カマキリ並

水やりをしていると、足元で何か動くものがいる。目を向けるとカマキリがしきりにホースに向かって格闘している。猫がネコジャラシにじゃれつく姿にも似ていた。

ホースに立ち向かうカマキリ
ホースの所に小さな虫でもいるのかと顔を近づけてみるが何もいない。相手は紛れも無くホース。カマを繰り返し突き立てている。ついにこの暑さでカマキリもおかしくなってしまったのか・・・。かわいそうに。

さて、圃場からの帰り道、2車線道路が工事で1車線になるところがある。後ろから猛烈な勢いで迫ってきた車がいた。とても割り込みなんて無理だろうと思っていたら、何とそのまま突っ込んできた。一瞬、ぶつかったと観念したぐらいだった。

まさに危機一髪。追いかける気にもならなかった(そもそも追いかけられるような車ではない)。きっと暑さでおかしくなってしまったのだろう。カマキリ並なのだな、かわいそうに。と思って自分を納得させた。

いや、カマキリに失礼か・・・。

インドより暑い

台風が向かってきそうなのでビニールハウスの補強をする。ゴールデンウイーク開けからToDoとして設定してあったのに相変わらず尻に火がついてからの対応だ。

それにしても暑い。台風へ吹き込む南からの風は熱風である。そもそも今年の夏はスタートから半端ではない暑さだ。7月の終わりにカンボジアに行ったスタッフは、戻ってから「日本の方がはるかに暑い」と嘆いていた。

さて、サルビアの中では少数派の黄色の花を咲かせるサルビア・ヌビコラ。どうやらオリジナルになった株はガンガー(ガンジス川)のほとりで採取された種子だと言う。

サルビア・ヌビコラ

暑いインドを離れ今や遥か遠い日本にやって来て今開花しているが、きっと、「こんなはずじゃなかった」と嘆いているに違いない。

剪定と研ぎ

梅雨が明けると、苗の剪定作業が増える。高い温度に加え、水が切れないよう、充分な水やりをするので枝と葉がぐんぐん伸びる。形も悪くなるうえに、葉が多いと余計に水が切れやすくなる。そのため、適度に剪定が必要だ。

苗の柔らかな枝と言っても、大量に剪定しているとハサミの切れが悪くなってくる。切れが鈍ると、柔らかい枝がむしろうまく切れない。研ぎが必要になってくる。

本気で刃を研ぐのなら砥石の出番だ。でも、砥石を使うと、それ相応の時間もかかる。また、携帯用シャープナーと言う手もある。これも、普段はツールボックスの底にあり、さっと取り出してと言う感じでは無い。

そんな時、活躍してくれるのが、圃場の片隅にあるトクサだ。ケイ酸を含み、木工品のヤスリがけなどにも使うと言う。苗の剪定でハサミの切れ味を鈍くする原因はほとんどがヤニ。だから、トクサで軽くこすってやると簡単に取れる。使い終ったら、苗の剪定屑と一緒に処分できる。片付けの必要もないのが嬉しい。

トクサ

このトクサ、お客様の庭の整備をしていた時、あまりに広がりすぎて片付けて欲しいとのことで引っこ抜いた。また何かに使うかもと持ち帰って植えていたのが今になって重宝し出した。ただ、場所によってはものすごく増えるので、鉢植えの身である。

水切れの後

圃場では苗の水管理がシビアになってきた。水をやりすぎれば徒長してしまうし、かといって今の気温での水切れは致命的だ。

油断していたらホワイトヘリオトロープの親木が水切れしてしまった。株がダウンするほどではなかったものの、ヘリオトロープの場合、葉への影響は大きい。他のシーズンなら葉が黒く縮れるぐらいで済むけれど、暑い時期は新芽へのダメージが大きく、新芽まで縮こまってしまう。気温が高いのは好きなくせに、妙にデリケートだ。

ホワイトヘリオトロープ

こうなるといくら水をやっても無駄。差し芽にも使えないので一度強く刈り込んで木質化した場所からの新芽をのばす必要がある。

まだ暑さは当分衰えそうにない。大きくなりすぎた親木は剪定して水切れのリスクを減らす対策をそろそろはじめねば。

緑のパラボラアンテナ

葉の形状の一つでツキヌキ葉というものがある。普通は葉の一番根元(葉なのに根と言うのは変か?)が茎から離れていることが多いが、この部分が向かいの葉とくっついて一枚の葉のように見えるものだ。そのため、茎が葉の中を突き抜く形になる。このロニセラ・ドロップモアスカーレットもその一つ。他には、ユーカリにもツキヌキ葉があったりする。

ロニセラ・ドロップモアスカーレット

花のすぐ下が特にツキヌキ葉になりやすく、花が落ちた後はまるでパラボラアンテナのようだ。空に顔を向けて宇宙からのメッセージでも受け取っているかのようである。

中高生の頃は、宇宙にも憧れた時期があったが、結局遠い夢に終った。ま、そもそも天体望遠鏡でも頑張って手に入れるような強い気持ちが無かったのだからお話にならないけどね。今でも縁が無いのか、衛星放送用のパラボラアンテナも買えていなかったりする