狐の孫は狐

花壇の脇ではツユクサの青い色がちらほらしているし、お隣の畑の隅にはオミナエシの黄色が。野は秋の色が目立つようになってきた。

キツネノマゴ

夏の間、休憩場所になっているボダイジュの大木の下では、あちらこちらでキツネノマゴのピンク色の花が咲き始めている。

「キツネノマゴ」と聞いて、そういえば、キツネノマゴ科のハーブ、あったよな・・・思い出そうとするが、パッと出てこない。どうも小さなヴェロニカのような植物を連想してしまっていた。

帰って改めて調べたら、そうそう、アカンサスがキツネノマゴ科だったのだ。確かに、花穂と花の咲き方は共通点もあるかんじだ。

店頭にあるアカンサスの鉢。夏の間葉が全部落ちて、新しい葉がで始めていた

ついでに、キツネノマゴも確か薬用だったはず・・・と調べるうちに、茹でて食用になるとの記述も見つけた。今度試してみようか。

寒冷紗が外せない

9月に入ったら寒冷紗を外すつもりでいたのだが、日中は35度が続出。日差しもまだまだ強い。日照時間は確実に短くなってきているし、親木はところどころ徒長気味、気温さえ平常に戻ったらすぐにでも外したいところだ。

そのうえ、我々人間の方はむしろ9月に入ってからの方が、きもちがはやってしまったのか、思わぬ暑さに戸惑い気味だ。スタッフにも体調を崩してしまった者がいる。ハーブたちもしんどい思いをしているのかもしれない。

水やりも、気が緩んだせいか、ところどころ水切れを起こしてしまったり。なかなか難しい。

あたらない天気予報を見てもまだ1週間は同じような気温。望まない気温だけはしっかり当たるのがくやしい。

ヤニ取りは気分転換に

気温が高いので、苗の成長も著しい。それも、小さい苗が大きくなるというよりは、大きい苗が更に大きくなる方の成長が目立つ。

苗もあまり大きくなりすぎると、形も悪くなるし、下の方の葉も枯れてきたり、見た目も悪くなる。背が高いと送料にも影響するし適宜コンパクトに仕立て直す必要がある。

そのため、他の季節にも増してこの時期は剪定作業が増える。

剪定作業をスムーズに行うためにはまずハサミがよく切れることなのだが、柔らかい枝を切ることが多いので、刃こぼれや研ぎが鈍って刃自体の切れが悪くなることはあまりない。むしろ刃にこびりつくヤニが刃のキレを悪くする。

刃にこびりついたヤニ

そのため、こまめなヤニの除去は大事な作業の一つとなる。いつも腰のツールにちいさな布を携えているので、作業の合間にこれでヤニを拭き取るようにしているが、作業に夢中になって忘れていることもしばしばだ。気がつくと刃にビッチリとヤニが付着していて布ではきちんと拭き取れない。

そこでヤニ取り作業を行う。このヤニ取りも昔からいろいろな方法を試行錯誤してきた。かつてはトクサで拭いてみたり、消しゴム状の携帯砥石でこすり取ったりもしていた。今は次のような感じに落ち着いている。

まずはヤニ取りスプレー。いろいろなものが各社から出ているが、どれもそれほど変わらないような感じだ。

このスプレーをかけて30秒ほど放置するとヤニが浮き上がってくるので布で拭き取る。これを2度ぐらい繰り返すとほぼヤニは取れる。

ヤニが浮き上がってくる

それでもたくさん残るようになったら、むしろきちんと砥石を使って刃を研ぐ。

ヤニがとれたら刃物油を刃とネジの裏に満遍なく行き届くように塗布する。

椿油と油壺

以前は椿油を油壺で塗っていたが、この頃はお手軽にスプレーでオリーブオイルを塗る。

食用オリーブオイルの残り。今はむしろ高級か?

