どうしてここに

2年ほど前から、一番西にあるビニールハウスの棚の下で実生のゼラニウムが大きく枝を広げている。

夏には、横の通路部分にまではみ出して通りにくくなって強く剪定する羽目になったぐらいだ。

決してこの場所の上にゼラニウムの仲間がたくさんあるわけではないし、たまたまなんらかの理由で落ちた種子が根付いたのだろうと思っていた。

これらのゼラニウムの上はただの苗棚

ところが、この株からほんの数メートルしか離れていない場所にまた新たなゼラニウムが顔を出しているのがわかった。

先日まで気がつかなかったので、トレーの隙間から枝を伸ばしていた

このゼラニウムも、当店で育てている種類とくらべてもあまり似通ったところがない。まだこの種類は花も見ていないのだが・・・。

どちらの種類もとても葉が大きくて、手のひらぐらいはある。もちろん、地植えで育ってかつ棚の下という環境も影響はしているとは思うが、いずれにしても大型だ。

ゼラニウムは種子からはちょっと変わった種類も出やすいのは確かなのだが、ゼラニウムの親木をまとめて育てているビニールハウスではこういう実生が出てくることはいまのところはない。

おそらく、この新しい種類も、葉の香りはほとんどしないし、きっと花もあまりパッとしないと思う。なので、とりあえず花が咲くのだけ確認しようとは思っているが、その先は考えていない。

それよりもどうしてこの場所にこうもゼラニウムが顔を出すのか、そっちの方が知りたい。でもたぶん、「たまたま」なんだろうな・・・

草取りの優先順位

何事にも優先順位というものがある。

特に夏から秋の草取りは優先順位が大事だ。暑さや蒸れに弱いラベンダーなどの周りは何をさて置いても雑草に飲み込まれないようにしておかないと、この秋の途中であえなくダウンということも考えられる。

また、草丈が低いものの周りも陽が届くように案外こまめな除草が必要となる。

一方で、暑さに強かったり、生育が旺盛なものはすこし放っておいても大丈夫。例えばレモングラスなどはいずれ掘り上げて株分けするし、暑いうちは雑草を圧倒しそうな勢いなので、ほぼ手間がかからない。

というようなことは頭でわかっていて優先順位は付けやすいが、あまりに雑草がはびこりすぎていると、ついつい後回しになってしまうこともある。

今年の5月ぐらいまでは調子が良かったホワイトベルガモットの株だが、周囲のあまりの草の多さについ後回しにしてしまって、徐々に勢いが弱くなっていった。花は咲いたが、夏を過ぎて主な茎も一本だけになってしまった。

「早くなんとかしなくては」と横目で見つつも、いままで放置してしまい、今日ようやく「エイヤ」っと周囲の草取りに取りかかれた。

基本的に強い植物だが、様子を見る感じではそろそろ新しい株に更新かな・・・と思っていた。

ところが、株元の草を取り除いてみると、地下茎が案外しっかりと伸び始めている。これはまだまだ大丈夫そうだ。

赤みを帯びた茎が地下茎

もうちょっと頑張ってもらいたいので、周囲も少し耕して、株元にたっぷりと腐葉土でも追加してやろうかと思う。きっと答えてくれるだろう。

もう手遅れという可能性もあったが、優先順位は間違っていなかったようだ。

カラタチの実が落ちるとき

あれほどやかましかった蝉の声もいつしかコオロギや鈴虫の音色に変わり、それも聞こえる回数が徐々に減ってきた。少しずつ静かな季節へ移り変わろうとしている。

用水路を流れる水音も田んぼで使われなくなると穏やかな流れになり、耳を澄ましても聞こえないほどだ。

いつも聞こえるのは風の音と、小鳥の鳴き声ぐらいになってしまった。でも、耳をつんざくような蝉の鳴き声の中での作業に比べれば、静かに集中して作業ができる方がずいぶん良い。

