気楽ではいられない

秋から冬のはじめの季節は一年のうちでも最も気楽な季節だ。

植物の成長も徐々に穏やかになってくるし、害虫の活動も目立たず、病気も少ない。雪が降るまでは天気の心配もそれほどない。そのため、ちょっと気が抜けるシーズンでもある。

少し前はそうだったのだが、ここ数年、もちろん今年も暖かい分、害虫の活動が収まらない。

今日も苗のチェックをしていたらドッグローズの葉に大きな穴が。食べ方を見れば大体予想もつく。チュウレンジハバチの幼虫だ。蛹で冬をこすというが、今頃から孵化してまにあうのだろうか。遅れを取り戻すためにどか食いをされても困るので、しばらく格闘することになった。

先日、スズメバチのことを書いたが、アシナガバチも数が少ないように思える。捕食者が少ないことも影響しているのだろうか。

今後、アシナガバチまで少なくなって、芋虫、毛虫の類が増えるようではそれこそ気楽ではいられなくなりそうだ。

レモングラスの花

当店のスタッフは、もちろん植物好きの者が多く、作業をしながらの会話も自分のうちで育てているハーブや野菜、植物の話になることも多い。

だが、それぞれがお互いの庭や畑に行くことはめったにない。休日の関係もあるが、案外同じ市内でも広範囲に散らばっているという理由もあるかもしれない。

昨日はそんななか、珍しくU君のところへ訪問。たぶん春以来になるだろうか。

目的は、先日の作業中の雑談のなかで出てきたレモングラスの花。秋になって、花らしきものが見え始めたというのだ。

話には聞いていたが、すくなくとも実物は見たことがなかったし、親株は当店のものなので、これは確かめなくてはと予定を立てた。

現地に到着してまずはそのレモングラスを見せてもらう。

 

実物を見たことがないので、はっきりとしたことは言えないが、花が咲く一歩手前といったところだろうか。茎がスッと伸びてその先に穂らしきものができかけている。

当店でも、シトロネラグラスは毎年のように開花する。もちろん、結実はうまくいかないようだが見た感じはとてもよく似ている。

このレモングラスが育っている場所は日光を遮るものがなく、一日中日が当たる。夏、暑さに弱い種類のハーブには過酷とも言えるような場所だ。さらに、風がよく吹く北西方向にビニールハウスが建っており、風を防いでいる。水分も十分に供給されるようで、今年の猛暑でしっかり成長したのだろう。残念ながら本格的な開花に至る前に秋が来てしまったようだ。

来年、もっと暑くなれば(勘弁してほしいが)、しっかりした開花が見られるかもしれない。

一方、なぜ当店の圃場では咲かないのだろう。

ビニールハウスのなかで地植えにでもすれば花も出てくるかもしれないが、少し前までは屋外の地植えでの越冬がギリギリだったこの地域なので春のスタートが遅めだ。そのうえ生産用に株分をしたり、強く剪定したりするし、当店の圃場は夕方、山影に覆われるのも影響しているのかもしれない。

思えば数十年前、レモングラスを初めて育てた時は越冬自体できるかどうか相当気をつかっていたし、失敗もした。それが今では越冬もそう苦労せず、まして花も見られるようになるとは・・・環境の変化を目の当たりにする事となった。

植物は移動する

引き続き、長期間放置してしまった畑のメンテナンス(ほぼやり直しだが)に勤しんでいる。

まあ、一番いけないのは、丈夫なハーブばかり植っている(残っている)といってあまり手をかけていなかったことなのだが、丈夫な植物であっても過酷な環境で平気ではいられないようだ。

2年ぐらい前までは、Aの場所で雑草さながらにはびこっていたセントジョンズワート。周りにも地下茎を伸ばし、春にはずいぶん離れたところから顔を出すようになった。

しかし、ちょうどAの手前側には落葉樹があり、これも大きく育ったため、セントジョンズワートのあった場所がもろに日陰になるようになってきた。

また、チガヤやアップルミントなども侵入してきて居心地が悪くなったようで元あったところからは現在すでに姿を消し、Bの日当たり良いところに育っている。まるで前からいたかのような顔つきだ。

