この秋の蜂たち

気持ちの良い天気が続く。それでも、山陰の秋らしく、思わぬ通り雨があったりする。これから冬にむけてこのような天気が増えてくるだろう。

パープルメキシカンブッシュセイジ
鮮やかなパープルメキシカンブッシュセイジも目を楽しませてくれる

ハーブたちも、秋の装い。秋咲きのセイジ類は次々と花を咲かせている。

パイナップルセイジ
渇水で一度は株が枯れる直前だったパイナップルセイジもみごとに花を咲かせた

苗も今まで上に伸びていたものが、横に伸び始めた。

アップルミント
アップルミントは隣のポットにまで進出する勢い

少しでも日差しを受ける範囲を広げようとしている。小さい苗が季節を敏感に感じて姿を変えようとすることに感心するばかりだ。

オレガノ
オレガノも冬に備えた姿に

 

夏の盛りにちょっと無理をして剪定をしたラベンダーも順調に新しい葉を伸ばしつつあり、安心している。

グラッペンホールラベンダー
過酷な時期に剪定して少し心配だったがもう大丈夫

ところで今年は蜂の仲間を見ることがとても少ない。スズメバチもいないことはないのだが、相当少ない。いつもの年なら一日に一度ぐらいは「ブーン」という音で首をすくめることも多いので、ありがたいことではあるが。

アシナガバチに至っては、圃場のまわりじゅう探しても巣が見つかるだろうかというレベルだ。秋は知らないうちに大きな巣ができていて、しかも好戦的になっているので注意が必要な季節なのに。

もちろん、正確な原因は分からないが、例年をはるかに上回った夏の暑さが影響しているのではないかと思っている。

これもまた、推測に過ぎないのだが、アシナガバチがいないせいか、妙に今年は毛虫・芋虫の仲間を目にする。

ナシケンモン特に目立つのがこのナシケンモン(たぶん)。ミントを始め、レモンバーム、ラベンダーなど、いろいろな苗をかじっている。

ナシケンモン
ラベンダーもバリバリ

毒はないようなので心配する必要はないとはいえ、クリーニングしていて突然見つけるとさすがに少しビックリさせられる。

アゲハの幼虫
アゲハの幼虫も多い。ルーもあっという間にかじられてしまいそうだ

アゲハの幼虫もアシナガバチのターゲットかどうかは知らないが、やはり目立つ気がする。

今のところ、困るほどの被害はないが、他にも影響がないかどうかだけが心配だ。

成長過程

個人的な話だが、今年の夏は、昔の友人や知人とよく顔をあわせる機会があった。昔と変わらない友人や、成長して全く印象が変わった後輩など、様々だった。

小さい頃と大きくなってからではずいぶん印象が変わる人も決して少なくない。あってしばらくは同一人物とは思えないような変わりようの人もいたりする。

これはハーブにも当てはまる。いつも見ていれば「そんなもんだ」という程度だが、一年に一度か二度、限られた季節に育て始めるような種類だと、ときに思っても見ない姿を見せて当惑させられることもある。

マレインはそれほどメジャーと言えるハーブではないし、希望される方もそれほど多くないので、一年に一度育てるか育てないかのことが多い。

大抵そういうハーブは春に育てることが多いのだが、今年は問い合わせもあったりして夏前に種をまいて育て始めた。今月初めにはそこそこ大きくなって発売できるぐらいに育ったのだが、普段見ているマレインの苗とはずいぶん様子が違う。

マレイン・・・だよね!?

春から育て始めると、もっと葉が厚ぼったく、クリームイエローという感じの葉になるのだが、妙にグリーンが強く平べったい。また、ふわふわとした綿毛があるようなないような・・・。

マレインの仲間は他にもずいぶんたくさんあるので、もしかしたら種子が間違って入っていたのかも・・・という不安も頭をよぎる。この頃はさすがに少なくなったが、20年前ぐらいは海外の種子は特に全然違うものがやってくることも希ではなかった。

せっかく大きく育ったのに、発売しようかどうしようか、迷っていた頃、ようやく中心の新芽に、見慣れたふわふわの葉が出てくるようになった。

大丈夫、間違いなし!

おそらく、これまでの暑さから急に涼しくなってきたことや株の成熟度も関係しているに違いない。また、春の育苗だと、成長が速い上、なかなか成長過程をつぶさに見る余裕もないからかもしれない。

いずれにせよ、何ケースもあるのに何かわからぬまま育て続けたり、泣く泣く処分ということにならなくてよかった。

ドキドキしてスタートしたこの秋だった。

バケツと剪定作業

猛烈な夏の暑さもさすがに今年は終わり、ビニールハウスの中の作業もずいぶん楽になってきた。連日雨が続いたここしばらくだったが、今日は太陽がまぶしい。すぐには秋にならないぞと、残暑も最後の粘りといったところだろうか。

夏のあいだ、ついつい後回しにしていた作業も今日ぐらいの気温だと気持ちよく向かうことができる。

夏でも、ポット苗も暑さに強い種類はどんどん伸びる。一方、蒸れに耐えるため、株の下の方の葉を落としていく種類もある。

伸びた枝や葉を剪定したり、傷んだり枯れたりした葉を取り除いていく作業。それなりに手間がかかる。

とはいえ、ハサミと、剪定した枝や葉を集めておくバケツでもあればできる作業なので、とりかかりはすぐだ。

圃場ではバケツの出番は多い。水を汲むことや土を入れたり、今回のように枝や葉を集めたり。ツールを入れたり・・・といくつあっても重宝する。この頃は主に柔らかなプラスチックのバケツを使うことが多い。数えたことはないが、小さいのも含めると10以上あるのではないだろうか。