後ろの方で、「ストン」と何か落ちる音がした。どうやら熟したカラタチの果実が落果したようだ。樹の下にはいくつも黄色い実が落ちているが、実際に落ちるところはまだ見たことがない。リンゴが落ちるのを見れたニュートンは運がいいのだろう。

今年はカラタチも豊作のようだ。せっかくたくさん実がなったので、何かに使えないか思案中。

ちなみに棘だらけの枝は、今年の夏活躍した。思っても見ない使い方だったが、孵化したツバメの雛を野良猫からうまく守ってくれた。

棘には悩まされているが、使い方が見つかると見方も変わり、あまり疎ましく思わなくなった。人間は身勝手なものだ。

コットンの季節

ファッションにはあまりこだわらない方だと思うが、着ていて快適かどうかだけはいつも考えている。特に作業時は時に汗だらけ、時に泥だらけになるので服のチョイスは適当にはできない。

なので、気温が高くて汗をかきやすい季節や、汗をかいたら冷えて困る冬はどうしても化繊の機能性ウェアを選択することが多い。

とはいえ、やはり自然素材の肌触りは格別だと思うし、特にコットンの柔らかさは肌が喜ぶ感じがする。

暑さがおさまり、本格的な冬がやってくるまでの短い間はコットンを楽しむ貴重な期間だ。この時期だけはTシャツもコットンを積極的に着るし、ジーンズもしっかり楽しむ。

若い頃からジーンズは好きで、真夏、汗だらけになってギッチギチになっても痩せ我慢して履いていた時期もあったが、いまとなっては初夏以降は登場しなくなるし、寒くなると情けないがタイツを重ねばきするのでジーンズの風合いを肌で感じることもない。

もともと作業着として生まれたジーンズだが作業で履くジーンズは、普段履きをして、だいぶ傷んだものを作業用に下ろす。穴あきの補修もずいぶん上手になった。

穴が空いていても作業時には人に会うことはあまりないので構わないのだが、やはり少し手を入れるとむしろ愛着がわいていい。

今、これを書きながら履いているジーンズは、春先に購入してまだ色も濃い。写真のような色合いになった頃には作業用として履く事になるだろう。

日曜日の連呼

よろしくお願いします!よろしくお願いします!の絶叫も聞こえなくなり、静かな日曜日だ。

日曜日といっても、普段は朝から草刈機の音が聞こえてきたり、トラクターのエンジン音が響いたりして案外賑やかだが、今日は朝から時々小雨も降り出したせいか周囲もひっそりとしている。

ポツポツと雨が降り出すなか、まだ伸び続けているネトルの刺し芽作業を行った。焦ってすると思わぬところに棘が当たり、しばし辛い思いをする事になるので、この作業は静かに行うのに限る。今日のような日にぴったりだ。

挿し穂を取ろうと、枝を摘み上げたら葉の上に芋虫が。でもなにか違和感を感じた。

ネトルのような棘のある草も、食草にしている昆虫はいて、葉を巻くようにして食害する。ただ、今の季節は稀だし、何か違う・・・。

この違和感は何だ?と頭を捻ったら、これはマロウ(アオイ科)とかにつく芋虫だということに気がついた(フタトガリアオイガである)。

ネトル(イラクサ科)も食べたっけ?と考えたら、そうだ、昨日ちょうどこのすぐ横にあるオクラを片付けたのだ。仕方なく、横のネトルに移動したが、食べれなくて困っているのだろう。どうりで、葉を食べた形跡がない。

この幼虫、今後どうするのだろうか。お隣の畑にある芙蓉が一番近いが、それでも10メートルはある。

「わたしを芙蓉におくりだしてください」と言われている気もするが、国政までの距離よりもきっと遠い。いままで、大事なオクラの葉を好きなだけかじるだけかじっていて、何か役に立つ働きでもするのなら考えないこともないが。

「よろしくおねがいします」「よろしくおねがいします」・・・いまさら連呼されても困る。