真似ができないプロの技

ビニールハウスを初めて建てたのは20代前半のころだった。
間口が2メートルぐらい、奥行きはそれでも6メートルぐらいはあっただろうか。まだハーブも趣味の延長ぐらいで育てていた時期だ。

叔父から譲ってもらった中古の小型ビニールハウス。パーツもバラバラで、そもそもどこに使うパーツなのかもわからない。もちろん説明書もないので、むりやり手伝わせた友人と一緒にああでもない、こうでもないと言いながら組み立てた思い出がある。今考えてもよく作れたものだと思う。ある意味、一番難易度が高かったかもしれない。

その後、業者さんに建ててもらったこともあったが、中古で譲ってもらったものも多く、大抵は自分たちで建てた。

自分で建てたと言うと、驚かれることも多いが、骨組みは時間をかければなんとかなるものだ。

ただ、サイズが大きくなると問題になるのがビニール張り。縦40メートル、横10メートル近いビニールを骨組みの上にかける作業は慣れないと非常に難しい。

風とビニール
昨年、小さいハウスの張り替えをしたが、それでも風であおられて大騒ぎ

何年か前に張り替えしたときも、油断していたら風であおられて何箇所か破れてしまった。

また、このビニールも何年かすると劣化する。この辺りは山に囲まれているので、劣化するよりもコケが付いて透過度が悪くなったり、雪が滑らずにハウスが潰れてしまうこともある。そのため、何年に一度かは張り替えの必要がある。

コケ
山が近いので、ビニールにもコケがつきやすい。花粉のせいもあるとか・・・。

今年もかなり古くなった一棟のビニールハウスを張り替えることになったが、自分たちで張り替えるかどうかが問題になった。もちろん、自分たちで貼れば高い工賃を払わなくてもすむ。その代わり、破れたり、怪我したりというリスクとも引き換えである。

かなり迷ったが、一度プロの作業をよくみて勉強しようということで、今回はビニールの張り替えをお願いすることにした。

特に知りたかったのが、棟の上につける換気用の天窓をどうつけるかということ。ユニックなどのクレーンでも使えば別だが、どう考えてもハウスの上に登って取り付けるしか方法がない。また、その位置までビニールを破らずにどうやって持っていくのかがそもそも謎中の謎だった。毎回へっぴり腰でおそるおそるハウスの上に登って行っていた作業、うまくできる方法がわかればこれにこしたことはない。

tenso
恐る恐る、へっぴり腰の天窓取付作業

今回お願いしてやってきたのは4人のプロたち。先日まで山口でビニールハウスを建てていたとか。西へ東へ引っ張りだこのようで頼もしい限りである。

集合は朝7時!風のないうちに貼り終えてしまうことが第一だそうで、とにかく張り終えるまでは休憩もしないそうだ。プロである。
ビニール剥ぎ
作業がスタートした。まるで一流の板前が魚をさばくようにみるみるうちに古いビニールが取り除かれていく。

ビニール張り
新しいビニールが広げられたとおもったら、あっという間にハウスを包んでしまった。角度を変えて写真を撮る暇もない。

プロフェッショナルの技

開始からここまで30分ほど!!我々なら半日かかりそうだ。
しかもビニールの扱いが大胆。我々は破れないように、破れないようにとそっと扱うのだが、手慣れたものである。

そして問題の天窓の取付。一体どうやって・・・。と注視していたら、なんと屋根の上を手で持って運び始めたのである・・・これではとても真似ができない・・・

歩く

あっという間に完成したビニールハウスの張り替え。ハーブたちも日の光が燦々と注ぎ、嬉しそうである。

ただ、これを次回我々だけでできるかどうか・・・。また悩みそうである。