躊躇し続けた秋

この秋、発売しようと思って夏に育てる苗はもちろんたくさんあるが、それが全部発売できるとは限らない。

今年のような過酷な夏の場合は、無事夏が過ごせることがまず前提条件だ。水切れもあるし、害虫被害、成長不良などクリアするべきことは山積みだ。

この白花イブキジャコウソウも8月の半ばぐらいまではとても順調に成長していた。予定では9月の受注再会と共に発売する予定だった。

ところが、暑さのピークを過ぎた頃、育てる側の気が抜けてしまったのか、油断からか軽い水切れを起こしてしまった。いや、軽くなかったかもしれない。

 

枯れてしまうほどではなかったので剪定をして様子を見ていたところ新芽も少し伸び始めた。ほっとして、この調子で秋には・・・と思っていたのだが、その後の復活があまり調子よく進まなかった。

「もう少し様子を見て・・・」と思っているうちに9月が過ぎ、10月が過ぎ、11月も終わりが見えてきた。

ようやく今になって諦めがつき、植え替えをする事にした。ポットから出してみると、根はそんなに悪くなかったのだが、予想に反して土のコンディションがイマイチだった。

一部は株分もできたし、これで冬の間に復調してくれると思う。春には発売できると思うので(?)、お待ちの皆さん、今しばらく。

冬は目前だぞ

気の進まない仕事はついつい後回しにしがちなのは誰でも同じだろう。冬に向けての防寒対策など、もちろんできればしたくないものだ。

そのため、種まきした鉢や挿し木をしたプラグを管理するビニールハウスの防寒対策も遅々として進んでいなかった。

自分自身に「まだ結構暖かいから」と言い訳をしていたのも確かだ。そのほかにも「今日は忙しいし」、「作業するのに人手も足りない」、「天気が悪いし」とか、いろいろ自分の中で言い訳をしながら後へ伸ばしてきた。

でも今週、スタッフに細かい事前作業をお願いすることができて、あとは人数を揃えて内側のビニールを張るだけとなった。

みぞれがビニールを叩く音は冬の前触れ

朝から冷たい雨が降ったのも後押ししたかもしれない。幸い今日は比較的時間にも余裕がある。作業にかかれる人数は二人だけだが、「なんとかなるだろう」と、取り掛かることにした。作業を始めた頃、みぞれが降り出した。この秋最初に見るみぞれだ。冬は目前だぞと言われているようで、気合も入る。

二重ハウスだが、マイナス何度かになる夜だけ活躍するビニール。今年は何度閉めることがあるだろうか。

スタッフもいままで何度か作業をしているので、あまり指示することもない。前後左右の位置を調整するのには少し手間取ったが、あとはスムーズ。外から固定する作業も雨の止み間を使ってなんとか間に合った。

実際作業してみれば30分程度で完了。スタッフも、去年3人でした時よりも早くできたと言っていた。

気分もスッキリ、これでまたひとつ冬への準備が完了。早くしとけばよかった。

フードは欠かせない

山陰の秋冬は目まぐるしく天候が変化する。

「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるが、納得せざるを得ない。

天気予報は「曇り時々晴れ」でもも油断できない。さっきまで日がさしていたのに、パラパラと急に雨が降ってくる。

作業中は困るが、大抵少し待てば止むことも多い。

そのため、上着にはフードが欠かせない。外で作業している時はもちろん、ちょっと隣のビニールハウスへ移る時などにもわざわざ傘を刺すこともない。

ぱっとフードを被ってしばらく凌ぐのだ。

思い返してみると、おそらくこの仕事を始めた当初からフード付きの上着を着ていたような気がする。

Sierra Designsや、LLBeanなどを経て、今はMont-bellだが、常にフードがついていた。これからもきっとそうなるだろう。

ナンエンソウは生えないけれど

今日も畑の裏の山では小鳥たちが大騒ぎ。

何をしているのかと見にいくと、センダンの木に群がっている。どうやらヒヨドリのようだ。黄色くなった実をしきりについばんでいる模様。

上の方がよく実っているのか、安全のためなのか上の方ばかりの実を食べているようだ。

このセンダン普段は他の木々に隠れて全く目立たないが、今頃になると黄色っぽい木の実が目立ってくる。

実には毒性もあるということなのでとても口にする気にはならないが、鳥は大丈夫なのだろうか。ヒヨドリは野菜でもなんでも食べてしまうがきっと胃腸も丈夫なのだろう。食べながらたくさんのフンを落としている。

落語のなかではシャクセンダンの木の下にナンエンソウという草が育つことになっているが、センダンの下もしっかり栄養が行き届いて草も生えやすそうだ。ナンエンソウは生えることはないけれどセンダンの種子がいっぱい芽を出すのではと心配している。

柔軟性

今年、鉢植えセットなどの製作を依頼しているこだまさんからの希望があって、施設の裏の空き地の緑化のお手伝いをしている。

長期計画で進めており、夏に花壇の一部の定植が終わり、冬前の定植を今週あたり計画している。

長期間空き地だったので、そのまま畑にするのは無理があるのと、予算の関係でとりあえず花壇のように嵩上げしてそこに植物を植えていくこととなった。

土はすぐ近くにマサ土を採取する山もあったりするので準備は容易だが、さて、花壇を構成する素材をどうされるのだろうと思っていた。

「花壇ができました」ということで伺ってみてびっくり。なるほど、こういう手もあるなと感心した。

花壇の枠は近所の製材所からもらってきた割木を使って針金で繋げただけ。といっても総延長は何十メートルもあるので作業は大変だっただろう。

だが、これほどのものをレンガやブロックなどで作ろうとすると一体どれほどコストがかかったことか。所々隙間から土が流れ出ているが、その辺も気にしないでよさそうだ。

心配だったのは、劣化して崩れてしまわないかということだったのだが、制作者いわく、「その時はまたもらってきて作り直します」とのこと。それぐらいの気持ちがちょうど良いように思えた。また、これならば後々デザインを変更するのも容易だ。

今ある材料を使って工夫し、状況に応じて対応する。環境をはじめ目まぐるしく変わる今、これぐらいの柔軟性が大事だと思う。

冬の間には、樹木も加わる予定。数年後が楽しみだ。