オリーブオイルはアウトドア料理で余った残り。椿油のほうが良いとは思うが、頻繁に使うのでこれで十分だ。砥石できちんと研ぎ上げた時には椿油を使う。あまり違いがわからないが、まあ、儀式のようなもの(笑)。

この作業は、気分転換にも良い。刃も綺麗になって、気分一新、もう一仕事!という気分にさせてくれる。

朝食に香り高い浜茶を

9月に入っても暑さが厳しいので、早朝スタートによる作業パターンが続いている。

早朝から作業を始め、8時前後に軽い朝食を取る。朝食の時の飲み物も先日までは麦茶など冷たいものだったが、今朝はなぜか気分が変わってカワラケツメイのお茶が欲しくなった。この辺りでは浜茶と呼ばれる。

時々飲みたくなるので、アウトドア用のクッキングセットに小さな缶で入れている。今日は茶漉しがなかったので、シェラカップで淹れて、箸を使ってそっと漉してコップへ。

香ばしい香りが何とも秋らしい。実はこのカワラケツメイ、畑の一部で現在開花中だ。

もう10年以上前だろうか、この浜茶が好きになった頃、出雲の斐伊川の河川敷で咲いているのを見つけた。おそらく育てるのはそんなに難しくないだろうとは思ったが、なかなか種子を手に入れる機会がなかった。数年前に、たまたま訪れた庭で咲いているのを見つけ少し分けてもらい、種子を収穫できた。

次の年、ポットで育てて(今考えるとむしろ可笑しいが)、畑に畝まで用意して栽培した。雑草のようなものなので、非常によく育ったが、お茶にするための収穫はできなかった。かろうじて種子は取れたので、翌年(それが去年だ)も同じようにポットで育てていたが、零れ種で本当に雑草のように畑に広がってしまい、去年も収穫せず。収穫もそれなりにタイミングがあるし、その後、水洗いして、乾燥して炒る必要がある。この、収穫、洗浄、乾燥、焙煎というのは、それなりに手間もかかる。美味しく作られたものが市販されていることも考えると、なかなか実行に移せない。

そう考えるとハーブティーは、フレッシュならば最後の2工程が必要ないので楽だなぁと、今更ながらに思うのである。

今年は、収穫にも良い感じにまとまって生えているし、洗浄、乾燥まではなんとかできそう。今のところは焙煎が難所となりそうだ。いちどできたらそれなりに納得もすると思うが、さて、今年できるかどうか!朝食に香り高い浜茶が楽しめるだろうか?

夏菜園で最後まで残るもの

今年は種まきのタイミングが悪くてひと株しかない家庭菜園のオクラだが、先月からポロポロと収穫が続いている。

夏野菜はその年によって育てるものにも変化があるが、オクラはおおよそ毎年育てている。育てやすいし、コンスタントに取れて食卓を賑わしてくれるのもありがたいが、もう一つ理由がある。

秋に向けて育苗中のマロウやホリホックの大敵である葉巻虫の警戒アラート役だ。オクラも同じアオイ科なのでこの葉巻虫が必ずといっていいほどやってくる。

オクラとフタトガリコヤガ

野菜を育てている人には「オクラの葉巻虫」といえばそれで通じると思うが、フタトガリアオイガ(フタトガリコヤガ)という名前の昆虫だ。

外の畑のオクラにこの葉巻虫がやってくると、大抵、マロウやホリホックにも着き始める。オクラは毎日チェックしないと1日の収穫の遅れで食べられなくなるほど大きくなるので、大抵朝に様子を見る。今朝、収穫に行ったら数匹の葉巻虫がいたので、育苗中のブラックホリホックの苗を調べたらやはり葉巻虫を発見。すでに若干被害があったが、放っておいたら丸坊主になるところだった。この毛虫は素手でも大丈夫なので即退治できる。

ブラックホリホックとフタトガリゴヤガ

こういう理由もあって、オクラは毎年夏の菜園には欠かせないし、最後まで残っていることが多い。片付け忘れを指摘されても、苗のためという言い訳もあるし。