がじがじ

長年、それほど気にも留めていなかったけれど、なんとなく腑に落ちないことが、今朝ようやく判明した。

畑に落ちていた一枚のラベル。確かに先日自分が苗の横に差したものだった。
「おや、昨夜はラベルが飛ぶほど風が強かったっけ?」
と最初思ったのだが、最初に差していた場所とはずいぶん離れたところに落ちていて、しかも先の方がぐしゃぐしゃになっている。

ラベル

いままでも何度かラベルの一部が同じように傷んでいるのを見かけたことがあるけれど、いつも、落ちたラベルを靴底かなにかで踏みつけたのか、どこかに挟まってぐしゃぐしゃになったのだとばかり思っていた。

でも、ラベルに穴があくようなスパイクを履いている者はいないし、耕耘機で土と一緒に耕してもこのような形には変形しそうにない。

今朝このラベルを見たとき、以前スタッフが言っていた
「ビニールハウスを固定しているビニール紐をタヌキが齧っているようだ」
との言葉を思い出したのである。

もちろん誰も現場を見た訳ではないが、時々ビニールハウスの固定紐に穴があいていることがある。どうやら猫の爪研ぎのようにビニール紐を噛んでいるのではないかという推理だ。

よく見るとこのラベルも紐と同じような被害状況。困ったものだが、年に数枚程度の被害、今のところ作物への害はないようなのであまり目くじらを立てることもないか・・・。

もだえ喜びつつも

今年もツマグロヒョウモンの食害に悩まされているニオイスミレや各種ビオラの苗たち。毎朝、見るようにはしていても、完全にはチェックしきれず、この有様だ。
ツマグロヒョウモンの食害

まあ、それはそれはおいしそうにお食べになっていて、栄養もいいのかあっという間に大きくなり、加速度的に被害も増えていく。残念ながらこの種類はしばらく販売休止しなければならない。

ツマグロヒョウモンの食害
ここまで食べなくても・・・

少し前、あるお客様からパセリの在庫についての問い合わせがあったとき、よそで購入したパセリの葉を食べてアゲハの幼虫がもがき苦しんだとお伝えいただいた(怖いね)。そういうこともあって、当店の無農薬の苗を使ってみようと思われたのだろう。

ここのツマグロヒョウモンは農薬を心配することもなく、毎日もだえ喜んで葉っぱを食べているのだが、別の敵が目を光らせている。さて、どっちが幸せかねぇ?

戦火の後

日々、一応その動向を注意していたアシナガバチの巣。スタッフが、スズメバチに襲われていると言うので行って見ると、もうすでに戦いは終わった後だった。この数日の雨の日のうちに戦火が繰り広げられたのだろうか。恐らく巣の下には死骸が累々と横たわっている事だろう。

ハチの巣
一月たつとだいぶ大きくなるものだ・・・

スズメバチが一匹、巣の上をはい回っている。残っている幼虫を探しているのだろう。まだアシナガバチも数匹残っているが、もう戦う気力はないようだ。あれほど怖がっていたアシナガバチでも、こんな光景を見ると可愛そうにも思えてくる。

時々、ハウスの回りでも見捨てられたような巣を見かける事があるが、スズメバチの襲撃が原因なのだろう。蜂にとってもなかなか生きていくのは大変なようだ。

不思議な事に、一度襲われた巣には、蜂が戻ってきたのを見た事がない。人間には分からない都合があるのだろう。

人間も世界各地で戦いの火をあげているが、地球の外から見たら似たようなものかも知れない。

冤罪

お盆ごろから腕や首に湿疹が出だした。はじめ、今年二回目のあせもかと思ったのだが、どうやら様子が違う。一時は枕か何かのダニではないかとも疑ったし、いま流行っている手足口病かもしれないと考えたけれど、やはり違うようだ。

