初冬の霧

今朝は風もなく濃い霧が立ちこめる朝だった。

車で走っていても回りの風景や家々がふわっと姿を表してくる。通り慣れた道なのに、別の場所へ迷い込んだかのような感じもちょっとあって楽しい。(対向車や自転車も突然現れるのであまり油断はできないけれどね。)
霧の裏山

圃場の裏山もトーンに乏しい。落葉したギンヨウボダイジュが秋の終わりをいやが上にも感じさせる。来春、また可愛らしい新芽を見せてくれる日を心待ちにしよう。

パープルメキシカンブッシュセイジ

パープルメキシカンブッシュセイジも小さな水の粒をまとい、今朝は重そうに見える。萼の色合いが目立つが、花はだいぶ落ちて地面に彩りを添えている。思えば今年はたくさん咲いてくれたのに、切り花で飾ることが少なかった。もっとたくさんの人に見てもらえば良かったね。

結局今日は、霧が晴れても青空を拝むことはできなかった。

軍手

基本的に土をいじる時は素手が気持ち良い。第一、細かい感触が分かりやすく、丁寧な仕事ができる。

まだ、この仕事につく前、趣味で園芸をしていたころは非常に手が荒れた。ところが、化学肥料を使うのをやめ、微生物肥料を使った土を使うようになってから手の荒れがぴたりとおさまった。園芸をしている者としてはどちらかと言えばきれいな手の部類かも知れない。

残念ながら、日々の仕事は柔らかな草花や培養土ばかりを相手にするわけではない。ビニールハウスの鉄パイプや金具、時には電動工具なども使う場面も少なからずある。そんな時は手袋の登場である。

時と場合に応じて革手袋やビニールの手袋も使い分けるのだが、やはり一番使う機会が多いのが軍手だろう。この頃は粗品でもらったり、何かについてきたりするのであまり自分で買うことは少ない。だが、いざ買う時にはしっかりしたものを買うようにしている。

軍手を使い捨てにしている人をけっこう見かけるが、洗えば何度も繰り返し使える。でも、粗品の軍手や、安物だと一度洗うと縮んでしまって手首まで届かなくなったり、手首のところがビヨーンと伸びてしまうことも多い。ところが綿100 の軍手などは一度洗ってからの方が手にしっくり来て感触も気持ち良い。

軍手

今日は洗濯した軍手を圃場に持ってきた。色々なタイプの軍手が集まってしまったので、使うとき選ぶのが大変だ。でも、靴下と違い、揃いでなくてもそれほど気にならないのは有り難いところである。

アキギリの口惜しさ

世界中に分布するセイジ・サルビアの仲間、当然日本原産のものもある。日本原産と言えばたいてい育てやすいだろうと思えるのに、このアキギリにはそれなりに注意が必要で毎年なんらかの失敗をしてしまう。

一般的なハーブとしてしられているサルビア属、普段育てている種類の多くは日なたと乾燥が大好きである。ところが、アキギリはあまり日が強く、乾燥しているとすぐに葉の縁がチリヂリに焼けてしまう。店頭に出していたりすると、他のハーブと同じような水やりになってしまい、花が咲きはじめるころには葉があまりにみすぼらしくなってしまい、手に取ってもらえないことも多い。

庭植えにする時も、夏は要注意。日陰の涼しそうなところでも、水が切れてしまうと葉があっという間に茶色になる。以前、とある公共施設のグリーンのコーディネイトをしていたことがある。その時にも日陰の部分にぴったりと思い、アキギリを使ってみた。最初は大変好調に育ち、花まで後一歩と言うところで水切れで台なしに。いまでも悔やむ思い出である。

アキギリ
写真は、たまたまうまく花を咲かせた一株。場所にぴったり合えばこれぐらいいくらでも咲くポテンシャルを持っているはずなのに、使う側の力が足りないせいで実力が発揮できないでいるアキギリ。口惜しがっているかも知れない。

春に向けて

冬を前にしたアカシアを見ると毎年のように感心させられる。しっかりと硬いつぼみを結び、来るべき春に備えている。そして、必ず春はやってくるという希望を私たちに与えているように思う。

サンカクバアカシア

こちらはあるお客様のお庭のサンカクバアカシアの蕾。今年は例年になくしっかりした蕾ができているように思える。蕾はかなり早くから形成されるようで、夏以降の剪定は危ない。ボーダーラインは見極めていないけれど、花が終ったら早めに形を整えるように剪定すると安心である。

ここ山陰では、アカシアの越冬はほぼ大丈夫のようだが、むしろ強風や雪による枝折れ、夏は台風の際など根の持ち上がりに気を付けないといけない。この株も何度も枝が折れてしまったので今年は早めに対策を施す予定である。すてきな春が迎えられるように。

無関心同士のおつきあい

普段あまり縁が無い動物に鳥の仲間がいる。お互いにあまり干渉しない間柄であるし、まれに野菜が被害にあうことはあっても、ハーブにはあまり興味がないのか困らせるようなことはほとんどない。

ところで、スタッフの一人はかつて一つがいのインコを何十匹にも増やしたことがある経験を持ち、結構鳥の気持ちが分かるようだ。ある時は、ビニールハウスの中に迷い込んできた雀を見て、
「仲間を呼んでいる。ほら、外からも仲間の声が聞こえる」
というので耳を澄ましてみると確かにお互いに呼び合っていたりする。こちらは感心するばかりである。

時々ハウスの周りに姿を見せるアオサギ?も何を考えているのか分からない代表みたいなヤツである。

アオサギ?

ふと気がつくとすぐ近くの道路にたたずんでいたりしてこちらがびっくりさせられることがあるぐらいだ。動作も緩慢で警戒心が薄いのか車で近づいてもなかなか逃げようとしない。この一羽も何を探しているのか。見つめる先は土手の草地である。

案外無関心を装っているだけなのかも知れない。だからこちらも無関心を装って今後も付き合っていこうと思う。