蜂の手も借りたい

今年は例年に比べて芋虫、毛虫など、幼虫によるハーブの食害が多い。

店頭のお客様からも、通販のお客様からも同様の被害報告を良くいただく。

もちろん、当店の苗にも影響は多い。
バジルの食害
発送前に、害虫が残っていないかチェックするのだが、昨日はなんともなかった苗が丸坊主になっていることもよくある。
ヨトウムシ
犯人はこいつ。結構大きなヨトウムシがバリバリとかじれば、小さな苗の葉などひとたまりもない。
ヨトウムシ
梱包前に見つけることができればまだいい。お食事中のまま箱に入ってしまうと、まさに駅弁を買って乗る長距離列車状態。揺られながら、ゆっくりと個室の中で楽しまれてしまう。

ヨトウムシ
アップルミントも丸坊主に・・・

昨年など、着いた時にはバジルが丸坊主という例もあった。

今年は、そこまでではないにせよ、すでに今月に入って2件も大きなヨトウムシが一緒に旅立ってしまったようだ。スタッフも注意しているのだが、その辺りは上手に隠れるのだろう。無賃乗車はやめてもらいたいものだ。

発送前以前に、圃場で栽培している時は苗もなおさら小さいので被害は大きい。ポット上げして間もないバジルなどをかじられると朝から落胆の度合いも激しい。

ただ、相手は数知れず。我々スタッフだけではとても対策は追いつかない。

そこで今年は、助っ人の手を借りることに。

ビニールハウスの中は、雨もかからず、風も防ぐので、アシナガバチが良く巣を作る。極端に近づいたり、刺激を与えなければ、襲ってくることは稀なので、我々があまり通らないところは巣を作っても放っておくことが多い。だが、普段よく使う場所などに作ろうとした場合は、小さいうちに取り除く。特に女王蜂一匹の頃は、一人でお出かけしている間に「よそでお願いしまーす」と、取り除けば全く問題ない。

アシナガバチ

今年も、種子や挿し木の管理をしているビニールハウスの中央部にアシナガバチが巣を作った。例年ならばよそへ移動してもらう場所なのだが、今年は危険を承知で残しておいた。彼らが少しでも芋虫や毛虫の類を捕食してくれることを願ってのことだ。
アシナガバチと肉団子

早速、口に芋虫の肉団子を咥えている一匹もいる。幼虫の餌にするようなので、巣が大きくなるにつれたくさんの芋虫を捕ってくれるだろう。もちろん、巣が大きくなるにつれ、我々の危険も増すのだが・・・
注意

ニャッキ

いつも作業をしている圃場では、一年を通して目にする昆虫も限られる。毛虫、イモムシの類も、ほぼ顔なじみのものばかりである。詳しい名前は知らなくとも、「○○(ハーブの名前)に付くニャッキ」と言えばスタッフの間でもほぼ通用する。

ところが、庭仕事へ行くと、今まで見たことも無い「ニャッキ」に遭遇する。有るお宅の庭先で、シモツケの花を丸坊主にしてしまったニャッキがいた。普段から昆虫の名前にはあまり詳しくないスタッフばかりなので、当然だれも知らない。

シモツケマルハバチ

とりあえず、見た感じ無害そうな雰囲気なので見つけるかぎり手で取り除いた。ところが、通路を挟んでピンクと白の色違いのシモツケがあるのに、食べられているのはなぜかピンクの方ばかり。白はほとんど被害が無かった。成育環境もほとんど変わらないのにだ。

シモツケマルハバチ
良く見ると両端は色が違う感じである。さすがにピンク色はしていなかった

あまりに不思議だったので、帰ってから調べてみた。ネットのイモムシ図鑑を調べるが、なかなか分からない。あまりにたくさんのイモムシを見てさすがに気分も悪くなってくる。こんな時は方針を変えて被害に遭った植物から絞っていくのも手である。シモツケから探っていくと、すぐに分かった。「シモツケマルハバチ」というハバチ科の幼虫であった。

更に調べていくと、なんとこの幼虫、花を食べて、体色が変わることもあるという。ピンクの花ばかり食べていたのもこのへんに理由があるのかも知れない。

小さいのは黄色味がかる。大きくなるとグリーンが強いようだ。花を食べた直後のピンク色のが見てみたかった・・・
小さいのは黄色味がかる。大きくなるとグリーンが強いようだ。花を食べた直後のピンク色のが見てみたかった・・・

正体は分かったが、スタッフの間で「シモツケマルハバチ」と言う名は定着しないだろう。きっと「シモツケのニャッキ」の名前で呼ばれるに違いない。