しばらくしてそう言えばこれは・・・チャドクガか何かが原因では?と思い当たった。徐々に広がっていくので毛虫だとは考えもつかなかったけれど、こいつらの毛は衣服について患部を広げるのだった。そのように考えれば納得が行くし、チカチカする痛みも3年ほど前の症状を思い出させた。早く分かっていればガムテープで針を抜き取ったのに。今や遅しである。

ただ、どこでやられたのかがはっきりしない。お盆前には何軒もお庭を回ったけれど、とりあえず見かけなかったし・・・。

ふと思いついたのが、毎日畑のオクラを収穫する時にお目にかかる緑色の毛虫。ほぼ毎年オクラの葉を破れた傘のようにしてくれる大食漢だが、目についた時に収穫鋏で払い落とすぐらいだった。もしやこいつが?と、疑いを持ち、恐る恐る近寄って撮影。いままであまり気にしなかったのに、急に態度が変わってしまう。細い毛までが、ネトルのように恐ろしいものに見えてくる。ところが調べてみたらどうやら無害のようだった。

フタトガリコヤガ

ちなみに正体は、フタトガリコヤガの幼虫。もう少し大きくなると黒い点々が目立つようになる。アオイ科の植物が大好きなようだが、あまりマロウについたのを見た事が無い。オクラのほうがおいしいのだろうか。

オクラの花
オクラ・・・花もまた良し。実はサッとゆでて味噌汁に入れるのが好み。なぜか嫌がる人も多い・・・

それにしても、早口言葉に使えそうな名前である。フタトガリコヤガ、フタトガリコヤガ、フタトガリコヤガ・・・。

タンジーと蝶

夕方、ひとしきり雨が降り、店頭のハーブたちも少し元気を取り戻した模様。でも、暑さで傷んでしまった苗は圃場へ持って替えって養生が必要なので、くたびれた株が無いかチェックしていると目の前をひらりひらりと横切ったものがいる。

タンジーとアゲハ

タンジーの黄色い花にふわりと止まったのは一匹のアゲハであった。ハーブの中でも比較的防虫効果が高く、それを目的に買われるお客様も多いし、実際活用していらっしゃると言う話も結構聞く。こちらもこちらで、あまり虫媒花の果樹などのそばには植えない方がよいとおすすめしているので、こういう光景を見ると苦笑するしかない。

いくつか理由を考えてみた。

  • アゲハにはタンジーの防虫成分が効かない
  • 花の蜜の誘惑の方が上だった
  • まだ苗なのであまり防虫効果が強くなかった
  • 花の辺りは防虫成分が少ない
  • 暑さで防虫成分が弱っている

etc.・・・

まあ、実際にはこのアゲハに聞いてみないと分からないわけで、人間にも時々いるように変わり者のアゲハだったのかも知れない。真夏で、他に目ぼしい花が無くて仕方なく止まってしまったとも考えられる。砂漠のオアシスはより好みはできないしね。

夏は昆虫も多いせいか防虫ハーブの人気が高い。お客様から聞いたり、自分で見たりしても、効果があったり、無かったりとケースバイケースのようである。シトロネラの回りで草取りしていると蚊に刺されなかったと言う報告もあれば、スタッフはシトロネラの株分けをしている時に蚊に刺されたと言うし。ペニーロイヤルミントを植えたらアリが家に入ってこなくなったと言うお客さんもいれば、うちは葉の上を平気でアリが歩いているという話もあったりする。

キャットニップと猫の関係も微妙だ。以前、猫のいるお家に言った所、自分のかばんに猫がしきりに突入しようとするので調べてみたら、かばんの奥にドライになったキャットニップが入っていた事がある。今考えるとなぜかばんの底にキャットニップが有ったのかが不思議だが。一方で、圃場に迷い込んできた野良猫にキャットニップを嗅がせたらたいそう嫌がった。これは多分まだ仔猫だったからだと思うのだが・・・。

とりあえず、今夕、タンジーに止まった蝶の姿、しばし暑さを忘れさせてくれたのは確かであった。