タンジーと蝶

夕方、ひとしきり雨が降り、店頭のハーブたちも少し元気を取り戻した模様。でも、暑さで傷んでしまった苗は圃場へ持って替えって養生が必要なので、くたびれた株が無いかチェックしていると目の前をひらりひらりと横切ったものがいる。

タンジーとアゲハ

タンジーの黄色い花にふわりと止まったのは一匹のアゲハであった。ハーブの中でも比較的防虫効果が高く、それを目的に買われるお客様も多いし、実際活用していらっしゃると言う話も結構聞く。こちらもこちらで、あまり虫媒花の果樹などのそばには植えない方がよいとおすすめしているので、こういう光景を見ると苦笑するしかない。

いくつか理由を考えてみた。

  • アゲハにはタンジーの防虫成分が効かない
  • 花の蜜の誘惑の方が上だった
  • まだ苗なのであまり防虫効果が強くなかった
  • 花の辺りは防虫成分が少ない
  • 暑さで防虫成分が弱っている

etc.・・・

まあ、実際にはこのアゲハに聞いてみないと分からないわけで、人間にも時々いるように変わり者のアゲハだったのかも知れない。真夏で、他に目ぼしい花が無くて仕方なく止まってしまったとも考えられる。砂漠のオアシスはより好みはできないしね。

夏は昆虫も多いせいか防虫ハーブの人気が高い。お客様から聞いたり、自分で見たりしても、効果があったり、無かったりとケースバイケースのようである。シトロネラの回りで草取りしていると蚊に刺されなかったと言う報告もあれば、スタッフはシトロネラの株分けをしている時に蚊に刺されたと言うし。ペニーロイヤルミントを植えたらアリが家に入ってこなくなったと言うお客さんもいれば、うちは葉の上を平気でアリが歩いているという話もあったりする。

キャットニップと猫の関係も微妙だ。以前、猫のいるお家に言った所、自分のかばんに猫がしきりに突入しようとするので調べてみたら、かばんの奥にドライになったキャットニップが入っていた事がある。今考えるとなぜかばんの底にキャットニップが有ったのかが不思議だが。一方で、圃場に迷い込んできた野良猫にキャットニップを嗅がせたらたいそう嫌がった。これは多分まだ仔猫だったからだと思うのだが・・・。

とりあえず、今夕、タンジーに止まった蝶の姿、しばし暑さを忘れさせてくれたのは確かであった。

春菊みたいなもの

除虫菊タンジーほどではないにしても、近い仲間であるフィバーフューにも昆虫が嫌う成分が含まれている。そのため、虫媒花の作物の周りには植えない方が良いとされる。

とはいえ、虫が全く寄りつかないかと言うとそれほどでもない。気温が上がって乾燥してきた時など、少し水やりに油断をしてしまうと、鉢植えやましてやポット苗の場合、結構ダニが発生する。ダニはフィバーフューがお好きなようだ。

フィバーフューとハダニ

また、それほど多くは無いけれど、ハモグリバエ(いわゆる字書き虫)も葉を食い荒らすことがある。ハモグリバエはナスタチウムの葉に良く見つかる。まあ、こちらは人間が食べても美味しいナスタチウムなので納得できる。でも、決して美味しいとは思えないフィバーフューの葉を食べるなんて・・・と思ったが、そうか、我々が春菊を食べるようなものか。

いくつか文献をたどってみると、若葉をサラダにすると言う記述もあった。ただし苦いとか・・・。あまりたくさんは食べない方が良さそうである。