ニオイゼラニウムと言えば、「色々な香りが楽しめる」というハーブの中でもとりわけバラエティに富んだ一群である。花の香り、柑橘の香り、ナッツの香りなどなど、とても楽しい。寒ささえ少し気をつければ(この辺りでは)育てるのもそれほど難しくは無いし、栽培はたやすい方だろう。
ハーブを育て始めた頃手に入れたペパーミントゼラニウムは特にお気に入りだった。ベルベットのような葉は、見た目にも、触ってもまた良い感じだし、ニオイゼラニウムらしからぬ爽やかな香りがするのも良い。花は控えめな方だったが、いかにもと言う感じで大きな花を咲かせるのでは無いのがまた良かったのである。
ただ一つ不満は、当時、株を上手に増やせなかったことであった。育てたことがある方は分かると思うが、他のゼラニウムに比べると枝が太く挿し穂の数が確保しにくい。節間も大きかったり、極端に短かったりして挿し木がしにくいことこの上ない。まあ、今から考えると小さな鉢で育てていたので株が小さすぎたのである。ある時など挿し穂をとりすぎた親木がダウンして途方に暮れたこともあった。
現在圃場にあるのはひとりでは持ち運べないぐらいの大きな鉢で一株。普段は店頭を飾る鉢の一つである。ちょっと剪定すれば、当分必要が無いぐらいの挿し穂がとれる。
現在は昨年の葉が枯れ落ち始めて、みすぼらしい状態である。また、一年間ほったらかしなので、葉も小さくなってしまった。ペパーミントゼラニウムは柔らかくて大きな葉を優雅に繁らせるのが一番の魅力。もう少し暖かくなったらばっさり刈り込んで少し植え替えてやる予定である。なお、このゼラニウムは半日陰のほうが葉のサイズ、手触りともに良好になる。店先の少し奥まったところがベストポジションなのである。また今年も初夏になれば指定席にお戻りになるだろう。