今日はショッキングピンクのバケツが近くにあったのでこれを使うことに。スタッフが家で使おうと買ったのだが、結局使わなくなったものを「ハウス用に」と持ってきたものである。

バケツ

ところが、作業を始めてしばらくすると、妙な違和感が。目がクラクラしてくるのだ。もちろん熱中症を心配するような気温ではない。

葉を剪定して落とすため、バケツの上に苗を持ってきての剪定作業、葉のグリーンのバックにあるのがショッキングピンクのバケツ。コントラストが強すぎて目に負担をかけているのだろうか。久しぶりの強い太陽の光がなおさらそう感じさせているのかもしれない。

作業に大きな影響があるほどではないのでそのまま続行したのだが、目の不快感は続いた。

気持ちよく作業するにはどんな色のバケツがいいのか・・・。グリーン?白?思い切って黒?やはりアースカラーの茶色系?そうなると、バケツよりも竹の笊などの方がいいのか?そんなことをぼんやりと考えながら手を動かす単純作業。これはこれで悪くない時間だったりする。

台風の後始末

台風21号。ここ数年では最も勢力が強いとのことで接近前から心配も大きかった。先日の台風20号と似たような進路で近づいてくる模様。

おそらく風の強さは違えども、吹き方は似ているのではないかと考えていたが、やはりそのようになった。

雨こそしっかり降ったが、風は暴風域から外れていたこともあって最接近時も怖さを覚えるほどには至らず。前日にしっかり締め切ったビニールハウスだったが例によってしっかり対策した時は案外拍子抜けするような結果になるものだ。もちろん、災害にあわなかったことを喜ばなければならないのだが。

全閉のビニールハウス
台風対策で締め切ったビニールハウス

台風が通り過ぎた翌朝、早朝からとにかく締め切ったビニールハウスを開ける作業に追われる。真夏ほどではないにせよ、朝日が差してくると一気にハウス内の気温は上がる。

特に今年は暑さ対策で妻部分を解放仕様に改造してしまったので、今までのように入り口を開放し、サイドをくるくると巻き上げ、天窓をカラカラと上げるだけでなく、妻部分のビニールもたたんで開かねばならないから一仕事だ。ただ、まだ昨夜の雨でしっとりと濡れているから、たたむ部分はしばらくこのままで干してから作業に取り掛かる。

雨で濡れたビニール

ハウスの中は、まだ日が差していないのに、じっとりと重い空気でむわっとした感じだ。急いで開けられるところから開けていく。

それでも今年の猛暑もビニールハウスをこのスーパー夏仕様にしたおかげか、暑さに弱い種類もそれほど被害を受けた感が少ない。ラベンダーなど、むしろ昨年辺りよりもいい感じで育っているようにも思える。これが例年程度の暑さだったらもっと良かったかも・・・と思うのは欲張りすぎだろうか。

全開のビニールハウス
再び全開。夏仕様のビニールハウス

10時まえにはすっかりビニールも乾き、妻部分も全開放に。通り抜ける風が心地良い。きっと苗たちも気持ちよく感じているのではないか。

酷暑下のラベンダー

酷暑と台風、豪雨災害が目立つこの夏だが、ここ松江は、梅雨明け以来非常に雨が少ない。あれほど台風が通過してもほとんど雨が降らない。一時的に道路が湿るぐらいだ。

道端のよもぎなどの雑草までもが雨を待ちわびている顔つきでしんなりしている。

例年の夏ならば暑さよりも蒸れやゲリラ豪雨の泥はねで傷むラベンダーだが、今年ばかりは極端な乾燥が堪えている感じもする。

暑さに強いラバンディン系のなかでも、特に強い部類に属するグラッペンホールラベンダーまでが調子を崩している。夏の半ばぐらいから様子がおかしかったが、一部が完全に枯れてしまったので、メンテナンスを行うことにした。

ラベンダーも時々このように全体でなく一部が枯れ始めることはよくある。

「病気ではないですか?」

と心配して相談が来ることも多いが、大抵は枯れ始めた枝が属する幹や更に先の根にトラブルがあることが多い。

この株の場合も、枝が交差しているので分かりにくいがたどってみると一つの太い幹に行き着く。

枯れている枝を辿るとひとつの幹に

幹にはかじられたりしたような跡もないので、おそらくその先の根が食害されたり、モグラなどに持ち上げられてしまったか、そもそもだいぶ古い株なので、老化が原因なのかもしれない。

とりあえず、傷んだ枝を株元近くで剪定する。結局はノコギリでなければ切れなかった。根元をチェックするとやはりかなり傷んだ感じだ。

ラベンダーの株元

おそらく、ダメになった根以外も幾らかダメージがあると思われる。本当は涼しくなってからが良いのだが、思い切って古い枝を中心に強めの剪定を行う。幸い、新芽が出ているので大丈夫だろう。

新芽がしっかり出ているので心配なさそうだ
ずいぶん小さく剪定

結局ずいぶんコンパクトになってしまった。ここ数年、雪で避けた枝を取り除くぐらいしかしていなかったので、これぐらいの荒療治で良かったのかもしれない。

あとは雨が降って涼しくなるのを待つばかりである。