山陰の冬は灰色が支配する。もう少し降雪が多い地方なら白が支配するところだろうが、松江の近辺では積雪しても長く残る事は少なくなった。空は灰色、海も灰色、田畑もグレーが目立つ。
白に支配される冬も相当辛いだろうが、灰色に支配されるのもまた強い精神力が試される。
そんな中で明るい色の存在は貴重である。無加温とはいえ、そこはビニールハウスの中、例年なら年が明けてからでないと開花しないスイートワットルが一輪咲いて、ほのかな香りとともに周囲を明るくしている。
気温が低いので、香りもそれほど強くは無いが、他の香りが少ない中、僅かの香りでも、近くを通ると甘く感じる。重く沈んだ気分を少しでも照らしてくれるグレーの中の貴重な星のような存在である。
松江なら地植えもおそらくできるはずなのだが、今まで2度ほど失敗していて、その後試す気にはならず、この株は鉢植えである。
鉢植えといっても、そこはアカシア。既に背丈ぐらいの株で少々邪魔になりつつある。その上トゲもあったりするので、時々引っ掛かる。三度目の正直で春になったら地植えしてみようか・・・。冬の星も見納めかも知れない。