二年目の冬

比較的よい天気が続くので、ビニールハウス横の畑からレモングラスやその仲間、寒さに弱いハーブ類を掘り上げて株分けする作業が急ピッチで進んでいる。

できればもっと気温が高いうちに行う方が、寒くなるまでに根がしっかり張るのだが、今年はどうしても後回しの作業となってしまった。でも比較的暖かいのが幸いだ。

それでも先週までのところで、おおよその株は掘り上げが完了した。残りは一株を残すのみ。

ただ、この一株についてはどうしようか今でも迷っている。

このレモングラス、昨年春に地植えしたのだが、やhりこの時期、掘り上げるかどうか迷った末、暖冬傾向でもあるしこのまま一冬越させてみようということにした。時期的にも遅く、そのまま掘り上げるならまだしも、株分けをしても案外ロスも多そうだったという事情もあった。

ここ松江はレモングラスの地植えでの越冬が以前からギリギリの線だ。市内のお客様のお庭でも、放っておいても越冬するところもあれば、それなりに防寒してもダメという人も結構いる。当店の畑の場合、風が強いのと市内でも少し気温が低めなので、毎年試してはダメにしていた。

1月半ばの様子

ところが昨年の冬は、剪定もしなかったのが吉と出たのか、春先にはしっかりと芽が出始めた。こうなると地植えの場合は成長がはやい。夏までに横にも縦にも相当大きくなった。写真の通り、背丈ほどの高さだ。

正直、このサイズは掘り上げて株分けするのもちょっと大変。もう一冬、越せるかどうかチャレンジだ。

ただ、これ以上は根詰まりなどで老化しておそらく株も弱ってくるだろう。来年の春先の株分けは必須になりそうだ。忙しい春にそれができるかどうかも怪しいのだが。

たしか、この畑で二年目の冬を越したレモングラスは今までなかったはずだ。寒い中申し訳ない気もするが、なんとか越えてほしい。

食わず嫌いと適材適所

新しいもの(具体的には電動草刈機だが)を使い始めたことがきっかけになって、いままで使わなかったものにも目が行くようになった。

草刈り機の草を刈る部品には、金属製の草刈り刃と、ナイロンコードがある。いままでは草刈り刃ばかりを使っていた。

ナイロンコードも今はだいぶ市民権を得た感じがするが、出た当初は「細かい砂や葉のクズばかり飛んできて使い物にはならない」という印象だった。

それに、草をコードが切っていく際のバリバリという音も耳障りだった。(金属の刃が石に当たる「チューン」という音もずいぶん耳障りだが)。

今年、電動草刈機導入でエンジンの音が気になっていた女性スタッフも草刈りができるようになったが、やはり金属の刃を使うことには若干恐怖心があるようだ。

今回、草刈機が2台になったこともあり、エンジンの草刈機には金属刃を使い、電動にはナイロンコードという選択肢が可能となった。

そこで、ホームセンターに行ったついでにコーナーを冷やかしてみた。

普段意識していないと、わからないものだ。ナイロンコードタイプだけでもいろいろな種類が並んでいた。つい目移りするが、ごくシンプルなタイプが千円台で売られている。数千円はするものかと思っていたので、気軽に購入。ダメ元でも構わない。

 

草刈りナイロンコード
草刈りナイロンコード

ところが使ってみたらこれがなかなか良い。30分や1時間使ってもコードが使えないほど短くなることもない。

しかも、いままで金属刃では非常に難儀していたビニールハウスの裾ギリギリの草を刈るときに抜群の威力を発揮した。

草刈りがしにくいハウスとハウスの間
草刈りがしにくいハウスとハウスの間

ビニールハウスの裾近くには、ビニールはもちろんだが、ビニールを上から押さえる「マイカ線(地域によっては別の呼び方もあるかもしれない)」、マイカ線を張るためのパイプ、パイプを固定するためのアンカーが設置されている。これらが金属刃と非常に相性が悪い。アンカーと刃が当たるとものすごい衝撃で、ときには刃も欠ける。マイカ線も刃に絡むとうんざりするほど厄介だ。しかもそれらが雑草に隠されているところを刈っていくわけなので、慎重に作業していても10メートルに一度ぐらいは引っかかったりする。

金属刃ではとても面倒くさいハウスの地際
金属刃ではとても面倒くさいハウスの地際

なのでこのビニールハウス際の草刈りは、あまり疲れている時や、暑さがひどい時などには避けたい作業だ。

そういったストレスが、ナイロンコードではほぼ皆無。なぜ早く使わなかったのだろう。

もちろん、障害物の少ない、広々としたところや草でも成長して木質化したような枝があるような場所では金属の刃が断然有利だ。適材適所なので上手に使い分けると作業も早い。

女性スタッフにも好評
女性スタッフにも好評

金属の鋭い刃がないということで女性陣にはやはり好評だった。だから安全かと油断するのはもってのほかだが、怖がらずに使ってもらえるのは助かる。

知らず知らず、食わず嫌いの傾向が強くなっていたのかもしれない。もっと積極的に新しいものにも関心を示すようにしたいものだ。

赤い結界

普段は目立たないのだが、お彼岸から10月初め、ビニールハウスの横にある畑に赤い四角の枠が現れる。

彼岸花である。

もう10年近く前になるだろうか、この場所はラベンダーの親木を集めて育てていた。

しかし、とにかくモグラの被害が酷かった。ラベンダーの根を直接食べるわけではないようだが、穴がたくさんあき、根が持ち上がってしまってどんどん傷むことに悩まされ続けていた。

