天気予報とにらめっこ

先日の台風10号が通り過ぎてからというもの、とんでもない暑さがようやく落ち着いたような気配。

8月のグロッソラベンダー
暖かいせいか、色も薄く、ちょっと冴えない感じ

なぜか、グロッソラベンダーの一株が急に2番花を咲かせ始めた。といっても花穂は数本。気まぐれに咲き始めたという感じ。

今日も1日曇り空。朝は少し強い雨が降る時間帯もあった。猛烈な暑さがなくなったのは助かるが、ここ数日は曇り空と雨降りの繰り返し。日差しもほとんど届かず、天気予報を見ても来週に入るまでは曇り空が続きそうな模様だ。

こうなると困るのが、強い日差し対策としてビニールハウスに張っている寒冷紗をどうするか。

寒冷紗
強い日差しを遮る寒冷紗も、曇天では無用の長物

すでに、ところどころ苗の徒長の兆しが見え始めている。

ローズマリーの徒長
ローズマリーもちょっと柔らかく伸び始めた感じ

曇り空が続くならば寒冷紗を外した方が良いのだが、まだ8月も1/3残っている。3年前など、9月9日にようやく外しているぐらいだ。

きっと、寒冷紗を外すとまた真夏のような日差しが戻ってきそうで踏ん切りがつかない。しばらくは天気予報とにらめっこすることになりそうだ。

夏を終わらせる作業

今年の夏も長かった・・・

ようやく秋の兆しが感じられるようになって心底ホッとしている。

一番好きな季節は?と、問われれば
「秋」
一番嫌いな季節は?と言われれば
「夏!!」
と答える私にとって、この季節ほど気持ちのアップダウンが激しい時期はない。

梅雨明けが夏の始まりであるように、「夏明け」とか、「秋入り」というのがあればいいのだが。きっと少しぐらい暑くても「秋入り」と聞いただけで気が楽になるに違いない。「立秋があるじゃない」と言われるかもしれないが、暦の上の立秋はまだ夏のピークだから秋の気配さえ感じられないし。

さて、仕事の上で夏の終わり、秋の始まりを区切る作業が寒冷紗外しである。

夏の間、強烈な日光を和らげ、乾燥や温度の上昇を防ぐためにビニールハウスには寒冷紗を張っている。この頃の強烈な夏は、寒冷紗なしなど考えにくいぐらいだ。
レモンバーム
寒冷紗を張っているので、葉が柔らかなレモンバームもこんな風に調子が良いが、きっと一日中真夏の太陽が照りつけていたら葉がチリヂリに焼けてしまって可愛そうな見た目になっっていたことだろう。

ただ、いつまでも張っていると、今度は必要な日光が遮られてしまうので、どこかで取り外さなくてはいけない。
ラベンダー
日光が好きなラベンダーは、すでにちょっと光が不足気味。柔らかく伸びてしまっていた。
ローズマリー
ローズマリーも同様。柔らかで明るい色の茎が伸びている。もうこれ以上日光を遮ると本当にダラダラになってしまうから、そろそろ限界である。

もちろん、寒冷紗を取り外す作業は年によってかなり前後する。古い日記を見ると、冷夏のときなど8月の終わりには取り外した年もある。一方でいつまでも暑さが続いて9月の終わりまでつけていたこともあった。

今週末からは曇り空が続き、30度を超える日ももうなさそうなので、今週から取り外し作業を開始。今年は、まずまず平均的な時期と言えそうだ。
寒冷紗外し
天気が良い日はさすがにビニールハウスの上部はとんでもない温度になって作業ができないから、曇りや雨の日、夕方を狙って取り外す。
寒冷紗外し
「パッカー」というプラスチック製のパーツで挟んで取り付けてあるだけなのでそんなに難しい作業ではないが、内張りにしてあるため、寒冷紗とビニールの間に虫の死骸などが結構残っている。時には針が残った鉢の死骸があったりするので注意も必要だ。
寒冷紗外し
それでも、来るべき夏に備えて寒冷紗を張る作業に比べると、外す作業は鼻歌交じりでルンルンだ。外した寒冷紗を畳んでしまう作業もなぜか全然苦にならない。寒冷紗が片付いたら、まだ蝉が鳴いていようが、私の中では夏は完全に終了。

また来年、これを取り付ける時期が来るかと思うと正直嫌なのだが、とあるスタッフ(彼も夏嫌いの秋好き)が言うには、
「つらい夏も、これが終わればしばらくやってこないと思えばいいじゃないですか」
とのこと。

