移植

圃場のビニールハウスの横、普段何も使っていないところにボリジが生えるようになって数年、今年もこぼれ種で次の株ができはじめている。

ボリジ

ミツバチをよく呼び寄せてくれるので果樹などもある畑のほうに常駐してくれればいいのに、なぜかこの場所がお気に入りのようだ。風当たりは強いし、石も混じる全く手入れもしていない荒れ地である。

一般に移植を嫌うと言われるボリジでも、まだ本葉がでたてぐらいだと移植しても活着しやすい。上の写真のようになってくると徐々に難しくなり、冬を越して株が大きくなるとまず移植はしない方が安全だ。

新芽を見つけた先月ぐらいから気になっていたが、なにかと忙しくてつい後回しにしていた。ようやく今日、とりかかる機会が到来したのである。

ボリジ

もう小さい株が少なくなっていたが、それでも雑草に隠れて程々のサイズのものが見つかった。掘り出しはそれほど難しくは無い。ただ、根の上の白い部分は柔らかく、丁寧に掘り上げないとポキンと折れてしまい、そこから腐ってしまう。少しだけ慎重になる。

こぼれ種でこの場所にも100株以上あると思う。それほど良く増えてくれるのに畑のほうはさっぱり。カモミールと同様、ボリジも育つところには雑草のごとくよく増えるがちょっとお気に召さないとなかなか増えない。お客様からの話などを総合すると、カモミールはやや砂質でさらっとした場所がお気に入り、ボリジは、良く耕した畑のようなもっと細かい泥のところで良く増えるようだ。うちの畑は条件は悪くないと思うのに、こちらの思い通りにはなってくれないものだ。

思いきって

剪定はハーブを育てる時に避けては通れない作業。ところが慣れるまではなかなか大胆にできないものである。何年か育てていれば、ここまでは剪定できる、これ以上切ると危ない、と言う勘所がつかめてくるので徐々に思いきって剪定をすることができるようになる。

それでも、お客様の庭で株を剪定するのはそれなりに気を使う。

宿根ネメシア 剪定前

これは春先に植えた宿根ネメシア。花もそこそこ咲いていて、一見調子良さそうに見える。でも、株元がだいぶ木質化してきて葉も落ちている。葉も黄色味がかかってきているので、ここはある程度枝や葉を更新してやる方が良さそうである。第一、このまま伸ばしていては冬、雪でも降ろうものならべたーんと潰れ、見栄えも悪くなってしまう。

宿根ネメシア 剪定後

ネメシアは見た目よりはずいぶん剪定に強い。せっかく花が咲いていて、株にもお客様にも申し訳ないところだが、今後のことを考えてばっさりと剪定してしまった。まあ、おそらく大丈夫だろう。

今気になっているのは同じ庭にあるハイブリッドティーのローズ。何年もほったらかしになっていてひどい枝ぶりなのだ。昨年から手を入れはじめ、コンディションも良くなってきたので、剪定はこの冬が勝負だと思っている。セオリー通りすれば問題ないとは言え、さすがに今回のように気楽にはできないだろう。

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ひとりぼっちが好き

似たような種類でも、植物には色々な性格がある。秋咲きのセイジと言っても、実に様々だ。秋に咲くブルー系の大形セイジと言えば、かつての代表格はラベンダーセイジだった。初めて見たのはどれほど前だったろうか、秋風にそよぐ見事な花穂に感心した。

ところが、育ててみると案外うまく行かない。最初は大事に鉢で育ててみたところ、ひょろひょろと細めの茎で花穂のボリュームもお話にならない。そこで地植えにもチャレンジ。このときも、植え時が遅かったのか、株が充実せず、のびた茎もいまいち勢いに欠けた。開花しても頭を垂れたような姿だった。

そのうち分かってきたのが、前年から株を充実させ、春からしっかり成育させること、できれば数株まとめて植えたり、他の植物の間などに植え込み支えてもらうようにすればうまく行くと言うことだ。残念ながら一株だけで育てようとすると大株になるまでは倒れたりしやすい。

近年出回るようになってきたのがアンソニーパーカーセイジである。花はラベンダーセイジと良く感じが似ているが、パイナップルセイジメキシカンブッシュセイジの血が入っているようで育ち方はだいぶ違う。ラベンダーセイジと同じく、春先に株元まで切り戻して形を整えるが、その後ギュッギュッとつまった感じで株が育っていく。一株でもしっかり自立して、倒れるような心配はまず無い。むしろ周りに他の植物があると返ってその良さが発揮しにくいように思う。ひとりぼっちが好きなのである。

アンソニーパーカーセイジ

写真のアンソニーパーカーセイジ(実は2株)、市内の幼稚園に有る株だが、ほかの花たちとは少し離れて存在感を際立てて咲いている。これももちろん春、地際まで刈り込んだ。その後全く剪定無しで現在このような姿。手のかからないヤツである。

秋の風物詩

もうすっかり秋の風物詩のひとつになってしまった感もあるセイタカアワダチソウ。圃場でも勢力を伸ばしつつある。

まだ隣りの荒れ地に繁茂していた頃は種子で飛んでくるのだろうと安易に考えていた。。ところが、あるとき隣地と接したところの花壇の手入をしていてあまり見たことの無い強力そうな地下茎が伸びてきていて驚いた。辿ってみると隣のセイタカアワダチソウから伸びていた。しかも1メートル近くも地中を這って侵入を試みていたのである。この時初めてセイタカアワダチソウの恐ろしさを感じた。

セイタカアワダチソウ

上の写真も、セイタカアワダチソウが生えているところは、圃場を整備した時に出てきた大小の石を積んでいたところである。草など生えないだろうとほったらかしにしていたが、最初にミント、そして今年はセイタカアワダチソウが占拠してしまった。

少しまえ、セイタカアワダチソウを使って炭を作ると言うようなニュースを聞いたことがある。今は強力な雑草として嫌われ者のこの帰化植物。この繁茂力をどうにか活かせないだろうかと時々考えてしまう。強力なアレロパシー物質を出すと言うので、他の生物にインパクトの少ない除草剤とか・・・既に研究されているのだろうが、我々一般人でも簡単に活用できる方法でもあれば見方もずいぶん変わるだろうに。

花と耐寒性

冬を前にして、早く花を咲かせておこうと、秋咲きのハーブたちが次々と花を咲かせるようになった。

とはいえ、中にはあまり咲いて欲しくない種類もある。耐寒性があまり高くない種類は花を咲かせてエネルギーを消費するのか冬越しの成績が下がってしまうようだ。

松江では、耐寒性と冬の寒さがぎりぎりのラインにあると思われるステビアがそれに当たる。大きくした鉢植えや、地植えでも大株になり、株元にしっかりマルチなどの防寒をすれば大丈夫なのだが、今年の夏ポット上げしたような苗は危ない。冬と言ってもとりわけ加温することもないので年によってはかなり冬越しできない株が出てくる。

ところが、秋に花を咲かせないと、葉を残したままで案外持ってくれるのだ。そのかわり、秋遅く(つまり今の時期)、次々と花芽が上がってくるのを剪定して開花を阻止してやらなければならない。これが案外面倒でつい怠けてしまって花を咲かせてしまいがちである。

ステビア
ただ、一つ有り難いのはステビアの花はそれほどパッとしないので、「せっかく花が咲いているのに・・・もう少し咲かせよう」なんていう気が起こらないことである。