この冬のハーブたち(花壇編)

この冬のハーブの様子を2回(ビニールハウスの中と、畑)にわたって紹介してきた。

今回は先週作業に伺ったお客様の花壇の状況についても記録を残しておこうと思う。

この花壇は、市内の病院の入口脇の花壇。

一昨年は下記のように、ゴールデンヘリオトロープもヘリオトロープも寒さで真っ黒に葉が傷んでしまった(2月はじめ)。

2017年のゴールデンヘリオトロープ
2017年のゴールデンヘリオトロープ
2017年のヘリオトロープ
2017年のヘリオトロープ

それが今年はゴールデンヘリオトロープは柔らかな葉先が傷んだ程度。

2019年のゴールデンヘリオトロープ
2019年のゴールデンヘリオトロープ
2019年のヘリオトロープ
2019年のヘリオトロープ

ヘリオトロープは、軒下からはみ出したところだけがおそらく霜の影響だろう、黒ずんだぐらいで済んでいる(1月の終わり)。

道路に面した花壇でも、スノードロップが顔を出し始めたが、普段なら雪の下から顔を出すことも多いのだが、今年は石の下から。寝坊してしまったと焦っているかもしれない。

スノードロップ
スノードロップ

北側花壇は、例年、年末にバッサリと刈り込んでしまうアンソニーパーカーセイジが、まだまだ花を残していたので、その時には切り損ねた。

アンソニーパーカーセイジ
アンソニーパーカーセイジ

さすがにこの時期になると葉がずいぶん傷んでしまったのでこのあと強く剪定したのだが、株元からこの時期こんなに新芽が出ることはまれだ。やはり暖かさのせいだろう。出た新芽が今後の寒さで傷まないと良いのだが。そのうえ、春からの成長もどうなるのか現時点では予測不能。この春はこまめな観察が必要になりそうだ。

この冬のハーブたち(畑編)

前回はビニールハウスの中(無加温)でハーブたちのこの冬の様子を紹介したが、今回は畑のハーブたち。

屋外のハーブたちもまた普段の年とはずいぶん違う。例年、もう2回は雪かきをしている時期なので、地上部が完全になくなっていたり、少しだけ葉を残すような種類でも、かろうじて残った葉が赤紫になって寒さや雪に耐えていると入った状態だ。

ちなみに2年まえはといえば・・・

2年まえ結構な雪が降って、ビニールハウスに辿り着けるかどうかと言うほどだった。当然しばらくはハーブたちも雪の下。

ところが今年は、雪がないのでラベンダーセイジも春先のような葉を広げている。

ラベンダーセイジ

枝だけになってしまうチェリーセイジも新芽を出してしまった。

チェリーセイジ
普段は枯れ枝のチェリーセイジなのだが

本当は3月ぐらいに行う挿し木もこれぐらいからスタートするので、今、どうしようかと判断に悩んでいる。

レモンティートゥリー

普段の年なら黄土色になってカサカサと葉を落とし始めるレモンティートゥリーも綺麗な紅葉のまま。今年はもしかしたら落葉しないかもしれない。

レッドチコリ

例年雪の下なので、あまり見ることがないのだが、レッドチコリは、まるで地面に咲いた巨大な真紅の花のようだ。

マートルの新芽
マートルの新芽

去年は寒波で枝だけになってしまったマートルも新芽が紅葉する程度。

このまま春を迎えてしまうのか、今週末は雪マークが出ているがまだわからない。

この冬のハーブたち

この冬は本当に暖かい。冬になって、雪は降った。でも、積もるようなことはまだない。例年ならもう一度や二度は雪かきをしていることだろう。

宅配便のお兄さんも「今年は雪道を走らなくていい」と笑顔だし、介護施設の職員さんも「今年の冬は送迎が楽です」と喜んでいる。

今日も事務所で気が付いたらエアコンをつけていなかった。それでも、「ん、ちょっと寒いかな?」と言う程度。体にはとても楽だ。物事もスムーズに進んでありがたい限り。

ところが、ハーブたちを見るとそう楽観的でもいられない。

極端に寒くならないので、ビニールハウスも冬とは思えないぐらい開けっ放し。これで閉めるとアブラムシなど春から活動する虫たちが動き始めそうなぐらいだ。

ローンデイジーそれでも、春に蕾をつけるはずのローンデイジーが次々と蕾を作り始めた。

ステビア春、ずいぶん暖かくならないと地下からの新芽が出てこないステビアも、早々と芽を出し始める。

スイートバイオレットスイートバイオレットの仲間も、まだ根が充分に張っていないのに花を咲かせ始めた。

エルダーエルダーも落葉しないので挿し木をするタイミングが図れず、その上、春のような新芽さえで始める始末。

ラベンダーのようにある程度の寒さが当たらないと休眠が破れない種類もある。今後の気温にもよるだろうが、本格的な春になった時、どの様な動きをするのか、今の時点では全く想像がつかない。

春になるのが待ち遠しい季節のはずなのに、ちょっと怖い。これが今年の冬である。

想像力・推察力の欠如と観察不足

例年よりはずいぶん気温が高めに推移しているとはいえ、着実に秋は深まり、冬ももうすぐそこまで来ている気配。

コリアンダー実生

零れ種のコリアンダーも勢い良く伸びている。あまりに密集していたので、少し前にきちんと畝を作ったところに何株か移植したのだが、そちらはあまり伸びが良くない。時期的には問題ないはずなのだが、やはり移植を嫌うというのがこういう時に良くわかる。