「今、次の夏から一番遠いところにいるのだ」と考えましょうということ。
物は考えようである。

怪我の功名

10月である。一年で考えてみるともう10月という感じだが、この秋だけを考えてみると、まだ10月なんだという思いのほうが強い。

ここ数年の栽培記録を眺めてみても、今年の秋は早く訪れたということがよくわかる。

特に、ビニールハウスで、夏の日よけのためにかけている寒冷紗を外した時期が例年より格段に早かった。お彼岸ぐらいになってようやく外す年もあったのに、今年は8月の終わり頃から徐々に外していったほどだ。

毎年、寒冷紗を外すタイミングには結構頭を悩ませられる。寒冷紗を外した途端、暑さが戻ったり、つけたままでいるときにかぎって曇天の日が続いたりというジンクスに見舞われる。だが、今年はなんとかジンクスを避けることができたようだ。

ちなみに寒冷紗というのは、日光を遮るための薄い布(というか糸を荒く編んだもの・・といえばいいのかな)である。以前は綿や麻の糸でできていたが、この頃は光を反射して遮光性を高めた化学繊維で織られたフィルム状のものが多い。近年は家庭でも日よけネットとして使われているので見る機会も増えてきた。
寒冷紗
強い夏の日差しは小さい苗を育てるのには悩みの種である。理想を言えば、上に大きな落葉樹でもあって、夏は苗に優しい木漏れ日がさす・・・なんていう環境なら最高かもしれない。ところが、そう都合はよくないので、比較的簡単な対策としてビニールハウスに寒冷紗をかけて強烈な日光を遮るのだ。

以前のエントリー「寒冷紗」でも書いているように、寒冷紗は取り付けが結構面倒臭い。かつての苦い経験から、内側に張るようになったのだが、一番上の部分を取り付ける時など、ビニールハウス中の熱気が集中して曇りでも相当暑い。40メートルのビニールハウスに張ろうものなら、脚立の上り下りだけでも疲労困憊必至である。もちろん、外す時も。

外した後は、40メートル×7メートルものフィルムをたたむのがまた一苦労。ぐるぐるっとまとめておけば良いというものではない。次に取り付ける時のことを考えて広げやすいようにたたむ必要がある。

以前はビニールハウスのかまぼこ状の背を使って、片方からもう一方に引っ張りながら蛇腹状にたたんでいた。これも二人掛かりで何十分もかかる結構な作業だった。

ところが、数年前の大雪以降、雪害対策に内側に補強パイプが加わった。そのため、内側に張ることができなくなったのだ。
補強パイプ
頭を抱えてしまったが、補強パイプを使って貼らざるを得ないので、寒冷紗を切り分けて張ることにした。大きなフィルムを切るのはためらわれたのだが、切ってしまうなら、ついでに・・・と2、3メートル角に小さく切り離してしまった。

結果、ビニールハウスの必要なところだけに張ることができるようになった上、取り付け、取り外し、たたむことも一人でできるようになった。以前より低い位置なので、高い脚立に上がらなくても済む。

寒冷紗
小さいサイズだと部分的に日陰が作れるようになった

それまでは、スタッフや仕事の都合が良く、天気が良い時を見計らって「せーの」で作業しないといけなかった。今ではちょっとした時間の隙間があれば、ひとりで、一部分だけでも片付けを進めることができるようになった。天気も関係ない。

寒冷紗
このサイズなら一人でも畳める

止むを得ず行ったことではあったが、いまとなっては怪我の功名かもと思っている。

寒冷紗

日差しが強い時期、ビニールハウスでは遮光シート(寒冷紗)を張る。植物のためには早くとも梅雨が明けてから張るのが例年の習わし。まだまだ先である。

それに先駆け、か弱い我々用の遮光シートを作業スペースの上に張った。ごく薄い一枚のシートとはいえ、有ると無いとでは暑さがものすごく違う。「木漏れ日の下」と言うほどの風情はないにせよ、今から秋初めまではこれなしではやっていけないほど重宝している。

寒冷紗

非常に優れ物のこのシート、遮光率もいろいろラインナップされており、用途によって使い分ける。種を発芽させたり、挿し木を管理するビニールハウスでは年中軽く遮光されるタイプで覆って乾燥を防ぐ。遮光度合いの高いタイプは真夏、ポット上げしたばかりの苗を育てるビニールハウスで短期的に使う。同じ時期、大きな株のハウスでは薄い遮光シートである。

薄くて軽く、小さく畳めるのでパーソナルな園芸でも活用の場は多いと思う。

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