きっと今はこの場所の方が心地よいのだろうし、雑草レベルで強い植物でも同じ場所で長い間いるのはいや地などの理由もあって好まないのだろう。

せっかくここまで引っ越ししてきたのだから、今後はここで成長してもらいたい。丁寧に他の雑草を取り除き、土も少しいいものを加えてやろうと思う。

どうしてここに

2年ほど前から、一番西にあるビニールハウスの棚の下で実生のゼラニウムが大きく枝を広げている。

夏には、横の通路部分にまではみ出して通りにくくなって強く剪定する羽目になったぐらいだ。

決してこの場所の上にゼラニウムの仲間がたくさんあるわけではないし、たまたまなんらかの理由で落ちた種子が根付いたのだろうと思っていた。

これらのゼラニウムの上はただの苗棚

ところが、この株からほんの数メートルしか離れていない場所にまた新たなゼラニウムが顔を出しているのがわかった。

先日まで気がつかなかったので、トレーの隙間から枝を伸ばしていた

このゼラニウムも、当店で育てている種類とくらべてもあまり似通ったところがない。まだこの種類は花も見ていないのだが・・・。

どちらの種類もとても葉が大きくて、手のひらぐらいはある。もちろん、地植えで育ってかつ棚の下という環境も影響はしているとは思うが、いずれにしても大型だ。

ゼラニウムは種子からはちょっと変わった種類も出やすいのは確かなのだが、ゼラニウムの親木をまとめて育てているビニールハウスではこういう実生が出てくることはいまのところはない。

おそらく、この新しい種類も、葉の香りはほとんどしないし、きっと花もあまりパッとしないと思う。なので、とりあえず花が咲くのだけ確認しようとは思っているが、その先は考えていない。

それよりもどうしてこの場所にこうもゼラニウムが顔を出すのか、そっちの方が知りたい。でもたぶん、「たまたま」なんだろうな・・・

草取りの優先順位

何事にも優先順位というものがある。

特に夏から秋の草取りは優先順位が大事だ。暑さや蒸れに弱いラベンダーなどの周りは何をさて置いても雑草に飲み込まれないようにしておかないと、この秋の途中であえなくダウンということも考えられる。

また、草丈が低いものの周りも陽が届くように案外こまめな除草が必要となる。

一方で、暑さに強かったり、生育が旺盛なものはすこし放っておいても大丈夫。例えばレモングラスなどはいずれ掘り上げて株分けするし、暑いうちは雑草を圧倒しそうな勢いなので、ほぼ手間がかからない。

というようなことは頭でわかっていて優先順位は付けやすいが、あまりに雑草がはびこりすぎていると、ついつい後回しになってしまうこともある。

今年の5月ぐらいまでは調子が良かったホワイトベルガモットの株だが、周囲のあまりの草の多さについ後回しにしてしまって、徐々に勢いが弱くなっていった。花は咲いたが、夏を過ぎて主な茎も一本だけになってしまった。

「早くなんとかしなくては」と横目で見つつも、いままで放置してしまい、今日ようやく「エイヤ」っと周囲の草取りに取りかかれた。

基本的に強い植物だが、様子を見る感じではそろそろ新しい株に更新かな・・・と思っていた。

ところが、株元の草を取り除いてみると、地下茎が案外しっかりと伸び始めている。これはまだまだ大丈夫そうだ。

赤みを帯びた茎が地下茎

もうちょっと頑張ってもらいたいので、周囲も少し耕して、株元にたっぷりと腐葉土でも追加してやろうかと思う。きっと答えてくれるだろう。

もう手遅れという可能性もあったが、優先順位は間違っていなかったようだ。