ブルーキャットミントとホトケノザ

ブルーキャットミントも秋の最後の花を咲かせている。その後ろでなぜかホトケノザが季節を間違えて咲き始めている。写真だけ見るといつの季節のものかわからないぐらいだ。

前回、

「植物を育ててみると発見が多く、観察力・想像力・推察力がついてくる」

なんて偉そうなことを書いていたのだが、そういう自分が想像力や推察力が欠如していたのでは開いた口がふさがらない。

この夏、井戸から水を引いてくるポンプが不調となった。蛇口を閉じてもポンプが止まらないのだ。原因はポンプのフィルターの掃除を怠ったために圧力スイッチに泥が詰まったことだった。大分解掃除が必要で暑い中本当に手こずった。

そして、先日。どうやらまた井戸ポンプの調子がおかしい。水圧は上がらないし、井戸から引いて分枝させた手洗い場の水を止めてもポンプは動いたまま。夏に分解したばかりなので、フィルターやパイプが詰まったかもしれないと、まずこれらを掃除した。汚れはそれほどでもなかったので、これで修理完了と思いきや、栓をひらいてもやはり水圧が弱いし、閉じてもポンプは動き続けている。

分解したのにまた分解か・・・と気分は重くなる。とてもすぐに取りかかる気にはなれず「明日にしよう」と先延ばしを決める。もうこの時点で、ポンプの圧力スイッチばかり疑っていた。

ところが、午後、井戸からの水を一度貯めておくタンクのところに行ってみると、水浸し!調べてみるとタンクへ通じるホースの途中でホーズバンドが緩んで水がだだ漏れになっているではないか。これではいくらポンプを直したところでポンプが止まるわけはない。

ホースバンド補修

早速修理に取り掛かり、ホースバンドもずいぶん錆びていたので新品と交換。修理は5分もかからず終わる。水栓を閉じたら、問題なくポンプも止まった。

圧力スイッチのことばかり考えていて、先で水漏れしていることに考えが及ばなかったとは・・・。我ながら呆れてしまったのである。想像力・推察力の欠如と観察不足だ。

ただ、ポンプを分解してからでなかったのが不幸中の幸い。これから少し時間に余裕もできる時期なので、本格的に寒くなる前に配管関係を見直すにも良いタイミングかもしれない。

物事は良い方に考えねばならないと気を取り直した一件だった。

育ててみなけりゃわからない

朝晩の気温がだいぶ下がってきた。早朝と夕方は、上着がないと厳しい。

一方、暑さが嫌いで涼しいのが大好きなハーブの仲間はきわめてご機嫌。

ゴールデンセイジゴールデンセイジもこの夏は本当にしんどそうだったのに、今は気持ちよさそうに鮮やかな葉を広げている。

ウーリーラベンダー

一時瀕死の状態だったウーリーラベンダーもすっかり回復。これぐらいふわっとした葉では今年の夏は特に厳しかったに違いない。これからますます白っぽくなっていくことだろう。

先日、この辺りでは最高峰とされる鳥取県の大山に登った。山麓までは毎年のように出かけるが、登山は何十年ぶり。

クルマバソウ
登山道の周りはクルマバソウ(ウッドラフ)がいたるところに

それにしても中高年女性の「山ガール」の多さにはびっくりした。とにかく賑やかで二人以上なら、降りてきても登ってきても遠くからすぐわかる。熊よけの鈴もいらないぐらいだ。それよりもこんなに急な坂を登りながらあんなにおしゃべりして息が切れないのが不思議だった。発声器官とべつに呼吸器官があるのだろうかと思えるぐらい(失礼!)。

さて、そんなすこし高齢の「山ガール」の集団の一人の方が、「友達に『山登りの何が楽しいの?』って聞かれるけど、登った人じゃないとわかんないわよね~」と言っていた。確かにその通りだと思う。自分も以前は楽しさがわからなかった。

大山山頂
大山山頂から米子・境港方面を望む

さて、観光客で賑わっている大山寺付近は紅葉はまだこれからという感じ。それでも標高1100メートルぐらいから葉の色の鮮やかさが増し、1200メートルを超えたあたりからは木々の色はまさにピーク。何度も足をとめて観入ることにことになった。

1100~1200メートル付近

我々は紅葉を「しているか」・「していないか」で見がちなところがあるが、その間の段階も存在する。落葉も今まで緑色をしていた葉が急に落ちるのではなく、徐々に縁のあたりが茶色くなったり、斑点が大きくなっていって茶色くなり、そして葉を落とす。

1000m付近の樹木
1000m付近の樹木

とはいえ、普段そういう途中経過を観察する場面は決して少なくない。この間も、続けて複数の方から下記のようなご質問を頂いたが、初めて育てる方にとっては驚くことなのだろう。

エルダーの葉が枯れていきます | ヘルプ・Q&A 

ボダイジュ
ボダイジュの葉も、落葉前はこのような感じ(当店圃場)

これも実際に育ててみなければわからないことだ。そういう意味でも植物を育ててみると発見が多く、観察力・想像力・推察力がついてくると思う。

さて、大山では更に高度を上げると植生が変わり、落葉樹の姿は減っていく。頂上付近になると、雪や寒さに耐えられるごく限られた灌木が主体となる。リアルタイムで植生の変化や草木が秋の初めの装いから、紅葉、冬にちかい姿に変わっていくのを見ることができる。植物を育てる人は登山することで、また一つ楽しみが増えるのではないだろうか。

サワフタギ
頂上付近のサワフタギ。ブルーの実が印象的

屋久島(だったかな?うろ覚え)では、亜熱帯から亜寒帯までの植生を体験出来るという。スタッフの一人はすでに訪れているが、自分もいつかは行ってみたいものだ。