そこで物は試しと、彼岸花の球根をこのスペースを囲むように植え付けてみたのである。

鼻のよいモグラは彼岸花の毒性も感じるのだろうか、結果、翌年からモグラの穴を見つけることがほぼなくなった。

モグラ避けとして「これはいい」と喜んだのだのも束の間、天敵のモグラがいなくなったことで、コガネムシが大発生。ラベンダーの根を大喜びで食べてしまった。モグラがいたころよりもひどい状況になってしまったのである。

仕方がなく、今はラベンダーのあとに、申し訳程度にいろいろ植えて、少々ねが食べられても残るようなものを育てているという感じだ。

彼岸花は今年も元気に咲いている。スタッフが時々膝の痛みや肩こり対策に球根を使うぐらいなので、減るどころか増える一方。せっかくなので、もう少し嵩上げして土の流出防止にどれだけ使えるか試してみようかな・・・なんて考えている。

ほんの数日で

先日のブログでもうすぐするとツマグロヒョウモンが・・・と書いていたら、一気に被害がではじめた。

「今年はちょっと遅めかな?」と思っていたのだが、秋を感じさせるような天気になったら急に目立ち始めた。暑い間は動かないよう我慢していたのかもしれない。

かじられたニオイスミレの葉に隠れているのは・・・

今まで割と調子良かったスイートバイオレットだったのに、急に齧られた後が目立つようになったのだ。

ツマグロヒョウモン

ツマグロヒョウモンは上手に隠れているので、そっと葉を裏返してみると、結構大きく育っているのがあちらにもこちらにも見つかる。

見た目によらず毒はないので安心

涼しくなって「食欲の秋」となり、大食いして急に成長するのだろうか。

まだ小さい苗は一気に被害を

少しだけでも、「今年はあまり被害がないかも」と思ったことを後悔した。

さて、スタッフと「今年は妙に遅くない・・・?」と話していたヒガンバナも、今日、畑の東側、いつもまとめて咲く場所を見てみたら、花茎が一気に立ち上がっていた。

彼岸花。5日ほどで一気に伸びた

この場所は、先日の日曜日草刈りした場所である。その時かなり地際で刈り込んでいたし、もちろんその時も気が付かなかったので、およそ5日ほどでこれほど伸びたようだ。こちらもツマグロヒョウモンと同じく、涼しくなるのを待ちかねて・・・という様子だった。

我々も、涼しくなるのを待ちかねていたので、遅れていた秋の作業に本腰を入れねば。

好き嫌い

植物を育て始めた頃は、病気や害虫が発生すると、とても焦って恐れたものだ。初心者の時には原因もわからず、害虫の種類もよくわかっていないので仕方がないのだが。

それが長年育てることで少しずつでも病気や害虫のことがわかるようになってきてあまり慌てなくなる。「そろそろ出てくるかな」という予想も結構当たる。当たらない夏の天気予報よりも確率は高いと思う。

それでも、油断していると思わぬ被害を受けることがある。

今年の夏はあまりに気温が高く、日射も強かったので、葉が柔らかくてすぐに乾いてしまうフルーツセイジを日陰に置いていた。暑さ自体には相当強いので、少々水が切れようと日向に置いておけばよかったのだが、例年よりも葉が柔らかく育ってしまったのだろう。気がつくと一気にベニフキノメイガの幼虫の餌食になっていた。

ベニフキノメイガの幼虫は結構すばしっこいし、糸の中に隠れているので、丁寧に取り除くのは結構面倒だが仕方がない。

でもこれが、初心者の頃だったら手前に置いてあるスイートバイオレットの苗の心配もしてしまったことだろう。「これにも移ってしまうんじゃないか」と、不安になったに違いない。

だが幸いに、ベニフキノメイガはシソ科専門。隣がローズマリーやタイムなら危ないが、スミレはお好みではない。隣にあってもまったくOKだ。そのかわり、もう少ししたら必ずと言ってもいいほど現れるツマグロヒョウモンの幼虫の出現に目を光らせる必要はある。

また、この時期よく見かけるのがスズメガの幼虫(ベニスズメ?)。例年は、ビニールハウスの周囲に生えるヤブガラシによく付いていて草取りをしている時にびっくりすることがあるのだが、今年は日陰を作ろうと企んでいるブドウの葉にもしっかりつき始めた。

ここで育てているハーブにはブドウの仲間はないので、気にする必要はないのだが、このブドウは来年に向けてしっかり株を充実させたいから退去してもらう。

とりあえず外のヤブガラシに移動してもらった。ヤブガラシならいくら食べてもらっても構わない。というか、食べ尽くしてもらうと助かるぐらいだ。

ラベンダーに絡みつくヤブガラシ。蒸れに弱いラベンダーにとってはあまりよくない

ヤブガラシに移動して、しばらく観察していたが、あまりお気に召さない様子だ。

柑橘の葉を食べるアゲハの幼虫も、柑橘の種類が違うと嫌がると聞く。この辺も好き嫌いやこだわりがあるのだろうか。それとも食草自体が違う別の種類だろうか。昆虫は難しい。