来なかった夏

まだ暑さは残るものの、朝夕は涼しく、午前中も早いうちはとても作業がしやすくなってきた。結局今年は冷水のシャワーを浴びることなく秋を迎えることになりそうだ。

毎年、梅雨が上がり、強烈な日差しが肌を焼くようになると、冷たいシャワーの方がが気持ち良く感じるようになる。その日を持って、「夏の到来」ということにしているのだ。

ということは、今年は私に夏は到来しなかったと言うことになる。

圃場でも毎年掛ける寒冷紗も出番が来ることなく9月になってしまった。例年なら寒冷紗を掛けても葉焼けでチリチリになるような種類も今年は御機嫌だ。

新芽の縁が茶色く焼けてしまうパイナップルミントやしなしなになりがちな斑入りのラングウォートなども比較的元気。また、ゴールデン葉のものも今年は楽な夏だった感じがする。

ジャスミン・フィオナサンライズ

ジャスミン・フィオナサンライズもそのひとつ。柔らかく、しっとりした葉を広げて秋の空気を喜んでいるかのようだ。去年は暑さで斑点状に焼けてしまった葉が痛々しかったのに。

でも、私も含め、油断していると来年しっぺ返しが来るかも知れない。ゆめゆめ油断せぬように。

ケンブリッジの緋色

少々乱暴な言い方になるが、ベルガモットの種子を蒔いて望んだような色が出たことが無い。まあ、メーカーの品質にも問題があったのだろう。

特に、15年前ぐらいに蒔いたレッドベルガモットの種子はひどかった。発芽率が悪かった上に、ほとんどがピンク。ため息が漏れたことを今でも覚えている。

これも10年ぐらい前にイギリスの種子メーカーから購入したケンブリッジスカーレットベルガモットの種子も同様、ピンクしか出なかった。以来、探し続けていたこの種類もようやく苗で入手。ようやく開花も確かめ、繁殖できるようになった。

それでも本当に鮮やかなレッドを目に出来るのか開花するまでは疑心暗鬼だった。少し希望が見えたのが、茎の先端付近の葉がやや赤みを帯びてきた頃である。赤の色素をたっぷり体の中に蓄えている様子がうかがえた。

moncambrid0909011

開花が始まる頃には包葉は深い赤みを帯びるようになる。その包葉をバックに目にも鮮やかな緋色が現れた時には正直ホッとした。

ケンブリッジスカーレットベルガモット

この美しい色も私のデジカメでは充分に伝えきれないのがなんとももどかしい限りである。

萼を楽しむ

観賞用として楽しめる花が多いサルビア、およびセイジの仲間。観賞用として楽しみが多い種類である。そう言った花は、なるべく開花期間が長い、花もちが良いものが有りがたい。

コモンセイジも、一般には料理用、薬用としての側面がクローズアップされることが多いが、花もなかなか見事である。だが、残念ながら花が終ってしまったあとの花穂は寂しい限りだ。

その点、萼も色づく種類はお得である。写真のカナリーアイランドセイジは、花も大きめではあるが、むしろ花が落ちた後、鮮やかなピンクパープルの萼がいつまでも目を楽しませてくれる。綿毛に覆われた枝や葉とのコントラストもなかなか良いものだ。

※半日陰でちょっと花、萼の色とも薄めです。
※半日陰でちょっと花、萼の色とも薄めです。

他にもクラリーセイジの萼は特に見事だし、マウンテンセイジも色づく萼があってこそ大きい花がより引き立つように思う。

メキシカンブッシュセイジなど、萼がなかったらひどく間の抜けた様子になってしまうんじゃないだろうか・・・・

蝶に惑わされた話

蝶が目につく日が続く。いや、今日の場合は目を奪われたと言うのが正しい。普段蝶が飛んでいてもそれほど気にかけることもないのだが、今日ばかりは違った。

どこからかビニールハウスに入って来た一匹の蝶。ゆったりと、優雅に羽を動かす姿、その色にハッとさせられた。特に言葉では言い表せない羽根の色、いつの間にか作業をするのも忘れ、蝶を追っていた。

そうそう、写真、写真。と、どこかへ行ってしまうのを心配しながらもデジカメを取りに戻った。幸い、まだその当たりにいて休憩中の御様子。脅かさないよう、そっと近づき、まずは一枚。

カラスアゲハ?しばらくしてまたふわりと飛びはじめたが、すぐにローズマリーの鉢に止まった。羽を傷めているようである。それで飛び方もゆっくりだったのだろうか。もうこれ以上追い回すのをやめた。
カラスアゲハ?
こんなとき、蝶の種類を知らない人(私)は、「もしかして新種?」なんてドキドキしてしまうものだ。今回も事務所に戻って調べたらカラスアゲハかその仲間のようであった。ミヤマカラスアゲハと言うのにも似ているが、よくわからなかった。それほど珍しくないようでちょっとがっかり。

いわゆる蝶に惑わされたと言う話。ま、夜の蝶でなくて良かった。

ヤマトシジミ

お盆ごろから、ひらひらとハウスの中に迷い込んでくる小さな蝶や蛾が目立つようになる。可愛らしいチョウの仲間や、小さな蛾の仲間も多い。

小さいので油断していると、マロウの仲間やタイムの葉に卵を産み付ける種類もいるようで、あっという間に葉が食い跡だらけになってしまう。幼虫を見つけるのはそれほど難しくないのだが、捕まえようとするとピュッと逃げられたりして悔しい思いをさせられる。

いったん食い荒らされた葉は元に戻らないので、苗なら切り戻さなくてはならず、チト迷惑なやつらである。

ヤマトシジミ?かな
ヤマトシジミ?かな

今日はペレニアルフラックスの葉先で一休みしている一匹を見つけた。そよ風が吹いても揺れてしまう繊細な葉の上でもちょこんと止まれる小さなサイズ。この方はヤマトシジミかな?同じ名前でも、どちらかと言えば味噌汁にできる貝のヤマトシジミのほうが有りがたいんだけど。