土の下からこんにちは

冬の間、地面に蓄えられてきたエネルギーが一気に顔をだすようなこの時期だ。ここ一週間ほどで近所の方、そしてスタッフから、いくつもたけのこをいただいた。自家菜園のアスパラもようやく顔を覗かせるようになった。

ハーブの仲間も同様で、冬の間、昨年の葉が枯れて哀れな姿になっていたコンフリーも葉が出てきたかと思ったらあっという間に花を咲かせた。この時期は朝夕の低い気温せいだろう、花のピンクがとても鮮やかだ。

コモンコンフリー
春は特に色鮮やかなコモンコンフリー

苗も徐々に土の下から葉をのぞかせ始めている。結構毎年心配しながら冬越しをしているアフリカンブルーバジル。

毎年この芽をみるとほっとする

きっちり防寒しない(する場所が十分に確保できない)ので、1/3ぐらいは芽を出さすに終わってしまうこともあるが、大抵はこのように、株元から新芽が出てくる。しっかり防寒していると枝からも芽が出るのだが、伸びすぎた枝はいずれは剪定して形を整えることになるので、こちらの方が都合は良い。

寒さに強いとはいえ、それでも心配するのが、ホップの苗。寒さに強い分、地上部はすっかりなくなってしまうので、やはりこの時期新芽が確認できると安心する。

春になって地面の下から葉が出てくるような種類の場合、特に斑入りの種類には注意が必要だ。ゼラニウムは、斑入りや葉の形が変わった種類の場合、斑が消えたり、元の姿に戻りやすい。

春に斑がない葉が出ることがあるシルバータイム

タイムもこのシルバータイムや、斑入りのレモンタイムなどは、グリーンにもどりやすい。もちろん、斑が入っていない方が、葉緑素も多いので成長が早いから、斑入りの枝の方を圧倒してしまいがちなので、早めに剪定してしまう。

斑入り系でもまず安心なのが、ゴールデンホップ。

ゴールデンホップ 。春一番の葉から黄色味がかっている

これだけは本当、今までグリーンの葉に戻ったことがない。安定しているのだろう。まだ日差しはあまり強くないので、日陰にまで置く必要はないが、一時的でも極端に水切れすると一気にシワシワになりやすい。水やりにはこれから注意が必要だ。今まで何度かそれで発売延期にしてしまったこともあるし・・・。

代役

前の冬、突然訪れた激しい寒波。そんな時に限ってアフリカンブルーバジルの親木をしっかり確保していなかった。おかげで今年の春は一本だけ残った親木から増殖を始めるはめになり、大変だった。

その反省をもとに、9月初め、越冬用の親木を鉢植えにした。普段なら親木は一本植えにすることが多い。ただ、ちょうど適当な鉢が見つからなかったのと、どうせ冬前に刈り込んでしまうので横長のプランターに三本植えとした。

残暑の中順調に育ち、10月に入る頃から開花を始めた。そのままビニールハウスで冬を越させるつもりだったが、ちょうど店頭のディスプレイ鉢がコガネムシの被害にあい、植え替えのため一時圃場へ「入院」することになった。せっかく咲いている花なので、たくさんの人に見てもらえればと、急遽代役として登場させたのである。

アフリカンブルーバジル

アフリカンブルーバジルは葉の香りは料理用に一歩も二歩も劣るとはいえ、結構寒くなっても傷まない葉と、長持ちする花を利用しない手はない。また、置き場所の壁の色が良い背景となって思ったより良い感じになった。南向きで強い風も当たりにくいから、かなり遅くまで代役を演じてくれるはず。ただ、急激な寒さで去年の二の舞になることだけは避けなければ・・・。

アフリカのブルー

普通、バジルを購入された方には、「どんどん収穫をかねて剪定をして花を咲かせないようにしてくださいね」とアドバイスする。だが、アフリカンブルーバジルは別である。花が咲いてくれないとそもそも楽しめない。食べて食べれないことは無いようだが、スイートを代表とする食用専用のバジルを育てているとわざわざ手を出す気が起こらない。第一、葉が硬めだ。

そのかわり、とても丈夫だし、寒さにも比較的強い。松江だと、地植えではボーダーラインと言ったところだが、鉢植えならまず大丈夫、軒下で充分冬を越す。スイートバジルブッシュバジルの場合、ビニールハウスの中でもいくら頑張っても冬は越さない。(途中でどうでも良くなって管理が甘くなると言うのも否めないけれど・・・)

アフリカンブルーバジル

写真のアフリカンブルーバジルはこの初夏に9cmポット苗で植え付けたのに一夏でここまで成長した。日当たりもよかったこともあるだろう、剪定もしないのに良い形に育ってくれた。

それにしても、どのへんが「ブルー」なのだろう。何年育ててみても相変わらずわからない。お客さんに聞かれたらどう答えようか?