消耗品

農作業では色々な消耗品が必要である。用土や肥料をはじめ、紐や支柱など、数えていったらきりが無いが、比較的高価な部類に入る道具類もけっこう多い。

むろん、滅多に使わないものに高級品を使う必要は無いが、毎日使うようなものや、精度が求められるものはすこしぐらい高くても、気持ち良く作業ができるし結局は元がとれる。

ときには安いものをこまめに取り替える方が良い場合もあるので、使う頻度や必要とされる精度、作業の重要度によって選ぶようにしている。とはいえ、消耗品の部類に入るものでも、自分は基本的に、100均の商品とは相性が悪いようで、購入してがっかりすることが多く、手を出さないようにしている。

しかし、長い間、どちらにも決めかねていたものがある。それが草刈機の刃である。
草刈り
シーズンは限られているとはいえ、草が勢い良く伸びる季節には週に1回以上の草刈りを行う。

圃場の周りは斜面有り、凸凹あり、石が露出していたり、砂利がある場所など、草刈りがしにくいところが多い。時々、石に刃が当たって、「キーン」という不快な音と共に火花が飛ぶこともよくある。そんな場所なので、草刈機の刃は傷みやすい。

その昔、草刈機を手に入れた頃は、現在のようなチップ入りの刃はまだ高価で、鉄板の先が削られて一枚の刃になっているタイプだった。それでもけっこう高かったので、時々ヤスリを使って研いでいたりした。手間ばっかりかかって、その割に切れ味は悪かった。

その後、刃先にチップがついたチップソーが出回るようになってきた。「かなりよく切れるし、耐久性も良い」と聞いたが、一枚4千円だと聞き、手が出なかった。いつしか、2千円台のものが普及してきて、使うようになったのだが、その頃から、一枚千円を切るような激安の刃がでてきた(もちろん耐久性はひどかったが)。

種類も増えてきて、毎回ホームセンターで、どれを買うか迷うようになった。チップソーも、安めのものは石に当たってすぐにチップがとれるので、激安のものをこまめに替えるのも一つの選択肢だった。実際何枚かワンセットになったものだと、一枚が500円を切るようなものも出てきた(もしかしたら今なら100均にもあるかもしれない)。

ただ、こまめに替えていると、使い古しの刃がどんどん溜まり、あまり気分が良いものでは無い。なので、「荒地用」と書いてあるような、耐久性がある、やや高価な刃を使ってみたりするのだが、これも一年はもたない。最初の数回は文句の無い切れ味なのだが、徐々にチップが欠けていくうちに切れ味は落ちていく。一月ぐらい経つと明らかに切れ味が劣ってきたのを実感するようになる。

結局、どちらか結論がでないまま数年が経った。その間、激安刃と高級刃の間を行ったり来たりしていた。

ところが今年の春、いままで見なかったタイプの刃をホームセンターで目にした。

一見すると、これで切れるんかいな?という感じだ。それでも値段が2千円を切る程度だし、「石に強い」という文句につられ、試す価値ありと、一枚購入してみた。

草刈機の刃
パッと見には、切れそうに見えない形状だが・・・

実際使ってみると、切れ味は悪く無い。耐久性はというと、これが素晴らしい。いつもならチップが飛んでしまうような石に強く当たって火花が飛んでも、後で見ると刃は大丈夫。

理屈はよくわからないが、春に購入して、そろそろ草刈りが終わるシーズンなのに、それほど不満を感じ無い切れ味である。

どうやら石が多いこの場所で草刈りをするには最適の種類のようだ。障害物が少ない畑や、田んぼの畦のようなところなら、一体どれぐらい長く使えるのだろうかと思うほどだ。
草刈機の刃
あまりに気に入ったので夏前にもう一枚手に入れたぐらいだが、今年は結局春に購入した一枚でシーズンをほぼ終えることができそうだ。

「消耗品」ではあるが、「消耗品」とは呼びたくない満足感を与えてくれた。開発した人に拍手を送りたい。パチパチパチ。

今年初めての草刈り

外にいても日差しが暖かく感じられるようになったので、今年初めての草刈りをした。久しぶりに引っ張り出した草刈機も一発でかかり、気持ちが良い。

まだ短くて柔らかな雑草はかえって刈りにくいものだが、それでも草を刈る時の独特のフレッシュな香りを嗅ぐだけでも春を迎えることの嬉しさを感じる。

草刈機
思えばこの草刈機とも十年以上のつきあいになる。最初に購入した時には結構な金額を支払うのに躊躇したものだ。今になってみれば決して高い買い物ではなかった。エンジンも好調だし、トラブル知らずである。

さすがに、燃料タンクやパッキン、チョークレバーなどは劣化により取り換えた。構造がシンプルなのでパーツだけ購入すれば自分で直せるのもあり難い。おかげで圃場の周りのみならず、スタッフの自宅やその他にも出張して活躍している(私じゃなく、草刈機が)。

刃だけは消耗品なので年に一度ぐらい取り換えることになる。この刃も、昔は結構高価だったと覚えている。当時、刃先にチップが付いたものなど、おいそれと手が出しにくい価格だった。それがいつの間にか価格が下がり、数百円台なんていうのもざらである。

ところが、当たり前だけど、質もものすごい勢いで落ちてきているように感じる。廉価品の刃は一度使うだけで明らかに切れが落ちるようだ。このごろは、廉価品でないものも、「これは!」という刃がなかなか見つからない。次に交換する時にも、きっと迷うだろう。

さあ、これから秋まで、また草刈りの季節が続くぞ〜。