、「まず、作ってみろ」とけしかけたのである。

しばらくしてでき上がってきて驚いた。あらを探せば限りなくあるが、頑丈な縫製といい、必要充分なデザインといい、初めて作ったにしては見事なものだった。

これが無いと仕事にならないハサミケース
これが無いと仕事にならないハサミケース

その後愛用し続け10年以上、水と泥と汗にまみれ、革もボロボロ。手入れもしなかったのも災いして所々破れてきた。

鉛筆入れは昨年修理したので新しい。下のナイフ入れはちぎれそう
鉛筆入れは昨年修理したので新しい。下のナイフ入れはもげかかっている
ハサミを入れる部分も革が破れてしまった
ハサミを入れる部分も革が破れてしまった

残念ながら今となっては製作者とも連絡が取れなくなってしまったので、自分で所々修理してきたが、さすがに限界がきた。そこで昨夏、材料と道具を揃え、作り直すことに着手したのである。(続く)

雨の年は優しく

夏らしくない天気のため、開花期に入ったハーブたちもイマイチ元気がない。毎年薄いブルーの花で涼しさを感じさせてくれるクリーピングボリジも、花色が淡く、弱々しい。雨が多くて寂しげである。

クリーピングボリジ

写真に写してみるとなおさら白っぽく、はかない感じになってしまう。

普通のボリジが一年草なのに対して、こちらは一応多年草。上手に育てれば何年も持つ。それでも種子は良くつけ、こぼれ種もよく育つので、どんどん更新していった方が元気は良いようだ。

クリーピングの名の通り、あまり背丈も高くならず、横に広がる。花が小さくて可愛らしいのもまた良いところである。ただ、さすがにボリジ。頑丈に育つとやはり葉がチクチクして少し痛いのである。不快とか、危険とか言う程じゃないけどね。でも、今年は少し葉が柔らかく、例年よりは優しい感じである。

イネ科の生長

今年の春はレモングラスの発売を見送らざるを得なかった。昨年秋の増殖が思うようにできなかったことと、冬に油断していたため、親木がダメージを受け、その回復が間に合わなかったためだ。私がもう少し注意していれば・・・。たくさんお断りすることになってしまいました。ゴメンナサイ。

その、レモングラス、親木も順調に大株に育ち、今年は早めの株分けができるようになった。普段は冬対策とともに秋になってから行なうところだが、何せずっと品切のままなので、少しでも早くと、お盆前からスタートした。

株分け直後
株分け直後

今の時期は秋よりも株元が柔らかく、はさみを使わなくとも容易に株分けができる。そのかわり、気温が高く、成長も旺盛なので葉をしっかり切り戻してやることが大事である。もちろん、株分け後の水やりは毎日怠ることができない。

株分け3日語
株分け3日語

この通り、3日後には既に茎の中ほどから葉がぐんぐん伸びている。たっぷり水やりをしなければとてもこの成長についていけない。夏のイネ科はどの種類も恐るべき勢いである。(最初の写真さえ、株分け直後であるのに、既に中心部が伸びはじめている)。

雑草

と、言うことはもちろんイネ科の雑草も凄い勢いで伸びるということで、上の写真。数日前に草刈りをしたばかりと言うのにこの有り様。徒労感を覚えざるを得ないのである。

キノコの謎

いつもなら、強い日射で苗の水切れを毎日心配する時期なのに、今年はまったく安心である。かえって過湿に注意せねばらならないぐらい。その上、見たことのないキノコまで生える始末。

キノコ

成長にはそれほど影響は無いと思われるものの、やはりあまりよい気持ちはしない。だいいち、神出鬼没で、何が原因なのか、どこからやって来たのかが全くわからない。

もう数年も前のことになるが、手入れしているお客様の庭で初めて見るキノコが突然現れたことがある。いろいろ調べて、チャワンタケの仲間ではないかという結論に達したのだが、その後一度も現れることも無く、今でも原因は良く分からない。

チャワンタケの仲間かも知れないが詳細不明
チャワンタケの仲間かも知れないが詳細不明

今回も、用土の中に胞子でもあったのか、それとも外から飛んできたのか探りようも無い。想像もつかないほど広そうなキノコの世界である。いちいち名前を調べようという気にもならない。

かつて、信州の人たちと話をしていたときに気がついたのが、キノコに対する思いの強さである。こちら(松江や出雲)の知り合いのなかには、キノコを追い求めるような人がいない。いても、マツタケのような超高級キノコへの関心が有る人で、キノコ狩りを楽しむという人にあったことが無い。文化の違いなのだろうか。これもまたキノコの謎である。

ブロッカー

苗を育てるビニールハウスで一年を通して見ることのできる小動物の一つがクモである。小さいのから大きいのまで様々な種類を見かける。時には糸が顔に絡みついたりしていやな思いをすることもあるが、害虫の捕食者としての役割を果たしてもらっている。まあ、益虫も補植してしまうこともあるとは言え、こちらは干渉しない。

クモ

夏前からは外から飛んでくる昆虫を捕まえるためだろうか、ビニールハウスの枠のパイプに巣を張る種類が目立ってくる。風通しも良いだろうし、ずっと開けっぱなしなので巣も張りやすそうだ。害虫のブロッカーとして、どんどん張ってもらいたい。今年は最初巣の数が少なく、少し心配していたのだがこの頃ようやく所々で見かけるようになって安心している。

コガネグモ

ところで、この写真のクモ、ずっとジョロウグモという種類だと思っていた。普段、一番目にするし、大型で立派な巣も見事である。念のため調べたら、コガネグモというらしい。

コガネグモの巣は、何かがかかると、非常に揺れる。「クモの巣って敏感なものなんだなぁ」といつも感心していた。ところが、実のところはクモが威嚇のために揺らしているんだとか。なかなか可愛いやつである。今度じっくり観察してやろう。