神名樋野

ビニールハウスの南西側には小高い山がある。出雲国風土記に神名樋野(かんなびぬ)と記される山である。現在は茶臼山と呼ばれている。

傍から見ると雑木や竹林などが散在するとりたてて特徴の無い山だ。ところがこの辺りは古墳を初めとして古代出雲の歴史が所々に埋まっている土地である。国庁跡、国分寺跡もすぐ側にあるのでこの山にも何かあるらしく、時々調査隊のような人々が登っていくのをみかける。

我々にとっても貴重なビニールハウスの水源を供給してくれるほか、夏の西日、台風の強烈な風からハーブたちを守る防御壁の役割も果たす有難い山である。
山桜
いま、茶臼山も所々に淡いピンク色が見られるようになってきた。普段は他の樹木と見分けがつかず、気づくことのない山桜だろう。まだ見える範囲では一つだけだが、山腹の所々に桜色がちりばめられるようになると春本番である。

グリーンボール

一つの植物を何年も育てていると花以外の季節に思わぬ魅力を見つけることがある。

春先のカラミント・ネペトイデスは葉が密に詰まり、グリーンの球体のように育っていく。毎年、この姿を見るのを楽しみにしている。春のエネルギーがぎゅっと詰まっているような感じがする。
カラミント・ネペトイデス
ポイントは冬の初めから遅くとも2月までにしっかりと地際まで刈り込んでおくことである。風通しが良いとなおさら形良く育つ。今年は奥に見えるオレガノ・ハイブリッドが大分大きくなってきてしまったので移植してやらなければならない。
カラミント・ネペトイデス
こちらは圃場の横のガーデンの株。毎年一株だけぽつんととぼけた感じで春に出てくるのでなにやら可笑しい。
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三年目

花壇のビオラ・リディアグローブスの隣でこちらも満開になっているのがドワーフコンフリー。植えて三年目になってようやく満足できるサイズに育ってきた。

昨年までは夏の水切れの被害もあったりして株が十分に広がらなかった。「もしかしてこの場所にあってないのじゃないか?」との思いもよぎった。昨秋、落葉した葉を片付けた際に、そこそこ株が充実しているように見えたので少なからず期待していた。
ドワーフコンフリー
暖かさが戻るにつれ、一気に葉を伸ばし出し、同時に花芽も付けてあっという間に開花してしまった。ドワーフコンフリーのかわいらしさは小さな蕾が少し色づいてぎゅっと並んでいる様子だ。今年はそれを見る間もなく開花してしまった。
ドワーフコンフリー
柔らかなクリーム色は曇りや雨の日は少し寂しげに映るが、暖かい晴れの日にはホッとさせるような印象を与えてくれるのが嬉しい花である。道行く人の視線が時々注がれているのを見かけるのも楽しい。

足元のお花見

松江でもちらほら桜が咲きはじめた。街中でも所々で淡い花色が目につくようになってきた。ところによっては満開に近く、既に花びらを散らしている桜さえ見かけた。

ついつい桜に目がいってしまい、上ばかり見ているためか、足元の桜色に気がつかないでいた。店の横にある花壇のビオラ・リディアグローブスが気がつかないうちに満開を迎えていた。淡いピンク色の花はいつ見ても可愛らしい。特に今年は株が充実しているのか去年よりも花が大きめだ。
ビオラ・リディアブローブス
近くで見ると、ピンク色といっても花一つ一つが微妙に雰囲気が異なる。花弁の縁が日本風に言えばさっと紅を差したように色づいているものもある。
ビオラ・リディアグローブス
枯れ木の状態から一気に花を咲かせるのが桜の魅力の一つと言われる。青空に咲き誇る桜や夜の闇に浮かぶ桜は確かに見事だ。でも、柔らかなグリーンをバックに咲くこのビオラもまたいい雰囲気である。

花粉の季節

栽培しているハーブは草本のものが主体である。木本もそれなりにあるとはいえ、大きくなる樹木となるとかなり少なくなる。

特に針葉樹系はほんの僅かだ。もともと広葉樹の方が好みということもある。その数少ないジュニパーが花粉を盛大にまき散らしているとスタッフが教えてくれた。
ジュニパー
様子を見に行って見ると、なるほど、風が吹いて枝が揺れるとパッと花粉が飛び散る。花粉症持ちの方にとってはおぞましい光景かも知れない(ゴメンナサイ)。自分は今のところ花粉症は発症していないとは言え、さすがにこの光景を見ると鼻の奥がむずむずしてきた。

上手に受粉すれば果実まで楽しむこともできるかもしれない。でも、熟すには一年以上かかるといわれるジュニパーの実、さて、それまで待てるかどうか。

(ちなみに上の写真、そう都合よく風は吹いてくれないので手で揺らして撮影。それでもタイミングを合わせるのは困難だった。)